蒼き瞳

秋月

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*花と婚約者

花と婚約者#7

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華夜「ふぅ…いい気持ち」


夜になり、お風呂につかって今日の疲れを癒す
そして嬉しさが止まらない

紅羽様と伊那様にあんな風に言ってもらえるなんて私にとっては一大事の出来事
もっともっと頑張らなきゃ…!

それにしても…毎日毎日夜になると妖魔達の気配が凄い
今日は伊那様が下界に行かれているのよね
下界ってどんな所だろう。一人前の戦士になったら見られるかな…

そういえば私はまだ妖魔を直接見たことがない
書物で目にしたくらいで実際の妖魔ってどんな姿をしているのかしら…

その時何かの気配を微かに感じた


華夜「誰…!?」


湯気が沢山で辺りがよく見えない
感じた気配もたった一瞬で今は感じられない

見たところ誰もいない…?私の勘違いだった?
でも何か気持ち悪い…もう上がろう

その時だった。背後から何者かに口を塞がれた


華夜「……!?」


――――――……


紅羽「…何か入り込んだな」


美兎「だとしたら強者でしょう。魔力を消している」


夜光「妖魔が進入出来るのですか?」


紅羽「今は感知結界だけだからな…華夜…?華夜はどこにいる!?」


――――――――……


華夜「……っ!」


凄い力…!振りほどけない!


「おやおや、わらわの存在に気付くとは勘の良い娘のようだね」


女…!?女なのにこの馬鹿力…それにここに居るって事はこいつは妖魔!?

美兎…!

心の中で美兎を呼ぶけど反応はない


「美味しそうな血の匂いをしているね…持ち帰ってゆっくり喰ろうてやろう」


ぞくっと背筋が凍る思いだった
このままじゃこの妖魔に喰い殺される
そんなの嫌よ…誰か助けて…

誰か……夜光…!


夜光「その子を離してもらえますか?」


夜光…!助けに来てくれた…


「ほう、早いな。だがこの子はわらわが連れていく」


夜光「ふざけるな」


湯気でよく見えないけど低い声に私も思わずビクッとする
怒っているの…?


「わらわに楯突くとは良い度胸をしておる」


夜光「…放せと言ったはずだ」


夜光の強い霊力を感じたと思ったら私の後ろに居た妖魔が勢いよく後ろに吹っ飛ばされた

ガシャンッと窓が割れる音がした
妖魔は窓の外まで飛ばされたみたい
そして意識が遠退いてバランスを崩した私を夜光が受け止めてくれた


華夜「夜光…妖魔を…」


逃がしちゃいけない…早く殺さなきゃ…


夜光「心配ないよ。紅羽様達が待機していたから」


いつもの夜光だ
優しい手、優しい笑顔…安心する


夜光「…華夜怖かったよね。ごめんね」


華夜「ううん…助けてくれてありがとう夜光」


夜光「…それと華夜…今の状況分かってる?」


え?状況って…

我に振り返ってみるとここはお風呂場
お風呂に入っていた私はもちろん裸
しかも妖魔に襲われた恐怖で夜光に思いっきり抱きついていた

更に言うと妖魔を吹き飛ばした時に割れた窓から湯気が流れ出てて…なんとも言えない恥ずかしい状況


華夜「きゃぁぁぁ!」


思わず悲鳴が出て夜光から離れようとしたけど夜光は強く抱き締めたまま離してくれない


華夜「夜光!?」


恥ずかしすぎて全身が熱い


夜光「ごめん、でも今は動かないで」


夜光の心臓の音がやけに大きい…
だけど待って、ずっとこの状況なのも恥ずかしい!


パサッ


夜光「ごめん、体冷やすと悪いからね。着替えておいで」


夜光は自分が着ていた上着を1枚私にかけてくれた


華夜「う、うん…夜光は?」


夜光「紅羽様と話してくる。華夜は部屋に戻って休みなよ」


華夜「分かった…お休みなさい」


夜光は割れた窓から紅羽様達の方に向かっていった
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