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ポラリス・ローズ・クラブ
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ーーーヴェルシュターク公爵家
結婚式を一週間後に控え、私、エミーリア・ヴェルシュタークはあることを耳にし、頭を悩ませておりました。
私を悩ませるもの……それは、もちろん結婚式……のことではありません!
アンナ御姉様のことでございます!
日々増えてくる御姉様の信奉者。
それを纏め上げる為、私は『ポラリスクラブ』というものを、立ち上げたのでございます。
これはアンナ御姉様をお慕いする者、いわゆる同士が集い、最新の情報を共有するためのもの。
会員制になっていて、御姉様を愛する同士ならば、貴族、平民を問わず入会出来るようになっています。
最近は商工組合からも、問い合わせが来ていて、そちらに窓口を設置するのに、もう大忙しなのですわ!
心を一つにし、御姉様をお慕いする。
それが、この『ポラリスクラブ』の理念なのです。
アンナ御姉様は皆のもの、誰かが抜け駆けしないようにとの、まぁ、牽制というのもありますかしら。
あ、もちろん、御婚約者のクリム・グリュッセル様は別格です。
ポラリスクラブの規則、第一項1節にこうありますのよ。
《アンナ様のお慕いするクリム・グリュッセル様に関する項目………お二人を邪魔することは厳禁!!温かく見守り、これを助け、円滑な御交際が送れるように配慮すべし!》
とね。
そうやって、順調に会員数を伸ばしていたある時。
王城に勤務する弟、マリウスから大変なことを聞いたのです!!
それは、皇帝陛下主催の舞踏晩餐会でのこと。
私達のアンナ御姉様は、またもや賊を打ち倒し、殿下や各国の来賓の方をお守りしたの。
さすが御姉様!
やはり、私達の目に狂いはない。
また信奉者が増えるわね。
と、安易に考えていたのだけど……。
あろうことか、舞踏晩餐会に出席していた姫君達が、御姉様に称号を贈られたとか!!
その名も、
『五色の薔薇の騎士』
ふん、何それ?
センスないわー。
…………あ、いけない……失礼しました。
怒りが振り切れて、悪態をついてしまったわ!
と、とにかく、私達の他に、御姉様に愛称をつけるなんて許せない!
例え姫君達であろうとも………。
「エミーリア??」
唐突に掛けられた声に、私は振り向きました。
「ひっ!あ、あなた何て顔しているの……そんな顔、ファデラー様に見せていないでしょうね?」
あら、一体どんな顔していたのかしら?
普通だと思うけど?
「お母様。部屋に入るときは、先に声を掛けてくださいって言ったのに……」
「ええ、悪かったわ。でもね!それどころじゃないの!!ほら、これ見て!?」
と、母から手渡されたのは、美しい手透きで作られた手紙。
大量生産されたものじゃなくて、職人の手作りのよう。
すごく高価なものだわ。
宛名は私、エミーリア・ヴェルシュターク。
一体誰が??
「お母様、これ。いつ届いたの?」
「今しがたよ。ラストニアの大使の方が持ってきたわ」
「何ですって!?大使!?」
私は急いで封蝋を確かめました。
翼を広げた鷹が、3色の国旗を持っている………これは……ラストニア王家!?
「あなた……何かしたの?」
不安そうに尋ねる母に、私は何も言えなかったわ。
あ!いえ、何も覚えがなかったからよ!?
本当よ!?
……………とにかく、開けてみなくては。
「お母様、開けるわ」
「ええ……私、外にいるわね」
「……はい」
そうして母は扉を閉め、私はペーパーナイフで手紙を開けました。
中には、あり得ないくらい達筆で書かれた手紙が2枚入っていたわ。
『ヴェルシュターク公爵家、エミーリアさんへ
いきなりのお手紙、さぞや驚かれたことでしょう。
初めまして、ラストニア国、第二王女、クロエ・フェン・パルマです。
形式的な挨拶は省かせてもらうわね。
実は先日、貴国の伯爵令嬢アンナ・オズワルドに称号を送ったのだけど、この件は知っているかしら?
舞踏晩餐会での見事な場の鎮圧、その立ち回り、華麗なる身のこなし、全てにおいて美しい彼女への称賛を込めてね。
その折り、各国の姫君達と、あるサロンを定期的に開こう、ということになったの。
その名も「ローズクラブ」。
もちろん騎士様からお名前を取ってね。
でも、それには一つ問題があったのよ。
私達、ザナリア国内のことはあまりわからないでしょ?
騎士様の近況がまるでわからないの。
そこで!
騎士様に一番近いエミーリア・ヴェルシュターク、あなたにそれを助けて貰おうと思ったの!
どうかしら?
あなたの主催するポラリスクラブと、私の主催するローズクラブ。
2つを合わせて「ポラリス・ローズ・クラブ」で統一し、情報も共有というのは如何?
代表はあなたで、副代表が私。
いい考えだと思わない?
色好いお返事を期待しているわ!
クロエ・フェン・パルマ』
……………………………………。
……………………………………。
………………大変なことになりました。
エミーリア・ヴェルシュターク……もうすぐエミーリア・オズワルドになりますが………どうやらこれから、大変忙しくなりそうですわ!!
結婚式を一週間後に控え、私、エミーリア・ヴェルシュタークはあることを耳にし、頭を悩ませておりました。
私を悩ませるもの……それは、もちろん結婚式……のことではありません!
アンナ御姉様のことでございます!
日々増えてくる御姉様の信奉者。
それを纏め上げる為、私は『ポラリスクラブ』というものを、立ち上げたのでございます。
これはアンナ御姉様をお慕いする者、いわゆる同士が集い、最新の情報を共有するためのもの。
会員制になっていて、御姉様を愛する同士ならば、貴族、平民を問わず入会出来るようになっています。
最近は商工組合からも、問い合わせが来ていて、そちらに窓口を設置するのに、もう大忙しなのですわ!
心を一つにし、御姉様をお慕いする。
それが、この『ポラリスクラブ』の理念なのです。
アンナ御姉様は皆のもの、誰かが抜け駆けしないようにとの、まぁ、牽制というのもありますかしら。
あ、もちろん、御婚約者のクリム・グリュッセル様は別格です。
ポラリスクラブの規則、第一項1節にこうありますのよ。
《アンナ様のお慕いするクリム・グリュッセル様に関する項目………お二人を邪魔することは厳禁!!温かく見守り、これを助け、円滑な御交際が送れるように配慮すべし!》
とね。
そうやって、順調に会員数を伸ばしていたある時。
王城に勤務する弟、マリウスから大変なことを聞いたのです!!
それは、皇帝陛下主催の舞踏晩餐会でのこと。
私達のアンナ御姉様は、またもや賊を打ち倒し、殿下や各国の来賓の方をお守りしたの。
さすが御姉様!
やはり、私達の目に狂いはない。
また信奉者が増えるわね。
と、安易に考えていたのだけど……。
あろうことか、舞踏晩餐会に出席していた姫君達が、御姉様に称号を贈られたとか!!
その名も、
『五色の薔薇の騎士』
ふん、何それ?
センスないわー。
…………あ、いけない……失礼しました。
怒りが振り切れて、悪態をついてしまったわ!
と、とにかく、私達の他に、御姉様に愛称をつけるなんて許せない!
例え姫君達であろうとも………。
「エミーリア??」
唐突に掛けられた声に、私は振り向きました。
「ひっ!あ、あなた何て顔しているの……そんな顔、ファデラー様に見せていないでしょうね?」
あら、一体どんな顔していたのかしら?
普通だと思うけど?
「お母様。部屋に入るときは、先に声を掛けてくださいって言ったのに……」
「ええ、悪かったわ。でもね!それどころじゃないの!!ほら、これ見て!?」
と、母から手渡されたのは、美しい手透きで作られた手紙。
大量生産されたものじゃなくて、職人の手作りのよう。
すごく高価なものだわ。
宛名は私、エミーリア・ヴェルシュターク。
一体誰が??
「お母様、これ。いつ届いたの?」
「今しがたよ。ラストニアの大使の方が持ってきたわ」
「何ですって!?大使!?」
私は急いで封蝋を確かめました。
翼を広げた鷹が、3色の国旗を持っている………これは……ラストニア王家!?
「あなた……何かしたの?」
不安そうに尋ねる母に、私は何も言えなかったわ。
あ!いえ、何も覚えがなかったからよ!?
本当よ!?
……………とにかく、開けてみなくては。
「お母様、開けるわ」
「ええ……私、外にいるわね」
「……はい」
そうして母は扉を閉め、私はペーパーナイフで手紙を開けました。
中には、あり得ないくらい達筆で書かれた手紙が2枚入っていたわ。
『ヴェルシュターク公爵家、エミーリアさんへ
いきなりのお手紙、さぞや驚かれたことでしょう。
初めまして、ラストニア国、第二王女、クロエ・フェン・パルマです。
形式的な挨拶は省かせてもらうわね。
実は先日、貴国の伯爵令嬢アンナ・オズワルドに称号を送ったのだけど、この件は知っているかしら?
舞踏晩餐会での見事な場の鎮圧、その立ち回り、華麗なる身のこなし、全てにおいて美しい彼女への称賛を込めてね。
その折り、各国の姫君達と、あるサロンを定期的に開こう、ということになったの。
その名も「ローズクラブ」。
もちろん騎士様からお名前を取ってね。
でも、それには一つ問題があったのよ。
私達、ザナリア国内のことはあまりわからないでしょ?
騎士様の近況がまるでわからないの。
そこで!
騎士様に一番近いエミーリア・ヴェルシュターク、あなたにそれを助けて貰おうと思ったの!
どうかしら?
あなたの主催するポラリスクラブと、私の主催するローズクラブ。
2つを合わせて「ポラリス・ローズ・クラブ」で統一し、情報も共有というのは如何?
代表はあなたで、副代表が私。
いい考えだと思わない?
色好いお返事を期待しているわ!
クロエ・フェン・パルマ』
……………………………………。
……………………………………。
………………大変なことになりました。
エミーリア・ヴェルシュターク……もうすぐエミーリア・オズワルドになりますが………どうやらこれから、大変忙しくなりそうですわ!!
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