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罰を受けると聞いてご令嬢達から離れる気にならずしばらくそのまま留まることにしました。
皆さんも私の大人しい様子に安心したようで各々が自由に過ごしてお話をされます。
どんな罰かあるのか気がかりで尋ねました。
言い淀むだけで教えてはもらえません。
「社交界から弾かれるとかですか?」
「それだけならいいわよ。うるさいわね、もう黙っててよ。」
しつこく聞けばうるさがられて冷たくされてしまうだけです。
「そうですか」
この場は飽きました。
同情してここにいたのですが、もうそろそろ良いでしょう。
話が盛り上がって注目から外れましたし、扇を口許に当ててそろそろと抜け出します。
どこに行くのと咎められましたので、お花摘みにと答えます。
「ならついていくわよ。抜け出させないからね」
「……分かりました」
途中、少し離れたところに第二王子のお姿を見つけて、扇を振ってみました。
気づいてお声をかけてほしくて。
熱心に構うので苦手ですけど、この方々よりましです。
すぐにお気づきになられてこちらへと来られました。
「どうした?」
キラキラ光る目が本当に苦手です。
「ご挨拶をと思いまして」
「婚約者は?」
「王女に呼ばれてまして」
困った顔を見せたのに嬉しそうに笑ってます。
「第二王子まで王女の行いに賛成されてますの?」
恨めしく睨むとふるふると頭を振って否定されました。
「いや、そういうことじゃない。だが、ロルフがいないのならエスコートは代わってやろう」
腕を差し出されて、私もそういうことじゃないと思いましたが、王女の取り巻きから逃れる良い機会とも思えました。
腕に手を少しだけ乗せて頷き返します。
「ロルフ様を探したいのですが」
今まで背の高いご令嬢に囲まれて回りか見えず見つけられませんでした。
第二王子のお側に来ても会場でもっとも背の低い私からは無理です。
『ロルフか。おい、どこにいる?』
ちらっと私を取り巻いていた王女の取り巻きに尋ねてます。
尊大なその物言いに私としてはハラハラしますが、取り巻きの方々は恭しく頭を下げてすんなりと答えてました。
『バルコニーへと。親睦を深めると仰っておりました』
あんまりにも素直に答えるので私はモヤモヤします。
「……皆様の忠誠はどこにあるのですか?」
思わず小さく呟きました。
王女にでしょうか。
それとも第二王子にですか。
「良い質問だな」
隣の第二王子には聞こえたようです。
「こいつらは風見鶏だ。くるくる回って耳障りの良い声で鳴くだけだ。他国のお前が気にすることではない」
皆さんも私の大人しい様子に安心したようで各々が自由に過ごしてお話をされます。
どんな罰かあるのか気がかりで尋ねました。
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「社交界から弾かれるとかですか?」
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「そうですか」
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