赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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上質な恋を

罰と禁止で錬金術発動 9

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ノットさんに手紙ですと渡されて悩みながらも、マーサの手紙を書くよりも先に書くことに決めた。

手紙はアルのお母さんからで、寒くなってきたけどお身体は大丈夫?からの騎士達のレッグウォーマーの試作品の進み具合を聞きたいとそれとなく書かれてた。今回1番大事だと思われるのが、レッグウォーマーの販売するに当たって俺の名前で事業の設立して俺の所有権として使う事とアルの兄弟にあって欲しい旨を丁寧に書かれてた。

レッグウォーマーはレバンチィーノ商会が独占権で販売をするけど所有権は俺ってこと。規模はわかんないけど会社を起こさないといけなくなる。会社となると社名が必要で、名前をそのまま使われるとなると伊織製糸制作所的な?ヤダな自分の名前を大々的に見せるのはちょっと抵抗がある。レバンチィーノは苗字だから俺は相澤製糸制作所でも良くね。

後は、作業台として置かれてる机の上のトウカチョウの殻と棒に何重にも巻かれた糸。
布の様に織るとしても俺の中にあるの織物は機織り機だ。縦糸に横糸を通し1つ織る、それを何度と無く繰り返す作業。普通の糸ならそれで問題はないけどトウカチョウの糸が無事に織れるかも分からないし、強度も分からない。まだ手探り状態だと正直に伝えた方が良さそうだ。

つらつらと考えながらも書き、最後にアルの兄弟に会うのは少し緊張します。と、書き加えた手紙をノットさんに託した後にマーサへのお願いの手紙に取り掛かった。




「魔獣狩りですか。悪しき歴史としか言い様が無いです。女性は編み物に刺繍、お茶会にドレスに宝石と絶え間なく興味を持ちますが、男性は仕事と家の往復。コレといった興味も熱中する物が無い。そんな時に1人の男爵が何度か自身の護衛を頼んだのが切っ掛けで個人的に冒険者に依頼を出したのが魔獣狩りです。

大きくなれば倒すのも一苦労の魔獣も、産まれて間も無い魔獣なら そう苦労せずとも捕らえるのは簡単だろと持ち掛けられた冒険者は、依頼を正規のギルドに通さずに受けてしまった。

1ヶ月が過ぎた頃 冒険者は依頼通りの魔獣を生け捕りにして帰ってきた。
魔獣を封印魔法石の檻に入れ育てる間に 新たな魔獣狩りを依頼。破格の金銭に目が眩んだ冒険者はまた森の中に入り産まれて間も無い魔獣を生け捕りにして男爵の元に連れて帰った。其れを何度も繰り返し行った。連れてこられた魔獣を育てながら男爵は地下には魔法石版を使った闘技場を作り上げ育った魔獣を戦わせ始めた。

魔獣同士どちらかが無惨に死ぬ絶えるまで戦わせるのが面白くてしかないと思っていた男爵は、こんな面白い見世物を他の人にも見せてやろうと、一人二人と見物人を集め始めると共に金儲けが出来ると賭け事を持ち掛けた。

魔獣同士の闘技が近場で見られると しかも賭けに勝てば金儲けも出来ると、男爵の元に次々と人が集まり賭け事に魅了され始めたもの達が現れ始めた。
それと同時進行で男爵は冒険者達を正規のギルドとは違い闇ギルドの責任者にして、破格の金銭での魔獣狩りをする者を密かに集め依頼を出し始めました。

闇ギルドの存在を知ると自分も魔獣を持ち 闘技に参加したいと思い始めるのには時間が掛かりません。
闇ギルドは魔獣狩りの依頼をこなし、依頼主に魔獣を渡し育て闘技場に送り込む。

許されない行いが十数年も地下組織で行われてた。そして数十年に一度、世界のどこかでスタンピードが起きると認識が覆された。各地で一斉にスタンピードが起き世界中で大混乱が起きたのです。

その大混乱の中でも厄災級SSランクのミスリルゴーガイルやブラック双頭竜などの魔獣大軍に襲われたのがルミ国のリバード男爵家の領地を荒らしに荒らされ、地下の闘技場が地上に剥き出しになり悪事が誰の目にも公になりました。
男爵は勿論親族や関わった者は民衆の前で処刑されてます。

今ではリバード男爵の領地はルミ国が管理をしてますが、魔層溜りとなり誰も住めない領地となったままです。そして、歴史的初となる5カ国同盟が作られました。それがむやみな"魔獣狩り禁止"となります。
規約は
生け捕りにはしない又は魔獣は攫わない。
邸宅では飼わない。但しテイムしてる獣は除く
テイムしてる獣同士を闘技させない。
魔獣闘技は禁止。
となります」

魔獣狩りについて調べるには詳しい人物に話を聞くに限ると歴史学に詳しいイオリの義父であるホルエインを緊急に呼び出し、父とユージの父親であるグレイクそしてマーサとユージとアラン、そして陛下にもか急遽に時間を作ってもらった。

「ギドルも依頼が適正かを見極めて討伐依頼を冒険者に依頼を出すし、我々も討伐した時は証拠部位を持って帰り報告義務は絶対だ」

大まかな決まりしかないのは魔獣が人々にとって脅威になる場合が多い。討伐した場合は何をどの位 討伐したかを調べる為に証拠として魔獣の1部を持って帰る義務があり冒険者は討伐証拠で賃金を稼いでる。
他にも色々な依頼の中でも我々騎士達と共に手を組み討伐当たるって貰う事も少なからずあるので顔見知りも多い。今回の大掛かりな国全体の厳戒態勢にも1部 冒険者達に依頼を出してる。

「もし 討伐した場合 持って帰って高値が付くなら希少部位や魔獣ごと持って帰るしな。高ランクはそれしか狙わねぇーからな」

確かにユージ言った通り冒険者達にはランク付けにされており、似合ったランクの仕事をしてもらっている。

「その時々で事情は変わるわよね。希少部位が欲しい時はちゃんとした理由があれば特別に許可も降りるしね」

あえて欲しいものがある時はしっかりとした理由でなければ依頼を受理させない仕組みも取られてる。

「時と場合も然りだな。小物が数匹出たからと追っ払う事はしても態々追うこともしない」

集落や村、街や王都に近い場所に魔獣の巣窟ができたりした場合は仕方なしとその場で討伐もするも、依頼が出てない魔獣は討伐はしない。
但し襲われたり野放しにしとけば危険と判断した場合のみは討伐して良し。
増え過ぎてると認定された魔獣の討伐許可。

「そうだな。夏は狩人の出番だしな。あの時期になると狩人達が一斉に王都の中を走り抜けていく様を見たいと見物人が集まるからな」

後は 食糧となる肉は夏の一定期間だけ狩人許可証がある者が狩りを行う。狩人達は我先にと仲間と一斉に王都を朝早く駆け抜ける様は迫力があると人気が有る。

大まかなりに匙加減が難しいが大昔の教訓として親から子へ当たり前に聞かされ、教師からは詳しく教わる世界共通認識だ。

「俄に信じ難いが、世界中を恐怖に陥れた魔獣狩りをしてるとは考え過ぎなのではないかアルベルトよ」

まさか自国で世界を震撼させた魔獣狩りが行われてるとは誰も信じたくないと思うが、イオリの義父であるホルエインの隣に大人しく座ってる桔梗が陛下の言葉にシッカリと首を横に振った。
私達の話してる内容を把握してる、本当に頭のいい子だ。
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