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6日目
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何から話すべきか……
あれこれ悩んでいると、ワスレはキョロキョロと部屋の中を見渡していた
「何か気になるものでもあった?」
「へ!?いや!何も!」
動揺するワスレも可愛らしくて笑みが溢れる
「何から聞きたい?」
「何から、と言われても…私自身、本当に1年間の事を何も覚えてないんです」
「んー……」
俺が頭を傾げていると俺の気持ちを知ってか知らずかワスレは俺の方に向き直り、何かを思いついたようで…キラキラした子供のような瞳で俺を見てきた
「先生、写真ないんですか、私とかの」
「写真、か」
「なーんか、そのくらい親しそうだったし、私と先生」
「なんでそう思ったんだよ」
「車に私の好きなキーホルダー置いたり、多分ここにもきたことあるでしょう、私」
その言葉に何を根拠に言ってるのだろうとあたりを見渡す
「ほら、それ」
「ん?」
ワスレが指したのはペアのマグカップだ
それに書かれてるキャラはワスレの好きなマスコット……
「……まぁ、うん。そうだな」
「で、写真は?」
「あるにはあるよ。プリクラ撮らされたし」
「プリクラ?私が?」
「お前から言い出したんだよ」
自分から言い出したと言われて困惑してるのか、何かを考え込んでいるワスレ
仕方ない、か
「ほらこれだよ」
自分のスマホの手帳型になっているカバーを外し、貼ってあるプリクラを見せる
そこには嬉しそうに笑ってるワスレと彼女に引っ張られて笑ってる俺が写っている
「…私達、本当に仲良かったんですね」
「まぁ、お前が敬語を使わないくらいにはな」
「…カスミ?」
俺の胸が締め付けられる
数日ぶりに名前を呼ばれ、顔に熱が集まるのを感じる
「あれ、先生?どったの」
「いや、なんでも」
あんまり見た目が変わんなくてよかった
こいつには余裕がない子供のままの俺は見られたくない
約束のために
そう、あの日した
子供じみた約束のため……
あれこれ悩んでいると、ワスレはキョロキョロと部屋の中を見渡していた
「何か気になるものでもあった?」
「へ!?いや!何も!」
動揺するワスレも可愛らしくて笑みが溢れる
「何から聞きたい?」
「何から、と言われても…私自身、本当に1年間の事を何も覚えてないんです」
「んー……」
俺が頭を傾げていると俺の気持ちを知ってか知らずかワスレは俺の方に向き直り、何かを思いついたようで…キラキラした子供のような瞳で俺を見てきた
「先生、写真ないんですか、私とかの」
「写真、か」
「なーんか、そのくらい親しそうだったし、私と先生」
「なんでそう思ったんだよ」
「車に私の好きなキーホルダー置いたり、多分ここにもきたことあるでしょう、私」
その言葉に何を根拠に言ってるのだろうとあたりを見渡す
「ほら、それ」
「ん?」
ワスレが指したのはペアのマグカップだ
それに書かれてるキャラはワスレの好きなマスコット……
「……まぁ、うん。そうだな」
「で、写真は?」
「あるにはあるよ。プリクラ撮らされたし」
「プリクラ?私が?」
「お前から言い出したんだよ」
自分から言い出したと言われて困惑してるのか、何かを考え込んでいるワスレ
仕方ない、か
「ほらこれだよ」
自分のスマホの手帳型になっているカバーを外し、貼ってあるプリクラを見せる
そこには嬉しそうに笑ってるワスレと彼女に引っ張られて笑ってる俺が写っている
「…私達、本当に仲良かったんですね」
「まぁ、お前が敬語を使わないくらいにはな」
「…カスミ?」
俺の胸が締め付けられる
数日ぶりに名前を呼ばれ、顔に熱が集まるのを感じる
「あれ、先生?どったの」
「いや、なんでも」
あんまり見た目が変わんなくてよかった
こいつには余裕がない子供のままの俺は見られたくない
約束のために
そう、あの日した
子供じみた約束のため……
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