約束の果てに

秋月

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*霊を消す者

霊を消す者#5

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私達のすぐ近くで聞こえた声
近くに人は居なかったと思ってたから突然の声に私達は驚いた
振り返った先には3人の男達がこっちを見て笑っていた
その3人を見た瞬間、私達は肝を冷やした

蓮「貴方達…霊…」

3人の体は透け、僅かに宙に浮いている体
声だけじゃ分からなかった

『ほら俺の言った通り
この子俺達の事見えてるじゃん』

『へぇ、見える人間に会ったの初めてかもじゃね?ちょっと感動~』

『そっちの女は既に俺達と同じ霊体
もう1人はまだ生きた人間…どうする?』

『当然一緒に連れて行くだろ
久しぶりに楽しめそうじゃん?』

私達を見る3人の目付きにゾッとした
昨日の悪霊と比べたらそこまでじゃないけど…
桜とは違う黒いものを感じる
こいつ等は悪霊で間違いない

蓮「桜…逃げよう」

何をしようとしてるのか分からないけど、こいつ等と関わっちゃいけないのは分かる

桜「それしかないね」

それ地こいつ等が悪霊なら桜が危ない
桜に良くない影響を与えてしまうかも知れない
桜をこいつ等から引き離さないと…
ここが何処かなんて今はどうでもいい
私は全速力で走り出した

『逃がさねーよ♪』

けど意図も簡単に私の行く先に回り込まれる
霊体のせいか動きが早すぎる

『逃げる女の子追いかけるの大好きなんだよね
けど逃げられるのも面倒だし、少しじっとしててくれない?』

その瞬間、全身を氷付けにされたみたいに悪寒が走って体が突然動かなくなった

蓮「体が…動かない…!?」

辛うじて口は動くけど、どんなに動けと力を入れても動かない

『ははっ、金縛り成功っと♪
どう?凄くない?幽霊になるとこんなことも出来ちゃうんだよ?』

私の顔を覗き混むようにケタケタと笑う幽霊の男
金縛りって…幽霊ってそんな事も出来るの…?

『あれぇ?震えてるの?
大丈夫、怖くないからさ
悪いようにはしないからさ』

桜「蓮を解放しなさいよ!」

桜は怒りに満ちた表情でそいつ等に声を上げた

蓮「だ…め、桜…逃げて…!」

『つーかまえた♪』

桜「…っ!」

私を助けようとした桜も簡単に奴等に捕まってしまった

『そんなに驚いてどうかしたか?
もしかして触られるの随分久しぶりだったりする?
俺達はお前と同じ霊体だぜ?
当然触ることだって出来る』

桜「は、離しなさいよ!このゲス共!」

『ふーん、そこそこ可愛いじゃん
ちょっと口が悪いみたいだけど問題ないな~』

蓮「桜を離して…っ」

『離すわけないじゃん?
お楽しみはこれからだし』

桜が捕まった…
"霊同士は波長も合いやすい
結界の中に居ないとお前もあっちに引きずり込まれる"
昨日の安藤くんの言葉が頭を蘇った
桜が桜じゃなくなってしまったら私はどうしたらいいの…!?

蓮「桜っ!」

『それよりは自分の心配したら?』

自分の心配…?

『生きてると俺達も一緒に連れていけないからさぁ
折角会ったんだし親睦深めたいじゃん?
ならやっぱり俺達と同じにならないとね♪』

陽気に語ってるけど、それってつまり私を殺すってこと…!?

『あ、青ざめたねぇ
状況が分かったかな?
大丈夫だよ、死ぬなんて一瞬だからさ』

恐怖で声も出せない
体が動かない筈なのに震えてるのは分かった

桜「やめて!私の妹に手を出すな!」

『はいはい、あんたは妹が死んで幽霊になる世紀の瞬間に黙って立ち合おうね』

次の瞬間、ガシャンと強い音がしたかと思ったら近くの酒瓶が砕かれて、地面には破片が散らばり光っていた
半分に割れた酒瓶がフヨフヨと浮いて、鋭く割れた刃先が私の方に向いた
ポルターガイスト現象ー…
金縛りだけじゃなくてポルターガイストまで使えるの…?

桜「蓮っ!」

待って待って…体動いてよ
私どうなるの?このまま殺されるの?
嫌だ…怖い…!

『怖がる事なんてないさ
楽しいぜ?こっちの世界は』

桜「蓮っ!!」

―…誰か助けてっ
向かってくる鋭い刃に怖くてギュッと目を閉じた
だけど次の瞬間に聞こえたのは男の異様な叫び声だった

『ぎゃあああ――!』

蓮「…っ!?」

その悲鳴にパッと目を開けると目の前に止まった酒瓶が力を失ったように下へ落ちて、ガシャンっとバラバラに割れた
そして悲鳴を上げた男の方を見ると苦しみながら消えていく姿が見えた
そしてその男からひらひらと舞い落ちていくお札が見えた
更に私の後ろから残った2人に飛んでいくお札
お札を当てられた2人は1人目と同じ様に苦しそうに悲鳴を上げながら消えていった
霊が消えたことで金縛りも解けてフッと体が軽くなった

桜「蓮っ!!」

桜は涙ぐみながら私に駆け寄ってきた
お札って事は…私は振り返った先には…

琉「ギリギリか」

やっぱり安藤くん…っ

桜「蓮、どこもなんともない!?大丈夫!?」

蓮「な、なんとか大丈夫
桜も無事で良かった…連れて行かれちゃうかと思って怖かったから…
安藤くん助けてくれてありがとう…」

助かって本当に安心したけど、まだ怖くて手が震えてる…
安藤くんが居なかったら私はまた…
だけど安藤くんは私を見ると、

琉「…白雪、俺が言いたい事は1つだ
―…この馬鹿!!」

って声を上げた
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