赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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隊列 14

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ゆっくりと進んでは休みまた進みと、かなりのんびりした歩みだ。
少し座ろうと言われて「まだ 歩けますよ」と言ったけど、昨日の水膨れを言われたら 言い返せなくなり素直に従ったけど ユージはたったまま 真っ直ぐどこかを見ているかと思えば手を振りだし。

軽快な足音と共に現れたのは真っ白な普通の馬に乗ったアルと薄茶のガッシリした普通の馬に乗った騎士だった。

「馬なら乗れるだろう」

馬を操り 俺に手を差し伸べてくるアルに戸惑っていると『ずっと歩かされて疲れた。私も思いっきり駆けたい、さっさと手を掴め』と、桔梗に言われて仕方なくアルの手を掴んだ。

軽々と抱き上げられて難なく馬に跨る事が出来た。

「あの・・・・」
 
「気にするな」

気にするなと言われてもなぁ~、気にするよ。迎えに来ることが決まってたとしか思えないけど、この広い森の中で どうやって連絡とったんだ?

隣を見るとユージも難なく馬に乗った。

「はァ 一緒に乗るなら可愛い子がよかった」

「文句言わないで下さいよ。俺も一緒に乗るなら可愛い子がいいですよ」

確かに 気持ちはわかるよ。この2人 息があってるな。

「ああ、そうだコイツ俺の弟だから安心して」

ナルホドと、薄茶の馬に乗って来た騎士は可愛い感じの男性は、こんな所で自己紹介も失礼ですがと自己紹介をしてくれた弟は素直そうないい子だった。
兄弟は軽口を叩きながらもゆっくりと速度を上げて走らせるアルにしっかりと付いてきている。誰と乗ったかは知らない時よりは気持ち悪くない と俺は密かに感じていた。







馬を走らせて日が傾き始める前に何処までも続くご立派な城壁を見上げてた。

「凄い城壁ですね」

「違う コレは城壁ではなく王都を囲ってる外囲いの壁だ」

へぇ~、わざわざ王都を囲ってるって事は 内側はそんなに広くないのか。

「急ごう、門がしまってしまう」

ほへぇ~、すっげぇー ご立派な門があった。まぁ、これだけの壁だから門が貧相だったら示しが付かないのもあるよな。壁も門を作った人すっげえー。

臆することなく 門番に手を挙げただけでズカズカと勝手知ったるなんとかで、遠慮なく入って行くアルの後に続く。

「お疲れ様です」

門番の人がなにやら敬礼をしてると、奥から慌てて飛び出て来たおっさん。腹が飛び出してて全体に丸み帯びてるせいか、顔の頬もたるんで垂れ下がってる、こんな人も騎士なのかと疑うしかない。だってちっともスマートでもがっしり してるわけでも無い。

「コレはコレはアルベルト・サー・マシューム様 ユージェット・ランダサム様 アシュイン・ランダサム様 お帰りなさいませ」

小さなため息を付いたアルは気を取り直すかのように 出てきた男に話しかけた。

「あぁ、1人 通したいものが居る、それとテイムしているシルバーウルフだ」

2人も顔を顰めたままだ。

「!!なんと、流石はマシューム様です。シルバーウルフをテイムなさるとは マシューム様しかできないでしょう。素晴らしい名誉でございますよ」

ヘラヘラと話し出す男に「急いでるからさっさしてくれ」と アルが言ったが 男はヘラっと笑っただけで すまなそうには全く思って居ないようだ。

「コチラのお坊ちゃまですね。お名前と身分証をお願いできますか」

「身分証?」

「この子は身分証はまだ無い。正規に則って銀貨3枚を払う。こちらで犯罪の有無だけ調べてくれ」

「そうですか わかりました。では、コチラの石に手を乗せて頂きますでしょうか?」

言われた通りに手を置いたけどなにも起きない。首を傾げてたらアルが上着の内ポケットから袋を取り出し四角い刻印された物を3枚払って行くぞと、そのまま通されて門の建物から外に出た。振り返れば高い壁が無くなってた。

「あれ 壁が・・・違う所に出てきたの?」

「外から見る高さが本物だ。だが、日常で毎日あんな高い壁を見て過ごしたくは無いだろ?だからあの壁の内側には幻影石のお陰で圧迫感が無いようにしてある」

「確かにあんな高い壁を毎日見てたらいつかは逃げ出したくなるよね。俺だったら絶対に無理。成功する迄何度で脱走するかも」

「300年前に発掘された幻影石に感謝だな」

へぇー、そんな昔に凄い石が発掘されたんだ。ホントに魔法の世界なんだなぁ~。

改めて 自分が住んでた所と違う都市?が目の前に広がっていたが、狭いかも知れないと 勝手に思い込んでたけど、とんでもなく広かった。

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