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44※ウドル

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帰ってからお袋は泣いた。

親父は堪えろと言った。

王家の方のなされようだからと。

逆らうなと。

背中も顔もこのくらい。

命があるだけましだと。

堪えて過ごしているとその時期に仲良かった奴がすごい泣いて怒ってくれた。

あいつのおかげだ。

胸がスーっとなって嬉しかった。

あれがあったからここまで堪えられた。

あいつの顔はもう覚えてない。

怪我のせいで動きの悪くなった親父を助けるために俺も働かないといけなかった。

それから15年過ぎて親父が死んで、お袋も死んだ。

兄弟はみんな王家に恐れて関係のないところへ。

俺だけ残った。

逃げそびれたとも思うし、親父の言いつけを守りたかったのもある。

自分は愚直な馬鹿だと思う。

仕方ないと庭の隅で仕事をしながらひっそりと過ごしていたが、王女がデビューされてからまたおかしくなった。

あの大事な、親父の残した庭師小屋で時折恐ろしい仕打ちが起きていた。

王女の指示で。

あの小屋をゴミ箱と呼んで。

気に入らない令嬢やメイドをあそこに閉じ込めて兵士が複数で乱暴するんだ。

あいつらはクズだ。

わざわざ木箱を運んで庭に出してさも助けに来た振りをしてすぐに中庭を追い回す。

ヒールを履いた女達は三人から逃げられず捕まって外で。

王女はそれをバルコニーから眺めるのが好きだと聞いた。

恐ろしいが止められず逆らえない。

地獄の鬼ごっこが終われば小屋の中。

事が終わって何度か逃がしたことがある。

先に逃がそうにも俺の風体に怯えて逆にあの恐ろしい兵士に助けを求めるから無駄だった。

勘違いしたあいつらは先に味見をするなと起き上がれないほど痛めつけられた。

そうなると諦めていつも事が終えてから。

あいつらには死んでいたから捨てたと言って誤魔化して。

逃がした女達にもそう言い含めた。

肥料や藁を運ぶ荷車に隠してここの外へ。

親戚に頼んで記憶のない女とだけ説明するが、内心は王家のされように察して脅えながらも黙って受け入れて遠くの修道院や治療院に送ってくれた。

今日も木箱の布が剥がれていたからまた女が来たのかと憂鬱だった。

落ち込んでいたが、いつまでも泣き声も暴れる様子もない。

何かの間違いかと叩いてみると音が返ってくる。

気になって開けてみたらえらく小さな子供。

服装はここでよく見かけるご令嬢らしくて、箱から出てみると思ったより女性らしい雰囲気と全体が小さいだけでそんなに子供ではないと分かった。

ぽかんとしているとニコニコ笑って名乗ってきた。

憎たらしいアイスブルーなのに、持ち主が違うだけでこんなに気持ちが変わるのか。

この小さなお姫様の瞳に見つめられるだけで無くなったはずの忠誠心が沸き起こるのが分かった。

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