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上質な恋を
罰の禁止で錬金術発動 3
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寝たような寝れてないような、そんな感覚の中モソモソと起き上がる。無駄にデカいクイーンベットの上を端まで這い降りる。
無駄にでけぇよな。
ベットの横のクッションに丸まって寝てる桔梗も起きたのか 大きく伸びをして俺を1度 見てフィと視線を逸らし毛繕いを始めてた。
『おはよう桔梗』
『あぁ おはよう』
隣の部屋に行けばテーブル上のトウカチョウの殻を見ると自然と溜息が漏れてしまった。
思い付きで始めたが最初の第一歩の躓きがアルとの関係悪化とか最悪過ぎる。
「・・・追っかければ良かった」
昨日のアルの後ろ姿が脳裏から離れない。
「ピュピュ」
止まり木で寝てた百合も起きたのか可愛い声でよく鳴いてる。
「おはよう百合」
「ピュピュ」
トウカチョウの殻が乗ってるテーブルを見たくなくて顔を背けた。
朝食を食べてから何をする訳でもなくボーッとソファーに座って外を眺めてると 王様が呼んでるとノットさんに急かされて王様の執務に連行されてしまった。
「急に呼び出してすまない」
「い・・・いえ」
執務室にはアルもいたが視線すらも合わせてくれない。それだけでズキリと胸の辺りが痛い。
ソファーに座ると直ぐにお茶とお菓子を置いてウルさんは退室した。
「さて、なぜ呼ばれたか分かってると思うが」
静かな声で問われ俺は頷く他なかった。
「まさか1000年前に神の怒りをかい失われた力を持つ者がイオリだとは聞いた時は驚いた」
神妙な雰囲気に包まれたこの空間で俺はなんと答えて良いのか分からない。
「アルベルトとも良く話し合ったが、イオリの父親ホルエインとフレディ、ソフィア、ユージェットのこの4名のみに知らせ秘匿とする、イオリ1人の判断で他の者には言わないと約束して欲しい」
って事は、ゾロゾロ護衛なんかを引き連れて歩かなくても良い?
「約束します」
「錬金術や闇魔法の使い手は今現在 居ない。だから人前では何があっても使わない事」
「使いません」
うんうんと頷きホッとした顔を覗かせた王様が直ぐに表情を引き締めた。まだ何かあるのか?
「次に部屋から出る時は護衛を付けて欲しい」
「どうしてですか?人前で力を使わないので有れば危険は無いはずです」
「落ち着けイオリ。アルベルトは証持ちだった故に婚約者も作らず ずっと同じ証持ちが現れるのを待ち続けたが現れなかった為に今年の夏季演習終了後に1人の娘と婚約が決まってた」
「婚約が、決まってたの」
「決まってただけで直ぐに何も問題もなく断る事が出来た」
『婚約式もしてないなら決定では無い、気に病むことは無い』
「聡明で淑女としても申し分ない子だったからその子に決定だったのだが、なんとも言えないのだが 無理矢理に婚約者候補にねじ込んで来た子がいて」
なんか歯切れが悪い王様。あ~なんか縦社会のお断りできない的な?そんな感じで無視も出来ずにとりあえず決定では無いけど 婚約候補?内定?には入れとくよ?で、納得させた感じ。
「はぁ すまない。その子は即刻除外したのだが、内定に残ってる子達を片っ端から嫌がらせをしていたらしく、もしかしたら イオリにも何かしらの嫌がらせをするのではと不穏な噂が出ててな」
久しぶりに聞いたなアルの溜息。
「理由はわかりましたが、今 住んでるのは後宮の一室にいますので大丈夫なのでは?」
なるほど。イケメン実力者のアルの婚約者なら誰だってなりたいけど、なれなかったからって 嫌がらせはダメだろう。
「今現在 城の修復作業中の為 身分の提示と要件さえ云えば誰でも入れる状態になってる」
「だったら 元の家に戻れば」
「それも考えたがダメだ。城下に魔獣が現れてる今 イオリにもしもの事が起きた時に私が少しでも近くに居たい」
「えっと、それは嬉しい、です。が、仕事の」
「ガゥガゥガゥガゥ」
何か有れば直ぐに駆け付けて来れる距離にアルが居てくれるのは心強いけど"仕事の邪魔をしてる?"みたいで嫌だなと、そのまま口に出して言おとしたら桔梗が鳴いてしまい最後まで言えなかった。
「仕事ばかりしててなかなかイオリとの時間も取れないのは申し訳なく思ってるが、何時でもイオリを最優先で思ってる」
俺を思ってくれてるのは良く分かってるけど、どうして俺の方を見て言ってくれないのは寂しい。
「では、今のまま 魔獣騒ぎが落ち着くまで後宮でお世話になります」
「イオリが気に病むことは無い。その方が此方としても助かるからな」
王様との話も終わり部屋に戻ってきたけど なんかモヤモヤが残ってる感じがする。
「はぁ~ なんか嫌だ」
『早くアルベルトと仲直りをしろ』
『別に喧嘩って程でもないし・・』
『すれ違ったままいても 上手くいかん』
『すれ違ったままって、俺はちゃんと正直に言った。なのにアルが 1人でまだ怒ったままなだけだろ』
『昨日 アルベルトと最後に交わした言葉を思い出せ』
それだけ言って 桔梗はクッションの上に丸くなって寝てしまった。
最後に交わした言葉?過ちを繰り返さない事は大事、桔梗が付いててくれるから大丈夫って 言ったよな。
アルも桔梗の頭の良さや理性が有るって。俺の母親だってことも。それから、職務上知ってしまったからには黙ってることは出来ない。だから王様に報告。
で、今日 呼び出された。
うん。こんな感じだよな。
無駄にでけぇよな。
ベットの横のクッションに丸まって寝てる桔梗も起きたのか 大きく伸びをして俺を1度 見てフィと視線を逸らし毛繕いを始めてた。
『おはよう桔梗』
『あぁ おはよう』
隣の部屋に行けばテーブル上のトウカチョウの殻を見ると自然と溜息が漏れてしまった。
思い付きで始めたが最初の第一歩の躓きがアルとの関係悪化とか最悪過ぎる。
「・・・追っかければ良かった」
昨日のアルの後ろ姿が脳裏から離れない。
「ピュピュ」
止まり木で寝てた百合も起きたのか可愛い声でよく鳴いてる。
「おはよう百合」
「ピュピュ」
トウカチョウの殻が乗ってるテーブルを見たくなくて顔を背けた。
朝食を食べてから何をする訳でもなくボーッとソファーに座って外を眺めてると 王様が呼んでるとノットさんに急かされて王様の執務に連行されてしまった。
「急に呼び出してすまない」
「い・・・いえ」
執務室にはアルもいたが視線すらも合わせてくれない。それだけでズキリと胸の辺りが痛い。
ソファーに座ると直ぐにお茶とお菓子を置いてウルさんは退室した。
「さて、なぜ呼ばれたか分かってると思うが」
静かな声で問われ俺は頷く他なかった。
「まさか1000年前に神の怒りをかい失われた力を持つ者がイオリだとは聞いた時は驚いた」
神妙な雰囲気に包まれたこの空間で俺はなんと答えて良いのか分からない。
「アルベルトとも良く話し合ったが、イオリの父親ホルエインとフレディ、ソフィア、ユージェットのこの4名のみに知らせ秘匿とする、イオリ1人の判断で他の者には言わないと約束して欲しい」
って事は、ゾロゾロ護衛なんかを引き連れて歩かなくても良い?
「約束します」
「錬金術や闇魔法の使い手は今現在 居ない。だから人前では何があっても使わない事」
「使いません」
うんうんと頷きホッとした顔を覗かせた王様が直ぐに表情を引き締めた。まだ何かあるのか?
「次に部屋から出る時は護衛を付けて欲しい」
「どうしてですか?人前で力を使わないので有れば危険は無いはずです」
「落ち着けイオリ。アルベルトは証持ちだった故に婚約者も作らず ずっと同じ証持ちが現れるのを待ち続けたが現れなかった為に今年の夏季演習終了後に1人の娘と婚約が決まってた」
「婚約が、決まってたの」
「決まってただけで直ぐに何も問題もなく断る事が出来た」
『婚約式もしてないなら決定では無い、気に病むことは無い』
「聡明で淑女としても申し分ない子だったからその子に決定だったのだが、なんとも言えないのだが 無理矢理に婚約者候補にねじ込んで来た子がいて」
なんか歯切れが悪い王様。あ~なんか縦社会のお断りできない的な?そんな感じで無視も出来ずにとりあえず決定では無いけど 婚約候補?内定?には入れとくよ?で、納得させた感じ。
「はぁ すまない。その子は即刻除外したのだが、内定に残ってる子達を片っ端から嫌がらせをしていたらしく、もしかしたら イオリにも何かしらの嫌がらせをするのではと不穏な噂が出ててな」
久しぶりに聞いたなアルの溜息。
「理由はわかりましたが、今 住んでるのは後宮の一室にいますので大丈夫なのでは?」
なるほど。イケメン実力者のアルの婚約者なら誰だってなりたいけど、なれなかったからって 嫌がらせはダメだろう。
「今現在 城の修復作業中の為 身分の提示と要件さえ云えば誰でも入れる状態になってる」
「だったら 元の家に戻れば」
「それも考えたがダメだ。城下に魔獣が現れてる今 イオリにもしもの事が起きた時に私が少しでも近くに居たい」
「えっと、それは嬉しい、です。が、仕事の」
「ガゥガゥガゥガゥ」
何か有れば直ぐに駆け付けて来れる距離にアルが居てくれるのは心強いけど"仕事の邪魔をしてる?"みたいで嫌だなと、そのまま口に出して言おとしたら桔梗が鳴いてしまい最後まで言えなかった。
「仕事ばかりしててなかなかイオリとの時間も取れないのは申し訳なく思ってるが、何時でもイオリを最優先で思ってる」
俺を思ってくれてるのは良く分かってるけど、どうして俺の方を見て言ってくれないのは寂しい。
「では、今のまま 魔獣騒ぎが落ち着くまで後宮でお世話になります」
「イオリが気に病むことは無い。その方が此方としても助かるからな」
王様との話も終わり部屋に戻ってきたけど なんかモヤモヤが残ってる感じがする。
「はぁ~ なんか嫌だ」
『早くアルベルトと仲直りをしろ』
『別に喧嘩って程でもないし・・』
『すれ違ったままいても 上手くいかん』
『すれ違ったままって、俺はちゃんと正直に言った。なのにアルが 1人でまだ怒ったままなだけだろ』
『昨日 アルベルトと最後に交わした言葉を思い出せ』
それだけ言って 桔梗はクッションの上に丸くなって寝てしまった。
最後に交わした言葉?過ちを繰り返さない事は大事、桔梗が付いててくれるから大丈夫って 言ったよな。
アルも桔梗の頭の良さや理性が有るって。俺の母親だってことも。それから、職務上知ってしまったからには黙ってることは出来ない。だから王様に報告。
で、今日 呼び出された。
うん。こんな感じだよな。
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