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第玖話

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次の日になり、制服に着替え、学校に向かった。一時退院といえど、病気になっていることは変わらないため、退学届を提出することを決めのだ。

-学校-
退学届に必要事項を書き込み、教務室にいる担任に退学届を出しに行った。
「おー!どうした?」
「これ…。退学届なんですけど。」
「えっ!」
「すみません、急なことで…。」
「そっか…。何か、不満なことでもあったか?それとも、家の事情とか?」
「違うんです。持病で。今は、一時退院中で。」
「そっか…。ごめんな。変なこと言わせて。」
「そんなことないです。」
「もしだったら、文化祭まで、学校に来てみない?」
「えっ…。」
「普段のサポートもするし、藍が構わないのなら先生方にも言って、理解してもらって、文化祭まで、皆と……クラスで楽しもうよ。」
「でも……。」
「体調が悪かったら、無断で保健室で寝てても構わないし、体育は休んでも構わない。」
「ん……。分かりました。でも、ホントに良いんですか?」
「あぁ。」
「ありがとうございます。でも、その退学届は先生が持っていてください。私はいつ死んでもいい身体になってきていて、たまに、激しい頭痛がおそう事もあるんです。なので、学園祭までは生きたいとは思っていますが、学園祭が終わるまで、生きられるかは分かりません。なので…。」
「分かった。預かっとくよ。」
「お願いします。」
「後さ、学校に来ることも決まったことだろうし、できたら、病院の担当の先生に学校内で気をつけたほうが良いこととかあるのなら、メモしてもらってきてくれないかな?」
「分かりました。紙とかは何でも良いんですか?」
「うん。何でもいいよ。」
「分かりました。」
「よろしく。」
「はい!」
藍は思いついたように、また、話し始めた。
「あっ!先生、後、部活も辞めようと思ってて…。なので、退部届を下さい。」
「はぁ?」
担任は少しばかり語尾がつり上がったような声を出してしまった。
「学校に来るのにか?」
「はい。」
「まぁ、いいけど。どこだっけなぁ~♪」
担任は机の上を色々とあさった。
「あー!あった、あった。はい。」
担任は退部届を見つけ、藍に手渡した。
「必要事項を記入して、提出すればいいから。後さ、日香川って、コピーできる環境にある?」
「えっと……。コンビニに行けば、何とか…」
「じゃあ、その用紙を記入したら、俺に一回見せて、コピーして、俺が一枚もらって、もう一枚は部長か顧問に渡してもらうことになるから。」
「分かりました。」
「あのまま、バスケ部辞めてもいいの?今日もバスケ部、やってるんじゃねぇの?」
「まぁ、やってるとは思いますけど…。」
「バスケ部としての活動、やっていけばいいじゃん。」
「じゃあ、バスケ部によっていこうかな。ありがとう、先生。またね、先生。」
藍は微笑みながら言った。
「おう!また、始業式にな!」
藍は教務室を退出して、バスケ部の練習場の近くにある、更衣室があるため、そこで、部活で使っていたジャージに着替えて、練習場(バスケ部)に行った。
練習場を覗くとシュートしてる様子が見えた。それに見入っていると、肩に誰かの手を置かれた感じがして、後ろを振り返ると三年の女の先輩だった。
「よっ!中に、入んないの?」
「あっ!どうも。」
藍の首に腕を巻かれ、練習場まで、連れて行かれた。傍から見ると、連行された状態になっていた。
「藍!」
「部長!最後に、部活に参加させて下さい。」
「‼藍、終業式に思わず言ってしまったことは謝る!だから、部活を辞めないで下さい。」
「私、先輩があんなことを言ってくれたから、バスケについてよく考える時間を取ることができました。で、私の中での結論が出ました。私は、今の私は……、バスケを楽しむことができていない。だったら、私はバスケを辞めて、好きなことを見つけたいんです。バスケについて、考えるきっかけを作ってくれて、ありがとうございました。」
藍は深々とお辞儀をした。
「藍。俺はあの時、言い過ぎてしまった。申し訳なかった。だから、部活を辞めないでくれ!」
「えっ!」
「最近、バスケ部の強豪と試合をしても勝てない。」
「日向くんが居るじゃないですか。」
「日向も、最近、部活に参加をしていない。最近は負けてばかりなんだ。お願いだ!辞めないでくれ!」
「藍。藍頼みは良くないって思ってるけど、これしか今は方法がないんだ!お願い!」
「部長。先輩。分かりました。ただし、条件があります。」
「条件!?何だ?」
「部長、次の試合に私を出してください。そこで、私らのチームが勝ったら、学園祭までマネージャーとして、ここに新たに入部します。ただ、相手チームが勝ったら、私はバスケ部を完全に辞めます。その時の試合は私は手加減をするつもりはありません。ありのままの私の力で勝負します。後、その時の試合は三人ずつの男女混合チームの試合でお願いします。」
「分かった。スタメンとかはこっちで決めてもいいか?」
「いいですよ。ただ、私と日向くんをスタメンにして下さい。」
「分かった。」
「よろしくお願いします、部長。」
その後、藍は『なんてことを言ってしまった!』と、後になって後悔していた。
藍はボールを持って、スリーポイントシュートを打とうと、決まった位置に立ち、ボールを狙いを定めて飛び、打った。
シュッ!
ボールがネットに吸い込まれるように入って、シュートをきめた。藍は自分の事を『体がなまってるな~』と思った。
何度も一人で自主練習をしていると、いつの間にか夜に近い空模様で、夜に近い時間帯になっていた。そろそろ帰ろうと更衣室で着替えを済ませ、藍は家に帰った。

-自宅-
家に帰ると風呂に入って、汗を流し、風呂からあがって、夕食を食べた。スマホをみると、着信履歴が十件以上あった。メールも何件か来ていた。
「どんだけ、皆、連絡してくるの?はぁ~。」
思わず、ため息が出てきた。
着信は李逵都と日向と萌香からの着信があった。
最初は萌香に電話をすることにした。
プルルルルルプルルルルルプルルルルルプルルルルルプルルルルル
『はい。もしもし、藍?』
「電話があったから…。」
『あぁ!合コンの話なんだけど、明後日、あいてる?』
「うん。一応…。」
『じゃあ、その日、開けといてね。合コンするから。後、男子が一人足りなくて…、それで、誰か、誘ってくれないかな?だいたいが、大学生なんだけど。』
「分かった。誘ってみるよ。」
『ありがと~!後さ、明後日なんだけど、駅前のいつも行くカラオケ店の前で午後十一時集合って、事になってるから』
「分かった。」
『じゃあ、またね。』
「うん!」
電話を着った。誘ってみることになった時、一人の顔が浮かんだ。
次は日向に電話をかけた。
プルルルルルプルルルルルプルルルルルプルルルルルプルルルルルプルルルルルプルルルルル
「もしもし。日向くん。電話が来てたから折返しお電話した次第なんですが。」
『そっか…。あのさ、勝手に次の試合に俺を出させようとしないでくれない?』
「最後の試合は日向くんと同じ舞台に立ちたいの。ダメ?」
『ダメじゃないけど…』
「良かった。ありがと!じゃあね。」
『えっ!』
藍はほぼ、日向に何も言わせないように電話を着った。
李逵都くんに、電話しないと。でも、いろんな人に電話したりしてたら、遅くになっちゃったし…、明日の朝方にしようかな?
藍は李逵都への電話は明日の朝方にすることに決めて、寝た。
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