赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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焦り

親 9

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風呂・・広いんだよなぁ~。

一段二段と下がり湯船の中の階段を下るとか銭湯よりも立派だ。そして真ん中は深くなっると自然と1度はやってみて気に入ってしまった。

1人だからできる!
そして、今日もやってしまっている。

スイースイー、スイースイー 気持ちいいなぁ~。
お風呂に入ると自然と泳いでしまう。風呂で泳げるとか夢のようだ。
楽しくて楽しくて止められない。

じいちゃん ばあちゃん 俺 今お風呂で泳いでる。夢見たいな話だけど本当に泳いでるんだ、プールみたいに広いお風呂なんだ。

会いたい、じいちゃんとばあちゃんに会いたい。会って俺の悩みを言いたい。
吐き出さないと、自分がわかんなくなる。
じいちゃんとばあちゃんなら絶対に話を全部聞いてくれるのに。
"そうか そうか "って、言いながら 俺が不安や悩みや嫌な事を 全部吐き出すまで ずっと聞いてくれる。

俺は じいちゃんとばあちゃんが居ないと 全くダメな奴なんだ。
はぁ~、親離れしきれてない大人だったんだ。情けないな。

風呂で泳ぎながら 落ち込んでるとドアをバァン!!!と開けて入って来た人物は「イオリ!!無事か!!」口開 一発目で訳の分からないことを発してるアルだった。

「は~い。」

呑気な返事を返しながら スイーと泳ぎ 階段の所まで泳いで立ち上がった

「はぁ~!!!いや、無事ならぁー!!すまない」

いきなり背を向けたアルにどうした??

ジャブジャブと階段を上り湯船から出るとフワフワのタオルを手に取った。

「ぁ あっ、でわ!!」

早歩きで 出ていったアルに首を捻る。もしかして 泳ぐのってダメだった。怒られるかな?
風呂で泳ぐって行為自体 失礼だもんな。
はぁー、1人だからって泳ぐもんじゃないな。バレた後が恥ずかしいな。

はぁー、怒られに行こう。

パジャマを身につけてリビングに行けば お父さんとお母さんが揃っていた。

「あら、イオリ。アルに合わなかった?」

「あの、ごめんなさい!!お風呂が広くてついつい 泳いでしまいました」

「うん?そんなことで 怒らないわよ」

「そうだぞ、泳ぎたければ泳げばいい。そんなことで、誰も怒らないぞ」

「え?そうなんですか?」

「誰がそんなことで怒るんだ?」

「・・・すみません。なんか ついついお風呂で泳いじゃって 悪いことしちゃったなって。だからちゃんと謝らないとって思って」

夫妻はお互い顔を見合わせて 俺を見た。

「そうなの?イオリは正直な子なのね。良いことよ。でも、我が家のお風呂は泳いでも大丈夫。好きなだけ泳ぎなさい」

「ああ、好きだけ泳いでも 問題ない。でも 適度に休憩もするんだぞ」

「はい、ありがとうございます」

「ふふふ、さぁ 夕飯にしましょ」

アルの両親と共に食堂に行き 釣りの話をしてたらアルがやって来て 一緒に夕飯を食べたが、何故か アルは俺を1度も見てくれなかった。
お父さんとお母さんは風呂で泳いでもいいって、言ってくれたけど アルにしてみればいけない事だったのかも知れないな。

残念だけど お風呂で泳がない方が良さそうだ。
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