赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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やりたい事

今できること 4

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朝から 引っ越しだ。と、意気込んではみたものの・・・俺の引越しはほぼ手ぶら。
事前に「着替えや小物類は揃えてるから大事な物だけ持っておいで」この世界に来た時は手ぶら 大事なのは桔梗とアルから貰ったペンダント 編みかけのストール以上 後はこの身を移すだけで 引っ越し完了だ。

お城を出て 馬に揺られてたどり着いた先は御伽噺でてくるような可愛らしいメルヘンチックな建物。

「どうですか?とても可愛らしい建物でしょ」

ほんとに 女の子が居たら大喜びですねぇ~。
部屋の中もアール・デコ調で フリル満載ピンク満載 可愛さ120%のお部屋だ。
本気で問いただしたい、親父 本気ですかい?

「ここからだと 城との距離も近くて何かと便利ですから」

そりゃあ そうだろうよ。スープの冷めない距離って言うの?馬にのんびり揺られて約5分で着けてしまう 城の敷地内から出て近い建物。
王様もアルもこの事実を知っていたんだよな?じゃぁー お母さんは知っていたんだよね、涙を流して寂しがってたんだから・・・スープの冷めない距離で涙を流したなんて思いたくない。

部屋数は少ない。と、言いつつも、12LDKは充分に広さです

俺の部屋は3階だと案内してもらった。シンプルの中にも若干可愛いを残した部屋は違和感無く普通に使える2部屋。そして寝室の隣は寝室に繋がってる。なぜ繋がってる?繋がってる先のベットの方がデカいキングサイズ。
この部屋ってまさかな・・・考えるのはよそう、見なかったことにしよう。

父親の部屋は2階だ。その後も部屋を見て回り終わったので、お茶にしましょうと誘われた。緑茶なら入れられるけど 本格的な紅茶は まだ無理だから説明付きにしてもらいなが父親にお茶を入れてもらった。

「焦ることは無いですよ、何事も経験ですから」

「はい」

お昼は父親が作ってくれたが夕飯は俺がと思ってたから 5人の従者がやって来た。

家のことを全部仕切ってくれる 執事のノットさんは初老で優しそうな人
従者のルーシーさんにバランさんは夫婦でニコニコしてて元気が貰えそう。
従女でバランさんやルーシーさんのお手伝いをするサラさんは20前の笑顔が素敵人。ローランさんはコック。なんでも今回父親が無理を言って引っ張ってきた人だ。
父親からはローランさんの料理は期待できるからと 太鼓判を押してた。

この家に住むのは2人だけなのに5人者を雇うとかどうなんだろうと思ってたが、父親はこの家に縁があって集まったんだ。皆 家族だと思って過ごそと、父親に言われて それもそうだなと納得した。
俺も 父親と一緒に住みだしたし、ここでちゃんと自分の意思で言わないと この先言い出すタイミングがない。勇気をふりしぼれ

「そうですね、えーっと父さん」

「やっと父さんと言って貰えて嬉しいですね」

じいちゃんと同じ優しい目で見られるとやっぱり落ち着く。

『やっと言えたか偉いぞ』

『そうかな。それと1つの提案してみたいけど良いかな?』

『提案か。何かは知らんがいいと思うぞ』

そして勇気を出して1つの提案をしてみた。
初めは渋ってたけど お客様がいない時で有ればと受け入れてもらえて良かったし、何故か桔梗にも褒められた。

それから、それぞれ 部屋割りをして各自の持ち場に移動し始めた。


俺の提案は、ご飯は家族揃って。それが俺の提案だったから 皆で揃って夕飯だ。

「うわぁ~ 肉の旨みすげえー パンにもよく合う 」

「そうでしょ、そうでしょ。ローランの作る料理は本当に絶品でしょ」

「うん。お代りしたい」

「イオリ様 そんなに慌てなくてもビーフシチューはまだ有りますから」

笑いを堪えながら注意して来る。ルーシーさんとバランさんは元々は辺境伯の家に務めてた人だ。

「なかなかローラン程の腕のいい料理は居ませんね」

ローランの料理を絶賛してるノットさんは、元々伯爵家に務めてたが、今回 縁があってここに来たって。

「6ヶ月前迄はバラド国にいたんだが、あの国はどうも可笑しくなって来たもんで、サッサと店を畳んでコッチに戻ってきたんですよ。 俺も元々は孤児院で育ったもんで、ボランティアとかの炊き出しなんかを教会の手伝いで神主様と出会い 今回のお話を頂いたんですよ」

「ローランの食事を毎日食べたいと思いましてね」

美味しいビーフシチューにうっとりしてるサラさんは、父さんの言葉に小さく頷いてる。サラさんは元々は子爵家の娘だけど3女で婚約者が居なくなり 次の婚約者も見つからないので働きに出たとか。
貴族も色々と決まりがあって面倒だな。とは、思うけど 本人は政略結婚だったから破談になって嬉しいんだそうだ。

皆の事を聞きながら夕飯を終えてお風呂から出るとアルが来てた。

「新しい家はどう」

「どう、って こんなに近い事って知ってたんでしょ」

「馬で掛けてこないと 会えない距離だ。私にしてみれば十分に遠い」

拗ねた言い方をするアルがおかしくて笑ってしまった。

アルの魔法で髪を乾かしてもらい、いつもの様に夜空を見ながら今日のあったことを話しながら寝てしまった。

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