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鍵 7

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グラタン 焼きに行こうかなぁ~ でもなぁあ~。
壁1枚 隔てた向こう側なのに相手が居ないと分かってる部屋に行くのは気が引ける。が、アリィールさんからは[グラタン 美味しかった?]と メールが届いてる。しかも1時間程前に、それっきり メールか届かなくなってしまった。

「合鍵持ってるからって 相手がいない部屋に行ったらダメだよね」

アリアーナちゃんに語りかけると「そうだよ」と返してくれる。

お腹空いたなー。コンビニ行くか。

財布と鍵だけを持って コンビニに行くと弁当が売り切れ状態。
はぁー、こんな事なら帰りに買って帰れば良かった。カップ麺とおにぎりを買って帰れば玄関前にアリィールさんが立ってた。
もう、帰ってきたの?今日の主人公なのに大丈夫なのか?きっと 今頃 女性達が大いに悲しんでるぞ!?

そんな事を考えてるとアリィールさんは顔だけをコチラに向けたかと思うと身体もコチラに向けて突進して来た。

飲み会でなんか嫌な事あったのか?見るからに怒ってる、よな?

「ちょっと 失礼します」

言葉は丁寧だが 行動は相反する。
手に持ってたコンビニ袋を奪うと 中身を確認した。

「へぇー、なんですかコレは?夜食ですか?」

「あー。それ、な・・・」

ニコニコ 笑いながら聞いてくるアリィールさん。
ニコッと笑ってるが、思わず 本気で笑ってるのか?!と確かめたくなる。良く漫画に出てくる 激おこに使われる背景と お決まりの額に青筋が見える。
その為か 正直に答えることが出来ずにオドオドしてると無言で手首を掴まれて引き摺られる。

連れてこられたのはアリィールさんの家だ。

俺を部屋に連れて一言 座ってて下さい!と言うと すぐさま冷蔵庫を確認したアリィールさん。

「コレ 気が付きませんでした?わかりやすく真ん中の棚の手前に置いてたのに」

あー、ごめん。心の中で謝るが 声が出ない。
29年と11ヶ月生きてきた経験。今 一言でも余計な事を言えば火に油を注ぐ事になりかねない。余計な事は言わずに 低姿勢で謝るのみ。

「ごめん。」

「鍵を渡してるのは、信頼してるってこと。俺が居なくても勝手に入っていいってこと 分かってます?」

「・・えっと、ありがとう ございます?」

俺は何時 アリィールさんに信頼される人間になってたんだ?同じ職場でたまたま 隣に引っ越して来て数回 一緒にご飯食べただけの人間だ。

「本気で分かってます?」

「あーはい、はい?」 

「・・・兎に角、こんな身体に悪そうな夕飯は没収です。いいですね!」

「はい」

エプロンを付けてカタカタとキッチンで動き始めてしまったアリィールさんをチラッと見ると 飲んでる風では無さそうだ。
歓迎会で飲みに・・・行ったんだよね?

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