赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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上質な恋を

編み物

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王女にレッグウォーマーを教えてから10日が経った。俺はあまり生活リズムを乱すことなく 組まれたスケジュールをこなして勉強と解読の合間に編み物をする生活を送ってる。出来上がったものは 父さんに手渡して、あとはノットさんに頼んで お母さんとお父さんに、届けてもらい次の日には丁寧な手紙をもらった。

今では1番のお気に入りだとレッグウォーマーを片時も手放せないと 父さんの為に2つ目を編もうかなと思ってる。そんな最中でも、王宮の復旧作業が始まり、事件の全容も全国民に公に発表され 関わった貴族やその親族までも全ての有無が調べられてる最中だたり、色々と後片付けが大変だと騎士達がボヤいてた。

アルも本格的に忙しくなり 2日に1回のペースで夜に少し顔を見せに来てくれる。
俺は差し入れの事もあったのでノットさんに頼んで、コンロで焼ける たい焼き型の合わせ無しの貝型を絵と説明で理解してもらい 鉄製で注文してもらっていた物が昨日届いたのでさっそく使ってみることにした。

昼過ぎのお茶に間に合うようにアルとユージにマドレーヌを焼いて届けに来ていた。

「ありがとう イオリ」

人前で抱きしめられるのはまだ慣れないけど 喜んでくれるのは嬉しい。

「うっまぁ!!なにこれ 激うまなんだけど」

ユージはさっそく1つを手に取りパクリと食べてる。

「おい!」

ジロっと見られるが慣れてるのか全く意に返さず2つ目に手を伸ばすユージ。

「そうだ まだまだ寒くなるからコレ使って欲しくて編んだんだ」

ダブル父さんに編んでると アルにも編んであげたくなって 黒の毛糸で編んで今日の朝に仕上げて持ってきたのだ。

「コレがレッグウォーマーか?」

「そう、足元が冷えるからさ。ズボンの上からでも こうして」

早く使って欲しくて自分の足に着けて見せると、妙に食いついたのがユージで

「へー、暖かそう。ソレに上を縛らなくても落ちないの?」

「伸縮性を持たせてるから 落ちることは無いけど、心配なら紐を通して縛ってやればより安心だと思うよ」

「アルベルト ソレに俺に1日貸して」

「断る。感想だけ教えてやる」

「えぇーなにそれ!!ケチ」

「ケチで結構。婚約者に頼んで編んでもらえ」

あ!確かにアイリーン嬢との婚約決まったんだろうか?決まってるといいな。

「婚約決まったの?」

「まだだけど、そろそろ返事が貰えそうかな?」

「返事ってそんなにかかるものなの?」

「そう、思うよね~。待たされてる身にも慣れって、親戚だけの集まりなら宴も一緒でもいいんじゃねぇってアルとも話してたけど」

うぅわぁぁぁ それは 俺が証持ちでアルの番ですって 親族に挨拶しないといけない行事で公に発表する第一歩でもあるのだ。
最近 スキンシップが多くなったアルにドギマギさせられてる俺だけど 同衾はキャンプ場以来ない・・・って、同衾・・・何かじいちゃん色強いって たまに友達に弄られてたけど 確かにじいちゃん色強いよな俺。

「そう言えば、今は 思い出したけど・・・アイリーン 裁縫とか手芸 酷かった・・・様な気がする」

「だからなんだ?」

「お願い 俺にもそのレッグウォーマー編んでもらえる?俺って結構 冷え症で」

冷え症かぁー、大変なんだよなぁ~、新聞の記事をぼんやり思い出す。

「うわぁ~、それは大変ですね。たしか、・・・男性の冷え性は精子減少で子供が作れ無くれなくなる可能性も有るから 暖かくしといた方が良いですよ」

「な"っ」

ユージが青ざめて 何か変な声を出してる横でアルはさっそくレッグウォーマーを足に付けてた。

「毎日使わせてもらう」

アルを押しのけて 俺の手を握って真面目な顔して頼んで来た。

「イオリ!!金を払う だから編んでくれ!」

「ぉ おう、分かった」

何か 鬼気迫る気迫を感じで俺には断る勇気が無かった。

「離せ、誰の手を握ってんだ」

握られてる手を引き剥がしてユージから距離を取らされ その間に足を組んでアルが座った。

「イオリも、手を握られたら振りほどけ」 

肩を抱かれ 髪にキスをしながら注意をしてくるアルに いい子の返事を返した。

「はい」

ぶつぶつ なにやらユージが言ってるがよく聞こえない。アルも無視してるし なんか今触れちゃいかん様な気がするから無視する事にした。

マドレーヌを1つ手に取り俺の口許に持ってきたのでパクリと食べると残りはアルの口の中に消えていった。
そんなことしなくても まだあるのに?!恥ずかしくて顔を上げていられなくなった。









ショート 閑話



おはようございま~す。

「ふん!やっと姿を現したなアホ鳥」
「アハハ、バレてた?」

「バレてないと思える方がおかしい」
「あのね、僕ね君に興味があるんだ。先ずはスリスリしていい?」

「意味がわからん!!」
「ぅん、じゃぁいっくよー スリスリ~」

「ぉッおい!やめろ!!」
「はゥゥゥ気持ちいい 最高だね」
「辞めんか!」

「珍しい鳥で見れたら素敵な人としあわせな結婚ができると 独り者はいい人に巡り会えるとか言われ 皆さん婚約鳥とか婚期鳥などと言われてますよ」
おやおや?僕の噂話?
わぉぅ~!いいねぇ僕って価値ある鳥なんだ。
「婚約鳥・・・」
「イオリ様は素敵な方がいらっしゃるから 桔梗様の婚期が近づいてるのかしら」 

いやいや 待て!?
「桔梗って君のこと?ダメだよ 誰にも譲って上げないし勝手な事言わないでよ!!」
「私は誰の物でも無いが 敢えて言うならばイオリとは特別な関係だ」

「ピューーー」
だめぇぇぇぇぇ

「美味しいパンでよろしいですか?リューナ鳥さん」

「ピュー」
俺の話聞いて!!

「「返事しましたね」」
返事じゃないから!!

「おい!アホ鳥 イオリを傷つけるなら許さん」
「そんなつもりないよ僕。ソレにキーちゃんとやり合っても勝ち目ないし」

「キーちゃん!?」
「そっ!キーちゃん 可愛いでしょ?僕ね君の事キーちゃんって呼ぶ事にした」

「やめろ気持ち悪い 殺すぞ!!」
「めっ!女の子がそんなこと言っちゃダメなんです。ソレに付け火した奴 ちゃんと捕まったの見て来たよ。若い男女で男が気弱そうな奴 女が傲慢だった。でも 大丈夫、男が自白する様に仕掛けて来たから」

「ふっ、なるほど お前達の得意とする茨の涙か?自虐心で自白をさせるつもりか?」
「そう、僕の涙を一滴でも体内に入れると恐怖を徐々に感じてしまうよ。アイツすっごい腰抜けで気弱な奴だったから恐怖心のトゲが徐々に刺さり上手く行けば 自白してくれるかもよ」

「イオリに危害を加えたら 貴様を殺す」
「キーちゃんが大切に思ってる人には危害なんて加えないよ。キーちゃん怒らせたら怖そうだもん」

「よく分かってるならいい、が、キーちゃんは辞めろ」
「えぇー、あっご飯だ!いただきます。・・・このパン すっごくおしいし!!もっと食べたい!!ちょうだい!!」

「おい!!話を聞け!!」
「そうだ!キーちゃんのご主人に僕の名前を付けてくれるように頼まないと!!」

「イオリには私が付いてる」
「だめだよ。僕いっちゃんと仲良くするって決めたから 何処へでもついて行くもん」

「貴様 羽を全て毟るぞ」
「ソレは辞めて。ソレにそんなことしたら いっちゃんに嫌われるよ。僕だってキーちゃんに嫌われたくないから いっちゃんに不利な事しないから 一緒に居させて」

「ふん!断る」
「ソレに いっちゃん 凄いよね植物ウネウネさせて。僕 何故か透視が出来るから壁の向こうから 見てたんだよね」

「ほぅ、そんな事が出来るのか。よし 少しは認めてやるが イオリに危害を加えたら全身の毛を毟る」
「うもぉ 僕の丸裸見て楽しむなんてキーちゃんのエッチ」

「・・・・・鳥男の丸裸を見てもなんとも思わん!」
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