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遠のくスローライフ

招かざる客 3

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動いたのはルイーナだ。

「ボリビアお嬢様お戻
「ちょっと!何度も言ってるわよね、私をミホと呼びなさいと!」

「はい、でも ごほ
「幼児様はご自分のお名前がお気に召さないらしいのね。ご自分の名を付けた下さった方に直接 苦情を申し上げれば良いこと」

遮ってごめんねルイーナ、でもね知られたくないのよ。
幼児様はワナワナと震えてるけど私には罪は無い。

「申し訳ございませんが、まともにご挨拶が出来ない方は出て行って貰えないでしょうか?お茶会で集まってますのよ」

ジェイシー迄も駆けつけてくれたのね。ふふっ、嬉しい限りね。

「まぁ!ジェイシー様、凄いですわ、舞踏会で華の三姉妹と名高いジェイシー様、テッシー様、ロリーナ様。御三方が揃うと正しく美の華と誰もが口を揃えて言いたくなりますわ。皆様 眩しいほどお美しいいわ」

「ふふふっ そのように言って貰えて悪い気はしないね」

優雅に笑って答えるテッシー。

「確かに、嬉しいわね。でも、そのように言われてたのはいつの頃かしら?」

あらあら、おっとりロリーナはかなり鋭い所を付いてくるのね。嫌いじゃない。

「さぁ、そんな風に呼ばれてたの?でも、同じ 淑女として憧れを持って下さる方が綺麗なお花なら私達も嬉しいわね」

遠回しに綺麗な華では無いって言ったのよね、毒華と言ったのよね?確かに性格も最悪ならお洋服も目に痛いもの。

「母のお茶会に来てくださった御三方を見て私は憧れましたの。ですから、この邸がテッシー様が少しでも縁があると知りこの地に来た時は必ずこの邸に滞在することに決めてますの。父も兄も滞在がこの邸だと思ってらしゃる筈なのに この平民が。それとお気づきかしら。この邸には従者がこの男1人しかおりませんのよ。
従者も雇うお金もないかたなのよ。
そうだ、貴方 とても素敵よね。月金貨1枚出してあげるから私に付きなさい。
ルイーナは貴方はクビよ」

よー喋ったな幼児様。お疲れ様ですね。

「じゃ、ルイーナ嬢は私が雇うわ。よろしく」

「へっ、え 、ちょっと・・・はいよろしくお願いします」

いきなりのクビで、そしてすぐに私に雇われたのだ。戸惑うのも分かる。

「悪いが 私は貴方には 雇われるつもりは無い」

「あら、その平民よりも破格の待遇よ」

「目にも鮮やかな色と高価なレースを贅沢に使っての華やかさの演出。誰もが袖を通せないドレスを堂々と着こなせるのは幼児だからなのだろう。私にはそんな人の所には行きたくはない」

ユキナで良かった。でも、コウキのズバリも面白いのよね。

「あ、あなたは王都の流行りを知らなくても仕方ないわ、平民ですものね。でも、私の側でしたら色々と流行りが分かるってものよ」

「そんな 流行りは知りたくもない」

「ビア!」

「ライお兄様。なぜ・・・」

「すまないね。ボリビア嬢、うちの邸を借りたいと申し出があったと聞いたのだが、今は貸し出しているから貸せないと申しても聞き入れてもらえなかったと聞いたものでね」

「我が妹が失礼した。お詫びはまた後日にて。ほら行くぞビア!」

「なんでですの!この邸は高位貴族の為に借家として貸し出されてる邸!それがこんな平民の、しかも従者も雇えない者が借り受けてますの?納得いきませんわ」

「悪いが貴族でも平民でも、月に決められた賃貸を払って下さるなら貸す。今まで、この邸の賃貸を払えるのが高位貴族だけだったという事だ」

「そ、そんな・・・
「ボリビア 行くぞほら」

兄に腕を掴まれて玄関に引きずって行かれる幼児様。

「そうだ、言い忘れてたけど、ルイーナ嬢はその幼児様にクビだと言われたので私が雇いました。即刻今日までの給金を計算して下さい、それとルイーナ嬢の荷物はひとつ残らず纏めてここまで送り届けて下さい。送り賃はが払いますので。ルイーナ嬢最後になにか言いたい事が有れば言っときなさい」

「あの 本日までお世話になりました」

「ルイーナ嬢、今日まで我儘な妹に良く仕えてくれて心から感謝する」

妹で苦労してますね。哀れな、親が甘やかした証拠です。

幼児様が出ていた後は婦人方が耐えきれずに扇子で目元まで隠しクスクスやっております。

ほっほぉー、笑い顔も隠すのね。
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