赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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上質な恋を

罰の禁止で錬金術発動 2

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俺は固まってしまったアルの解凍待ち。桔梗も アルが機能するまで 伸び上がってテーブルの上に前足を載せたまま待った。
軽く3分は待ってば カップラーメン食えるし正義のヒーローは宇宙に帰って行くな。と現実逃避を思い浮かべてた。

「神語の義には
12月25日  15歳

MP200000
HP115
魔法適正は7つ
火 土 緑 風 水 光 無  
神からの贈り物が
防御能力
医療魔法
聖魔法
無限収納
結界
肉体再生

番の証
従魔獣 桔梗  シルバーウルフ 雌 で間違いなかったはずだ」

大正解とは軽口が叩けない雰囲気。

「闇魔法がないのになぜ錬金術が使える?」

その疑問を俺が答えるならば サリーに会って直接貰ってきたとは言えねぇー。

「ガゥガゥ」

「桔梗が?まさかな?シルバーウルフに闇魔法が使えるとは聞いた事がない」

腕を組み自問自答してるが顔はかなり険しいお顔で俺を見据えないでくれ。
出会って直ぐ 俺が演習場から逃げさした時と同じ怖さがある。あの時は思ったままを言えてたのに 今は言葉が出てこない。

「私に隠し事をしてるな」

疑問形では無く確信的な言い方にドキッと心臓が大きく跳ねる。

『これ以上アルベルトを怒らせるのは得策ではない。正直に話すべきだな』

『神様に直接貰ってきたって?』

『その事実は伏せた方がいい』

顎を持ち上げられてアルの真剣な視線が俺の心の奥まで見透かされてる見たいな恐怖を感じた。

「何を隠してるイオリ」

静かな声なのに全く身体が動けずに視線だけでも逃げたいと横にずらせば「余所見をするな」叱責されてしまった。

「隠し事しちゃダメなの」

「その返答は私に隠し事をしてると認めた事になるぞ」
 
俺って馬鹿だ。良いか悪いかの確認のつもりで聞いたつもりでも、聞いた方は隠し事してる風にしか聞こえねょーよな。

「何を隠してる言え」

空気がピリピリと突き刺さるし、アルの視線が怖い。言わない限りここからは抜け出せないと覚悟を決めた。ただし、神様に直接貰ったのは隠す。事実のみだ。

「錬金術 使えます」

「他には」

意を決して告白したにも関わらず 他には?とはどんな意味があるのかさっぱり分からない。

『他に何か 隠してることある?』

『さぁ~な』

さぁ~な と呆気ない返事しかしてくれないけど、俺は錬金術を使いたいが為にサリーに直接 闇魔法を貰ってきた事しか隠してない。この事実は多分言っちゃダメなやつだと俺も思うから明細は省いて事実のみ告白。だからもう隠し事はしてない。

「無いよ」

「なぜ隠してた」

「王様の庇護下は嫌。父さん達と暮らしたいし 護衛がゾロゾロいた中で生活なんてしたくない。誰にも知られずに 隠してれば大丈夫かなって」

「イオリの考えや気持ちは優先するが、私に隠し事はするな」

「隠さないと生活出来ない。誰かに見られたままの生活なんてしたくない。そんな生活耐えられない」

「イオリの勝手な判断で、身の危険が差し迫ったらどうする。そんな危険を逸早く取り除く為に法に従い報告の義務が生じる。神からの贈り物の力なら尚更過去の過ちを繰り返さないためにも」

確かにアルの言ってる事も分かるけど分かりたくない。俺の考えや気持ちは優先するといたのに。俺の意思はまる無視してる。

「過去の過ちは繰り返さない事は大事だけどさ、俺には桔梗が付いててくれるから大丈夫」

「桔梗が、か、そうだな桔梗は魔獣の中でも頭の良さも理性もある。何よりイオリが母親だと慕って要るのだから大丈夫だな」

言葉に一瞬 悲しそうなアルの顔を見てしまった。

『お互い 頭を冷やした方が良さそうだな』

「知ってしまった以上 私の職務上 黙ってる訳にはいかない。この事は陛下だけには相談させてもらう」

静かに部屋を出ていったアルの後ろ姿が脳裏に焼き付いて離れないまま、そのまま一日を終えてしまった。







ボールが光り 集束した後 見たことも無いものが数種類テーブルの上に並んでた。

驚きと共に 脳を必死に動かせる。

イオリの神語の義を思い出す。7属性と素晴らしく、又神からの贈り物(スキル等言われてる)が多かった。例えば火属性だと火が使えるが炎などかなり難しい。神からの贈り物として、魔属性とは別に現れるのが炎や劫火だが、こんな物が現れるのは貴族の中でも稀だが、証持ちは必ず何かしらの強力な物が現れる傾向が強い。

大体が身体強化、俊足、腕力を持ってるものは力仕事や騎士が多く、忍耐、器用、緻密と出たものは服飾や農家、料理人や芸術と、己の将来の適した職を見極める第1歩とされてる。
証持ちのイオリも例に漏れず稀な物は持っていた。でも、闇魔法や神からの贈り物の中には錬金術は無かった。

だとしたら 転移してくる前から持っていた? としても、1度 闇魔法の錬金術師の話に触れてるのに聞いたことは無い。
なぜだ?

こんな大事な話もして貰えない、私は信用もされてないのか?イオリから見た私はなんなのだ?

怒りや悲しみに押し潰されそうになる中 少しでも冷静にイオリと話さなければと己を律するが、イオリは震えて顔色を無くしてる。

「隠し事をしちゃダメなの」

泣きそうなイオリを見ても、良いとは言えない。私はイオリの全てを知っておきたい。

縛られるのが嫌いなイオリの言い分は分かる。が、危険が伴うなら話は別だ。

「過去の過ちは繰り返さない事は大事だけどさ、俺には桔梗が付いててくれるから大丈夫」

桔梗が付いててくれるから大丈夫、か。桔梗を母親として慕ってると頭ではわかっている。でも、少しは私も頼りにされたい、信頼されたい、なんでも相談されたいと思う気持ちは我儘なのかもしれない。
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