赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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やりたい事

今できること 12

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桔梗がニヤリと笑った。

『笑ったよね桔梗?』

『笑えるだろ?デタラメな噂の真実がハッキリする。人は真実を確かめる前に噂を信じる生き物だが、コレで妙な噂に惑わされずに済む』

桔梗って人前に出ないのに人間の心理を熟知してる。流されてはダメと分かってる。
いけない、悪いなって心の隅で分かってても やっぱりそうなんだぁ~、って噂に流されるってある。

『噂って 桔梗は知ってるの?』

『実にくだらん噂だ』

「噂ですか?」

「プライドの高い君の事だ、従姉妹にイジメをして私には愛想を尽かされて婚約破棄されたと周りの者に思われたくなかったんだろう。聖魔法が純血を失うと聖魔法が使えなくなる。そんな噂は出たことは無かったのに君と婚約破棄をした2日後で私の耳にも入って来た」

「知りませんわ」

「貴族だけでは無くあちらこちらに言いふらし都民まで噂は広がり王宮が出処を収集するにも噂は各村まで広がり噂は真実と思い込まれてしまった」

見た目は堂々としてるが 小刻みに震えてる。その証拠にカチャカチャと手枷の鎖が擦れあってるがターナ婆さんは気がついてない。
その横に居る若い男女が驚いてるのかずっとターナ婆さんを凝視してた。

「私には・・・素晴らしい朗報でしたわ」

「根も葉もない噂は真実と受けいれられ 結婚前の男女も破局になったり、愛し合ってた男女まで引き裂かれ宿舎に集まり始めた。噂だけだと信じきれなかった者も多く、最初の頃は荒れた者が多かったはずだ」

「確かに、最初の頃は戸惑っていらした方が多かったのは覚えてます」

ロマンスグレーのナイスミドルな首を横に振ると、痛ましげにターナを見つめた。そんな様子を見てた王様が小さくため息を吐くと 話し出した。

「聖魔法は元々力の弱かった。聖魔法使いは弱い代わりに命さえあれば完治出来る魔法たが、魔力が足りない者ばかりで 小さな傷しか治せず余り注目も集めなかった。
そこにもたらされたアシスの聖魔法の朗報だ。聖魔法の持ち主達もやっと自信が持てるようになり、明るい未来を見据えることができ始めた矢先にとんでもない噂が流れた。」

『凄い魔法だけど持ってる魔力と必要とする魔力が合わなくて 使いこなせない、余り役に立たないと思われてた魔法の朗報が入った矢先に噂の純血が失われたら魔法が無くなる?っで、合ってる』

『合ってる。この世界は魔法が主流、何かしらの魔法を持ってなければ落ちこぼれかそれ以下。魔法が無くなれば やっと見えた希望の光が消えると思った者が聖魔法の宿舎に集まりだした』

落ちこぼれとかそれ以下とか、人を魔法だけで判断してんのかよ?信じられねぇ。

『1つの魔法が無くなっても 他の魔法が有るだろ』

『高魔法を持って生まれたもや、2種も持って生まれるのは稀だ。だから、今回の噂はもしかしたら無くなれば周りからなんと思われるか恐れた人々の心理を上手く付いた噂だった』

『じゃ高魔法の人は1種で低魔法?の人は2個でも3個でも持ってる?』

『どうだろう?私にはそれが正しいとは言いきれないが確実に言えるのは証持ちは別だ。大体血筋にもよる。多くの者が大体1種。そして魔力量が多い者 次が高魔法が使える者が良いとされてる』

『その見方から行くと俺は?』

『・・・証持ちの番がアルベルトで良かった』

『俺の質問に答えてる?』

『イオリには私が居る。なにより 番が強くて安心してる』

絶対に俺の質問に答えてないと思う。

「宿舎に集まったのは自らの意思。わたしには関係ございません」

「聖魔法とは光魔法だ。光魔法を持ってるものが結婚し子どもを授かっても魔力は消えない。他の属性もだ。なぜそんな嘘を流したターナ」

ロマンスグレーのおじさん。この事をハッキリさせたいのだろう。

「嘘だとおっしゃるなら、 子供を産んでも聖魔法の力を使えると証明して下さいませ。でも、もし聖魔法の力を失ってしまったら貴方はどう責任を負うつもり」

「私の全てで責任を負う」

「それは面白いですわね、噂が本当ならリズベル公爵も地に落ちますわね 見ものですわ」

「君の過ちで 幸せを手にするはずだった人達まで巻き込んだ。君は関係ない人達を巻き込んだんだ 認めろ」

「私は何一つとして過ちなんて犯してはいませんわ。煌々たる聖魔法の未来の為に私は日々邁進しております。それに、私達の希望もあります。膨大な魔力を持って聖魔法として生まれた方がいますわ。その方なら私達の気持ちは通じてます」

うへぇー、すっげぇー自信過剰。未来を見据えた行いは良いけど、人体兵器の薬作る人の考え方には付いて行けない。そして、膨大な魔力を持って生まれた聖魔法の協力者として名乗り出てるのか?その人も何考えてんのか?マジわかんねぇわー。

「君の語るお方と、会ったことがある言い方だな?ターナ、その方とは誰だ?」

「あら、知りませんの?イオリ殿ですわ。貴方がおいそれと会える御方でもないわ、私達 聖魔法を持ってる者同士で実のある交流を交わして行きたいと思ってますの」

『俺の名前でた。つぅーか、俺 あの怖えぇ婆さんとはあったことねぇーよ』

『私は常にイオリの傍に居るのだから会ったことないのは一番よく知ってる』

あれ、ロマンスグレーのナイスミドルことリズベル公爵のおじさん ちぃっと 嫌な笑い方した?



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