魔女の生まれた屋敷

桜月 翠恋

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幼い少女の淡い幸せの記憶

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私は外に出るのが好きだった

お母様と二人、お外を走り回るのが好きだった

ホントは××と走り回るのが一番好きなのだけれど……




お父様はお仕事でいつも忙しかったけれど、ご飯は三人で食べていた


今日はお母様の幼馴染のおば様が来るらしい
楽しみで、ワクワクする

その前に私はお友達のところへ向かった

暫く走った遠くの森、いつもここまで来るのにお母様からもらった魔具を使っていた



「××!遊びに来たよ!」

「ローズ!待ってた!」


二人して抱き合って笑う

私達は双子のようにうり二つ。これは私のお母様と××のお母様が双子だから

私は××が大好き
本当はずっとずっといっしょにいたい


「ねぇ、××」

「なーに?」

「大人になったら二人でここを出よう?」

「うん、いいよ」


二人して小さな約束をする

いつか叶えようと願い
いつか叶うと信じていた願い


私はきっと××に恋にも似た感情を持っていた

屋敷に縛られた私と違って、森の中自由に暮らす彼女に私は恋い焦がれた

そっと見つめ合う目、紫の彼女の瞳が笑って細くなる
つられて私も笑う

二人して笑って、幸せいっぱいだったんだ



そして私は家に帰る準備を始める


「また来るね、××ちゃん。おとーとくんにもよろしくね」

「うん!」


そして、私は家に帰った


この日が××ちゃんと会える最後の日になった


帰った私に起きた悲劇は血まみれの部屋

ぐちゃぐちゃの肉片になった母

黒く染まる私




お母様が死んだ
私は声も出せない


呪い、病気を集める呪い

苦しい、苦しい苦しい


私は部屋から出られなくなった


お母様を殺した人が〇〇になった

お父様に伝えたいのに喉が痛くて声が出ない



ごめんなさいごめんなさい



声が出ない事に
何も言えないことに
お父様を悲しませてることに


私は謝り続けた


私は××ちゃんと…………


約束……


泣きながら私は生きた

死にものぐるいで生きた







暫くして苦しみがなくなった

お父様のおかげらしい

そして私はお父様に、真実を伝えた



「あのね」

















「お母様を殺した犯人はね……」
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