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スローライフに不穏な足音

朝塩の事情

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男の子か女の子か確かめようとしたが 嫌がれて断念した。

もうしないから抱っこさせてと言うと、大人しく抱っこされてる子犬を胸に抱き子犬を心ゆくまで撫でてる。

幼児体型特有なのかポコンと 出たお腹にプニプニ ピンクの肉球 クリクリの青目
短い前脚を懸命に動かしては私の手を捕まえてくる。

本当に可愛いと ぽつりぽつり呟いてはニヤついてしまってる。

「お兄ちゃんが来ないね、寝坊君を起こしに一緒に行こうか 」

大人しく抱かれた子犬がジタバタと手脚を動かして腕の中から逃れた。
あっ、落ちると焦っても危なげなくスタッと着地した子犬

「もぉ、いきなり暴れたら危ないでしょ。落ちて怪我したら痛いのは自分なんだから 気をつけてね」

あら?ため息とてしてし姿はアオトにそっくりだ。
犬ってこんな癖が元々あるのかな?知らなかった。

「さぁ 寝坊助お兄ちゃんを起こしに行こう」

抱きあげようと手を伸ばすとスルッと交わす子犬

「お兄ちゃんの所に行きたくないのかな?いい子でお留守番しててね」

言葉が伝わってるのか 頭を撫でる時は素直に撫でさせてくれた。

部屋を出て アオトの部屋をノックするが返答がない。ドアノブを掴んで開けると 抵抗感無くドアが開いた。
部屋を覗くとアオトはいなかった。

誰も居ない部屋で待っていても仕方ない、自分の部屋に戻ると 子犬は居ない代わりにアオトが ベットに腰掛けていた。

「あれ?アオトいつ来たの・・・子犬いなかった?」

「子犬は・・・見てない」

「そうなんだ。この宿に子犬が居てね、朝起きたら私のベットに一緒に寝てたの。とっても可愛い子犬だったんだ」

「そうか、それよりも ギルマスが9時に迎えに来るのだから先に準備しとかないとな」

「そうだね、ご飯に行こうか」

夕飯は塩味のみのだったけど、今朝はマシになってると思い朝食に向かったのだが

「・・・・・」

気合いの入った 塩味
コレは食べちゃダメなレベルだ。
回りに人が居るために そのまま残して 立ち上がり部屋に戻る。

黙ってイベントリからホットドッグとクラムチャウダーを取り出し黙って食べる。

「アヴットはどうしたのかな」

「アヴットは投獄されてると思うぞ」

「は!ちょっと待って、投獄ってなんで!!」

「昨日 自ら盗作を自白しただろ、その場にギルマスいたんだ。見逃すと思うか?」

「盗作って、そんなに大変な罪なの?」

「他人の作を盗み 糧を得るとなると計り知れない金貨が動く。当然の処罰だな。だが、アヴットは盗作しようとしたが 完成させて無い。罪は軽るいと思うぞ」

確かに 盗作は罪だ。だからといってまさか自分の行った行動で罪人を生み出すとは思いもしなかった。

「助け出して挙げれないかな」

「ミホの居たい所では盗作の罪は無かったのか?」

「あるよ。でも、まさか自分の取った行動で誰かが罪になるとは思わなかったし、宿の料理が塩料理になるとは誰も思わなかった」

「確かに今朝は酷いな。助けれるかは分からないが、ギルマスの事だ、商業ギルドの後にでも、騎士が事情を聞きに来ると思うからその時に素直に話せばいい。そお 落ち込むな、盗作と言っても未遂だ。そんなに酷くはない。街の奉仕活動を言い渡される位だ」

奉仕活動位なら そんなに酷くは無いだろ。

「分かった。素直に話すよ」

「そろそろ ギルマスが迎えに来る。忘れ物が無いのなら下に下がるぞ」

鍵を持ち アオトと共に下に下がると、女将さんが 近寄ってきた。

「ミホさん ごめんなさい。アヴットが大変な迷惑をお掛けしました」

「いえ、私が調理場を借りなければ 今回の様な事は起きなかったんです」

「そんなことはないよ。冒険者の人は良く調理場を借りて 森の中で食べる物を簡単に調理して持っていくからね、珍しい事は無いのよ」

そうなんだ、知らなかった。

「私ももっと気をつけてれば 今回の事は無かったんです。私の方こそすみません」

「ミホさん、あなたが謝ることは無いのよ。いけない事だと分かっていながらやろうとしたのがいけないのよ」

「あの、アヴットさんは コチラに戻って来れますか」

「戻ってきてもらわないと困るわ」

よかった!アヴットが戻る場所があるのは、私としても嬉しい。

「早く戻って来れるように、私からもお願いしますから」

「ありがとうミホさん。宜しくね」

おはようございます。と 声が聞こえてきた方を振り向くと 声のとおりの麗人が 朝からペテン師笑顔を浮かべて立っていた。
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