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初めまして、皆様。

今、目の前で面白いことが起きております。

「君との婚約は解消する」

婚約者のダドリー様からそう宣言されました。

この人はいつもそう。

気に入らないとすぐに婚約解消を仄めかすの。

「まあ、お許しくださいませ」

私の返答はいつものこと。

何が気に入らないのか存じませんが、そうそうに謝って場を濁します。

でも今日はいつもと違っております。

「バカにするな。俺は本気だ」

「さようでございますか」

扇で口許を隠してもきっと私の嘲る瞳にお気づきでございましょう。

「では如何いたしましょうか?是と答えるべきかしら?」

「ああ、そうだ。そちらの当主にも俺の父にもそう伝えよ」

まあ、偉そうに。

ご自身からお伝えする度量はございませんのね?

「理由は如何いたしましょうか?」

「性悪のお前が嫌いだと言え」

「あら、ひどい。他には?」

「他?」

「ええ、私共の婚約はお家同士の繋がりを強固にする為のものです。個人の我が儘だけというのは通りかねますわ」

そう言うと渋くお顔を歪めて考え込んでおりました。

「……お前のそういうところが嫌いだ」

「はい。そのことについては日頃から良く存じております」

くすくす笑うと悔しそうにお顔が歪む。 

正直な方。

婚約者同士の親睦の席でこれだけのことを仰るんですもの。

嫌でもわかりますわよ。

おバカさん。

本当にあなたは正直者という以外取り柄がございませんのね?
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