蒼き瞳

秋月

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*交わる刃と離れた心

交わる刃と離れた心#4

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-柚綺side-

急いで城に向かう
確かに感じる魔力が1つ…しかも華夜の部屋からだ
胸が締め付けられる
もしも華夜が殺されたらと思うとこの俺が恐怖に支配された
お願いだ…無事でいてくれ…!

柚綺「華夜!!」

勢いよくドアを開けると目を疑った
目の前には星蘭に突き刺されている俺の部下と同じように刺されている華夜の姿だった

エマ「姫様!!」

星蘭に突き刺された部下はそのまま消えていき、刺された華夜は力尽きるようにその場に座り込んだ

エマ「柚綺様!ゆっくり刀を抜いてください!
私は傷を塞ぎます!」

その後、エマが治療してくれたおかげで華夜は無事だった
どうやら急所を避けていたらしい
華夜はと言うとまた深い眠りについていた
無事で安心した…それと同時にさっきの華夜の姿を見て徐々に怒りが込み上げてくる
今頃になって気付いた
このままじゃ駄目だ
あのじじぃを…華夜に危害を加える全てを消さないといけねぇ
無謀でも華夜に例え正体がバレても俺がやりてぇようにやる
このまま黙ってる事なんか出来るわけねぇだろ

-エマside-

しばらくすると姫様は目を覚ました
私を見ると姫様は小さな声で

華夜「ありがとう…エマ…」

お礼を言うことないのに…私はちゃんと貴方を守る事が出来なかった

エマ「いいえ。それより傷の具合はどうですか?」

華夜「大丈夫よ」

エマ「今夜はゆっくりお休みください
柚綺様と私が見張っているので大丈夫です」

華夜「そうね…そうさせてもらうわ…」

余程疲れていられるのだろう
姫様はすぐに眠りについた
私は姫様の側に付きながら柚綺様の事を考えていた
柚綺様が強いのは知っているけど同じ悪魔なのにあんなにも差があるもの?
第一同じ悪魔なのに柚綺様はどうして悪魔と敵対しているのだろう…
それに柚綺様が息のある悪魔を連れていった時…微かに聞こえた
あの悪魔が柚綺様を"ルイス"と呼んだ所を…
私の聞き間違いだろうか…だけど何かが引っ掛かるのは何故?

エマ「…白牙」

私が呼ぶと何もない所から風と共に白牙が現れた

白牙「ひでぇ血の匂いだな…何の用だエマ」

エマ「白牙、ナギサとアズナと一緒に調べてきて欲しいことがあるの」

白牙「調べてきて欲しいことだと?」

エマ「えぇ、悪魔の頂点に立つ男…ルイスの事を」

白牙「また骨が折れそうな事を簡単に言いやがって…華夜は寝てやがんのか。呑気なもんだぜ」

エマ「様をつけなさい白牙。無礼よ」

白牙「俺がどう呼ぼうが勝手だろ
もう行くぞ。ここに居たら鼻が腐っちまう」

エマ「頼んだわよ」

白牙が姿を消すと部屋は静かになった
ナギサとアズナが一緒ならきっと有力な情報を手に入れられる
この悪い予感が外れてくれればいいんだけど…

-華夜side-

ここは私の大好きな花畑?
周りは物音ひとつしない…また夢なのね
なら貴方が居るはずでしょ?

華夜「夜光?どこなの?出てきて」

私が貴方を呼ぶと優しい笑顔で貴方は出てきてくれた

夜光「ここに居るよ華夜」

そして夜光は急に私を抱き締めた
夢って不思議よね
死んだはずの貴方の温もりを感じるのだから

夜光「華夜、お前に会えるのもこれで最後だ」

華夜「最後?どうして?」

もう会いに来てはくれないの?

夜光「時間がない…大事な話だからよく聞いて」

華夜「…いや、聞きたくない」

だって聞いてしまったら夜光は消えるんでしょう?
もうこの夢の中でさえ会えないんでしょ?

夜光「華夜聞いて」

華夜「いや…っ離して夜光!」

夜光を振りほどこうとしたら不意に夜光にキスをされて体の力が抜けた

夜光「華夜を苦しめてるのは分かってる
でもごめん華夜…俺にはこうするしかないんだ…」

抱き締めてる手が震えてる…
悲しくて私の瞳から涙が溢れた

夜光「3日後に3年前のように大軍で悪魔達が攻め混んで来る。ルイスも華夜の前に姿を現す」

華夜「そんな…!」

夜光「華夜戦うんだ
月が滅べばこの世界も悪魔の手によって滅ぼされるだろう
そうなってはおしまいだ
それを止めるのは華夜、お前しか居ない」

華夜「夜光…でも私…力が…」


夜光「大丈夫。目が覚めたら全部戻ってる
更に強くなって」

華夜「それって…」

夜光「そう、華夜の中に眠っていた本当の力が溢れ出てる
今の華夜にはその力を操るだけの力もある」

華夜「夜光…」

夜光「…華夜、俺はもう行かなきゃいけない
だけど俺の事忘れないで
俺はずっと華夜の側に居る。華夜と一緒に戦う」

華夜「いや…行かないで夜光…っ」

夜光はもう1度私に優しいキスをした

夜光「華夜愛してる。俺はずっとお前の事を想ってるよ」

華夜「夜光!!」

夜光は微かな温もりと笑顔を残して私の前から消えていった

華夜「…ありがとう…夜光」

夜光の居なくなった空間で私は小さく呟いた
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