18 / 78
18
しおりを挟む
「やはり、魔法が使えますか?」
「まさか」
クスクス笑いました。
「妖精は人間の心が読めると言います。レディ・リリィも?」
みんな、どうして私のことを魔法使いみたいに思うのかしら。
「タイロン様の様子に、どうして?と思うことばかりだからです」
こちらの方はグラッセ王女のような大人びた女性が好まれます。
私は小さな子扱いです。
だから妖精と言われてます。
「タイロン様にはグラッセ王女のような美しい方が好ましいのではありませんか?」
「そう思われますか?」
また近寄ろうと一歩動くと、アンバルが顔を振って間に入り、守るように立ち塞がりました。
「……騎士のようですね」
「近づくのは諦めてくださいますか?」
「挑戦されると男はやる気になるものですよ」
アンバルを避けて近づいてこられます。
「え?男は狼というものですね。なら私は全力で逃げます」
ひょいと柵の天辺に立ち上がりアンバルの背に飛び乗りました。
私の鞍はつけてあります。
あとは乗るだけ。
手綱を引いて足で軽く腹を蹴ると前足を高く上げて柵を踏み潰しました。
「あら、飛び越えるつもりでしたのに。鞭がないと少々不便ですね」
素早く動いて、馬上から柱にかけてある鞭を取り、軽く嘶かせました。
「アンバル、ご機嫌ね」
どっどっとその場で跳ねて喜んでます。
「これはこれは、」
「タイロン様、退いてくださいます?」
そこに立っておられたら外に出られません。
「止めるのは難しそうだ。私もお供をしよう」
「馬はおりませんわよ?」
「ここにいるじゃないですか」
「は?あ!やめて!」
さっと柵に足をかけて私の後ろに飛び乗ってアンバルも私も驚いて叫びました。
後ろからがっしり抱き込まれて手綱を取り上げられてしまって、アンバルのたてがみに捕まります。
「手綱を返してください!」
『さあ、言葉がわかりませんね』
『いじわる!』
『あっははは!』
タイロン様がドンッと強くアンバルの腹を蹴って外へ飛び出しました。
どど、どど、とテントから駆けて。
『手綱を返して!降りてください!』
『思ったより言葉が上達してますね!素晴らしい!』
「ああ!もう!この国の方はみんなこうなんですか?!」
こっちの意思を無視して好き勝手に!
『ん?なんのことですか?』
「何でもいいですから降りてくださいっ!アンバルは私以外の乗馬が嫌いなんです!」
『言うことを聞かせればいい。荒くれ馬は好きだ!ははは!』
「早口はやめてください!何ておっしゃってるのかわかりません!」
『あっははは!残念でしたね!』
もうこうなったら最後の手段です。
「アンバル!お座り!」
「まさか」
クスクス笑いました。
「妖精は人間の心が読めると言います。レディ・リリィも?」
みんな、どうして私のことを魔法使いみたいに思うのかしら。
「タイロン様の様子に、どうして?と思うことばかりだからです」
こちらの方はグラッセ王女のような大人びた女性が好まれます。
私は小さな子扱いです。
だから妖精と言われてます。
「タイロン様にはグラッセ王女のような美しい方が好ましいのではありませんか?」
「そう思われますか?」
また近寄ろうと一歩動くと、アンバルが顔を振って間に入り、守るように立ち塞がりました。
「……騎士のようですね」
「近づくのは諦めてくださいますか?」
「挑戦されると男はやる気になるものですよ」
アンバルを避けて近づいてこられます。
「え?男は狼というものですね。なら私は全力で逃げます」
ひょいと柵の天辺に立ち上がりアンバルの背に飛び乗りました。
私の鞍はつけてあります。
あとは乗るだけ。
手綱を引いて足で軽く腹を蹴ると前足を高く上げて柵を踏み潰しました。
「あら、飛び越えるつもりでしたのに。鞭がないと少々不便ですね」
素早く動いて、馬上から柱にかけてある鞭を取り、軽く嘶かせました。
「アンバル、ご機嫌ね」
どっどっとその場で跳ねて喜んでます。
「これはこれは、」
「タイロン様、退いてくださいます?」
そこに立っておられたら外に出られません。
「止めるのは難しそうだ。私もお供をしよう」
「馬はおりませんわよ?」
「ここにいるじゃないですか」
「は?あ!やめて!」
さっと柵に足をかけて私の後ろに飛び乗ってアンバルも私も驚いて叫びました。
後ろからがっしり抱き込まれて手綱を取り上げられてしまって、アンバルのたてがみに捕まります。
「手綱を返してください!」
『さあ、言葉がわかりませんね』
『いじわる!』
『あっははは!』
タイロン様がドンッと強くアンバルの腹を蹴って外へ飛び出しました。
どど、どど、とテントから駆けて。
『手綱を返して!降りてください!』
『思ったより言葉が上達してますね!素晴らしい!』
「ああ!もう!この国の方はみんなこうなんですか?!」
こっちの意思を無視して好き勝手に!
『ん?なんのことですか?』
「何でもいいですから降りてくださいっ!アンバルは私以外の乗馬が嫌いなんです!」
『言うことを聞かせればいい。荒くれ馬は好きだ!ははは!』
「早口はやめてください!何ておっしゃってるのかわかりません!」
『あっははは!残念でしたね!』
もうこうなったら最後の手段です。
「アンバル!お座り!」
10
お気に入りに追加
152
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
選ばれたのは私でした
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉様は、私が王太子妃になるのを横で指を咥えて見てるといいわ」
妹の趣味、姉を虐める事……。
姉アレクシアは、妹エルヴィーラの自尊心を満たす為だけに、侍女として付き添う事に。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
侯爵令嬢のアレクシアには、エルヴィーラという妹がいる。
「お姉様に、私が劣るなんてあり得ない」
妹の口癖だ。
妹は優秀で美しく、姉アレクシアは平凡で普通だと周囲からは言われた。
だが、それには秘密がある。
両親から溺愛される妹より優秀である事は許されいアレクシア。
妹よりも上手くダンスを踊れば、折檻される。妹よりもヴァイオリンを上手く弾けば、折檻された。
アレクシアはその為に、全てにおいて妹より劣って見えるように振る舞ってきた。
そんなある日、この国の王太子の妃を選ぶと伝令が出される。
妹は、王太子妃候補に選ばれ城へと赴く事になったのだが。その前夜アレクシアは、両親から衝撃の話をされる。
「エルヴィーラの侍女として、貴女も城へ行きなさい」
やがて、どうしても王太子妃になりたい妹は自滅して破滅の道を辿り、それに反するように姉アレクシアは、沢山の人望を集めて人々から愛されるようになり……。
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
陛下から一年以内に世継ぎが生まれなければ王子と離縁するように言い渡されました
夢見 歩
恋愛
「そなたが1年以内に懐妊しない場合、
そなたとサミュエルは離縁をし
サミュエルは新しい妃を迎えて
世継ぎを作ることとする。」
陛下が夫に出すという条件を
事前に聞かされた事により
わたくしの心は粉々に砕けました。
わたくしを愛していないあなたに対して
わたくしが出来ることは〇〇だけです…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる