魔女の生まれた屋敷

桜月 翠恋

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【知りたくない】

【愛されている人達のことなんて】


【知りたくない】

















ヘレニが嬉しそうに微笑み、私に話してくれる


「アオイは森で拾ったこと一緒に居るんですよ。その子が薬を作るのが上手くて……ローズ様の症状を伝えたらよく効く薬まで出してもらって」

ヘレニは私の頬をなでてくれた
痛みが来る、と身構える

いつもならばヒビが入って血と汁でカピカピの頬

撫でられただけでぴりっと鋭い痛みが走る



はずだった


「いたく、ない……?」


ヘレニは笑うとそっと鏡を見せてくれた
それを見て、私は言葉を失った


「だ…誰……?」


私の頬はヒビ割れてなんていなかった。傷も何もなくなっていた


鏡に映る私は













白い肌にうっすら黒くなった髪、とても綺麗な人が鏡の中にはいた

それは私の見たことない人だった…


ヘレニは優しく微笑み、私を見つめた


「それがローズ様の本来のお姿です」


私の頭はぐちゃぐちゃだった
何故?そんな疑問しか浮かばない


「でも、さっき外に投げ出された時、悪化して…その……」

「それはアオイのおかげです」

「アオイ…の?」

「はい、アオイがローズ様に使われていたじ…」

「母さん」


アオイの強めの言葉にヘレニは俯く

何をアオイは起こっているのだろう?

それより、私が聞きたいのは…


「私、なおっ…たの?」


私の問いかけにアオイは首を横に振った


「気休めです。症状を緩和させてるだけなんです……」


その言葉に私は落ち込む。二人にもわかってしまったんだろう…慌ててフォローしようとしてくる


「大丈夫です。根源さえどうにかしたらローズ様も…」

「だから、母さん。それは俺がなんとかするから」

「そう、ね」


ヘレニはまた落ち込む


「では、ローズ様、今日の所は失礼します」


そう言うとアオイは頭を下げると部屋を出て行った

しばらくの静寂の後、ヘレニは私に微笑みかける


「ローズ様、これ以上のことはもう少し事が進んでからお話します。今はゆっくりおやすみください」


ペコリと頭を下げるとヘレニも外へ出て行ってしまった

私は手渡されていた鏡を見つめる
薄紫の瞳と目が合う


一瞬ドキリとする

自分の瞳が紫色をしていた事を今日始めて知った

鏡に映る少女は、ヘレニにとても似ていた

それはそうだ

見間違うはずだよ


「アン……か」


聞き覚えがあるのは何故なのか
不思議に思いながら横になる

横になっているとふと窓が目に入る


「そういえば……どうやって窓をなおしたんだろう」


疑問を口にするが、色々ありすぎたせいか頭痛がしてきた

私はもう眠ることにした


ゆっくりと瞼を閉じると私はすぐに夢へと意識を手放したのだった…







【お願い】

【思い出さないで】















【どうかそのままで】
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