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86 密偵さん達
しおりを挟むお風呂から上がり私室へ入る、1人になった所で密偵さんを呼んでみる。
ユーリ»「密偵さん4人とも出て来てもらえますか?」
すると4人の姿が現れた。
ユーリ»「リーゼ以外は初めてお会いしますね、ユーリと申します、よろしくお願いしますね。」
すると1人ずつ名乗ってくれた、覚えられるかなぁ…。
ルーネス»「お初にお目に掛かります、ルーネスと申します。」
セリス»「セリスと申します。」
ハンナ»「ベルトハンナと申します、ハンナとお呼び下さい。」
ユーリ»「ユーリ・ストレガ・ロズグランデです、ユーリと呼んで下さいね。」
お~。みんな可愛いんじゃない?
ルーネスとハンナは犬かな?セリスは…なんだろ…丸い耳って何?イメージ的にクマなんだけど、なんか違うっぽい。
ユーリ»「皆さんに集まって頂いたのは、密偵としてだけでなく、要望や希望が無いか聞きたかったからです、事前にリーゼから聞いていると思うのですが、何かないですか?」
密偵達»「「「………。」」」
ユーリ»「貴女達は、今の状態で不満など無く満足と言う事ですか?」
ルーネス»「我等密偵は…何も持たないのです…。」
ユーリ»「何もとは?」
ルーネス»「何もです、所持する物と言えば、今の衣服、短剣、その日の食料ぐらいです。」
セリス»「我等には拠点さえ定まっていれば、後は必要ないとされて来ました。」
ユーリ»「貴女達ずっと屋根裏に居ますよね?」
ルーネス»「はい、ご不快かと存じますが、職務上 屋根裏が最適なのです。」
ユーリ»「ロザリカの彫刻が出来たとか報告してきたよね?あんな事しなくていいからね?」
ルーネス»「申し訳ございません。」
ユーリ»「いや責めてるワケじゃないんだよ、王妃様の認める有能な密偵だったんだから、そんな下らない事しなくていいって言ってるの。」
ハンナ»「我等は有能などでは…。」
ユーリ»「国の女性の頂点に位置する王妃様が二流や三流の密偵なんか使わないでしょ。どんだけ卑屈なん?」
リーゼ»「主様。」
静かだったリーゼが声を出した。
ユーリ»「どしたの?」
リーゼ»「密偵には、人と接する者と、人を避ける者とが居ります、我等は避ける側の者で、重要な潜入調査を行わない、情報屋を使わない、任務失敗で戻らなくても問題ない密偵なのです。」
それ逆なんじゃない?潜入調査とかのが危険度かなり高い気がするんだけど?
ユーリ»「それが? まさか私に貴女達を使い捨てに扱えって言うの? 私はそんな事はしない、貴女達は私を選んだ、他に主の候補が居た筈なのに私を選んだんだ、私の密偵になったのなら、出来るだけ大切にしたい、危険な事は出来ればさせたくない、貴女達には出来るだけ長くここに居て欲しいから良い環境で過ごして欲しい。」
みんな…なんか泣いてる??ヤバい事でも言ったかしら?
リーゼ»「ありがとうございます、私ジークリーゼはずっと主様のお傍でお仕え致します。」
密偵達»「「私もですッ!!」」
ユーリ»「みんな居てくれるの?」
ルーネス»「ハッ 以前にリーゼと話をしている所を見ておりまして、ハンナは村でのアレイ様の監視で居ませんでしたが、セリスと2人で様子を伺っておりました、リーゼにお掛けになった言葉で心を掴まれました、ハンナにその事を話したら、同じ気持ちだとの事で。」
密偵達»「「我等もリーゼと共に 生涯、貴女に忠義を尽くし誠心誠意お仕えすると誓います。」」
ユーリ»「リーゼのセリフまんまパクりましたねぇ。」
リーゼ»「それはやめろと言っただろ。」
リーゼが頭を抱えている。
ユーリ»「で?要望等は無いのですか?」
ルーネス»「要望は、現状維持で…。」
ユーリ»「それ即ち、要望等は無いって事ですか?」
ルーネス»「 現状維持が要望になります…。」
ユーリ»「リーゼ抱き枕決定。」
リーゼ»「なッ!? 要望は出しましたが…。」
ユーリ»「問答無用ッ!! 」
リーゼ»「ぐッ! 承知しました…。」
残りの3人がリーゼを拝んでたのは見なかった事にしよう。
ユーリ»「ところで、屋根裏って狭くないの?初めてリーゼと会った部屋は使ってないから自由に使ってくれていいよ?」
ルーネス»「ありがとうございます。ですが前に居たと思われる密偵の痕跡がありまして、屋根裏を改造して居住空間や通路を作っていたようです、今は皆で有難く使わせて頂いております。」
ユーリ»「え、そんな事までするの?」
セリス»「この屋敷の屋根裏ほぼ全体が改造されており、稀に主に反意を持つ者が勝手に作ったりする事も御座います、普通は主に許可無く致しませんが、ここは大きいすぎるので、その類いかと思われます。」
ユーリ»「え、反意で屋根裏改造って、ちょっと可愛いな。」
ハンナ»「そんな可愛い者ではありませんよ?外部の者を引き入れる事も可能な作りになっておりましたので、全て調べて我等が使う通用口以外は塞いでおきました。」
ユーリ»「げッ そうか、そんな事も出来るのか、ありがとう、助かりました。ホントに現状維持っぽいね…。」
ルーネス»「お気遣いありがとうございます。」
ユーリ»「じゃ寝るよリーゼ、おいで。」
リーゼ»「ぅぅ…承知しました…。」
哀れな者を見るような3人の目が面白かった。
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