バンパイアガール

秋月

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*真実

真実#4

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そして家に辿り着く頃にはすっかり日が暮れて、大地の真ん中に私と陽香が暮らしていた家がポツンと建っていた
まるで誰かが帰ってくるのを静かに待ってるみたいだった
ここを訪れるのはあの日以来初めて
あれから少し時間が空いたけど…やっぱりここに居ると胸が苦しくなる
思い出すだけで涙が溢れそうだった

リーダー「…依月大丈夫か?」

リーダーが心配そうに声をかけてくれた
リーダーが優しすぎるからその優しさに甘えたくなってしまう…
だけどいつまでもその優しさに甘えてられない

依月「…ごめん、大丈夫
今はやることをしなくちゃ」

私は家の鍵をあけてガチャリ…とドアを開けた
久しぶり帰った家は真っ暗な暗闇に包まれてとても静かだった
だけど私もリーダーもドアを開けた瞬間に異変に気がついた
この家に無い匂い…人の気配…
ううん、バンパイアの気配!

リーダー「…気を付けろ依月、誰か居る」

依月「分かってる、バンパイアだ」

私達は銃を構えた
なんで誰も居ない家にバンパイアが?
掃除はしたけど微かに残った陽香の血の匂いを嗅ぎ付けた?
でも何か引っ掛かる
この匂い前もどこかで嗅いだことがある
まさか陽香を拐ったあいつ!?
ううん…あいつの匂いとは少し違う…
リーダーのハンドサインを合図に私達は家の中に入り、奥に進む
そして陽香が襲われた部屋を覗くと暗闇の中に微かに差し込む月明かりに照らされるバンパイアの影があった

リーダー「見つけた…
何か知っているかもしれない
まだ撃つなよ?俺の合図で飛び込む
行くぞ」

私は頷いて答えた
そして緊張感の中、リーダーの合図と同時にドアをぶち開けた

リーダー「動くな!」

部屋に入り銃口をバンパイアに向けた
山下さんと繋がってるかもしれない唯一の手掛かり
情報を吐かせるまで簡単には殺せない
勿論逃がすこともしない!

依月「貴方の知っている事を話して貰う!
逃げようとすればすぐに殺す!」

銃口を向けられているにも関わらずそのバンパイアはとても静かで、戸惑うことなく私達に話し掛けてきた

「この匂い…もしかして唯奈、玲音れお!?
うわぁ懐かしい!久し振りだね、僕の事覚えてる?」

まるで久し振りに再会した友人の様な反応
真っ暗な部屋の中に強く月明かりが射し込み、曖昧だったバンパイアの顔を照らした
ハッキリと見えたバンパイアの素顔に私もリーダーも思わず構えていた銃を下ろして驚愕した

依月「…え!?」

リーダー「あんたは…リュク!?」

私達が覚えていることが分かると、リュクは嬉しそうに私達に抱き付いてきた

依月「わ!?ちょっと!?」

リュク「せいかーい♪
覚えてくれてたみたいで嬉しいよ
それにちょっと見ない間に逞しくなったね2人共」

突如私達の前に現れたバンパイア、リュク
バンパイアは歳を取らない生き物だけど、子どもの頃に合った時と姿が全く変わらない
他のバンパイアとは少し風変わりなサラサラな青黒い髪と宝石みたいに綺麗な瞳
って見とれてる場合じゃない!

依月「リュク!?どうして貴方がここに!?
貴方は死んだはずでしょ!?」

バンパイア、リュク
バンパイアの中で頂点に立つ力の持ち主で伝説的な存在で私達を純血にした張本人なんだけど…
そのリュクが今、私達の目の前に居る
だけどそれはあり得ない
だってリュクは…

依月「なんで貴方がここに居るの!?
貴方は死んだはずでしょ!?」

ある日、私達の前から忽然と姿を消して、バンパイアの間でも死んだとされていたのに…っ

リュク「うん~、どうやらそう言われてるらしいね
誰が僕が死んだなんて不愉快な噂を流したのか知らないけど、見ての通りど僕は死んでなんかいないよ
現に僕はここに居るでしょ?
あ、もしかして僕の事幽霊だと思ってる?
唯奈初めて僕と会った時、僕の事をお化けだと思ってたもんね」

と言われて少し恥ずかしくなった
その話を知ってるって事は紛れ間なくリュクだ…

依月「そ、それは子どもの頃の話でしょ!?」

そんな中でも冷静に状況を整理しようとリーダーが口を開いた

リーダー「リュク、どうゆう事か説明して貰えるか?」

リュク「因みに僕が死んだって誰から聞いたの?」

リーダー「主にバンパイアが口を揃えてそう言っている
俺達も突然お前が消えた事もあるし、組織がいくら調べてもお前の痕跡1つ見つけられなかったからな」

リュク「ふーん?
きっと突然僕が消えたから、バンパイア達は僕が死んだと思ったのさ
でも本当はただ力を蓄える為に長い眠りについていただけだったのさ♪」

依月「何年も!?
バンパイアがそんなに眠るなんて聞いた事ないよ!」

組織の研究でバンパイアが力を蓄える為に眠りにつくことは知っている
だけど眠りの期間は数ヶ月程度か長くても1年近くの筈なのに…
リュクの言葉通りなら私の前から消えた日から今の今まで眠ってたってことでしょ!?

リュク「普通のバンパイアはね
でも僕は違う
他のバンパイアと違って膨大な力を持っているから眠りも長いんだ
因みにやっと昨日起きた所だよ♪」

と笑顔でリュクは言った
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