上 下
90 / 420

86 密偵さん達

しおりを挟む

お風呂から上がり私室へ入る、1人になった所で密偵さんを呼んでみる。

ユーリ»「密偵さん4人とも出て来てもらえますか?」

すると4人の姿が現れた。

ユーリ»「リーゼ以外は初めてお会いしますね、ユーリと申します、よろしくお願いしますね。」

すると1人ずつ名乗ってくれた、覚えられるかなぁ…。

ルーネス»「お初にお目に掛かります、ルーネスと申します。」

セリス»「セリスと申します。」

ハンナ»「ベルトハンナと申します、ハンナとお呼び下さい。」

ユーリ»「ユーリ・ストレガ・ロズグランデです、ユーリと呼んで下さいね。」

お~。みんな可愛いんじゃない?
ルーネスとハンナは犬かな?セリスは…なんだろ…丸い耳って何?イメージ的にクマなんだけど、なんか違うっぽい。

ユーリ»「皆さんに集まって頂いたのは、密偵としてだけでなく、要望や希望が無いか聞きたかったからです、事前にリーゼから聞いていると思うのですが、何かないですか?」

密偵達»「「「………。」」」

ユーリ»「貴女達は、今の状態で不満など無く満足と言う事ですか?」

ルーネス»「我等密偵は…何も持たないのです…。」

ユーリ»「何もとは?」

ルーネス»「何もです、所持する物と言えば、今の衣服、短剣、その日の食料ぐらいです。」

セリス»「我等には拠点さえ定まっていれば、後は必要ないとされて来ました。」

ユーリ»「貴女達ずっと屋根裏に居ますよね?」

ルーネス»「はい、ご不快かと存じますが、職務上 屋根裏が最適なのです。」

ユーリ»「ロザリカの彫刻が出来たとか報告してきたよね?あんな事しなくていいからね?」

ルーネス»「申し訳ございません。」

ユーリ»「いや責めてるワケじゃないんだよ、王妃様の認める有能な密偵だったんだから、そんな下らない事しなくていいって言ってるの。」

ハンナ»「我等は有能などでは…。」

ユーリ»「国の女性の頂点に位置する王妃様が二流や三流の密偵なんか使わないでしょ。どんだけ卑屈なん?」

リーゼ»「主様。」

静かだったリーゼが声を出した。

ユーリ»「どしたの?」

リーゼ»「密偵には、人と接する者と、人を避ける者とが居ります、我等は避ける側の者で、重要な潜入調査を行わない、情報屋を使わない、任務失敗で戻らなくても問題ない密偵なのです。」

それ逆なんじゃない?潜入調査とかのが危険度かなり高い気がするんだけど?

ユーリ»「それが?  まさか私に貴女達を使い捨てに扱えって言うの? 私はそんな事はしない、貴女達は私を選んだ、他に主の候補が居た筈なのに私を選んだんだ、私の密偵になったのなら、出来るだけ大切にしたい、危険な事は出来ればさせたくない、貴女達には出来るだけ長くここに居て欲しいから良い環境で過ごして欲しい。」

みんな…なんか泣いてる??ヤバい事でも言ったかしら?

リーゼ»「ありがとうございます、私ジークリーゼはずっと主様のお傍でお仕え致します。」

密偵達»「「私もですッ!!」」

ユーリ»「みんな居てくれるの?」

ルーネス»「ハッ  以前にリーゼと話をしている所を見ておりまして、ハンナは村でのアレイ様の監視で居ませんでしたが、セリスと2人で様子を伺っておりました、リーゼにお掛けになった言葉で心を掴まれました、ハンナにその事を話したら、同じ気持ちだとの事で。」

密偵達»「「我等もリーゼと共に 生涯、貴女に忠義を尽くし誠心誠意お仕えすると誓います。」」

ユーリ»「リーゼのセリフまんまパクりましたねぇ。」

リーゼ»「それはやめろと言っただろ。」

リーゼが頭を抱えている。

ユーリ»「で?要望等は無いのですか?」

ルーネス»「要望は、現状維持で…。」

ユーリ»「それ即ち、要望等は無いって事ですか?」

ルーネス»「 現状維持が要望になります…。」

ユーリ»「リーゼ抱き枕決定。」

リーゼ»「なッ!?  要望は出しましたが…。」

ユーリ»「問答無用ッ!! 」

リーゼ»「ぐッ!  承知しました…。」

残りの3人がリーゼを拝んでたのは見なかった事にしよう。

ユーリ»「ところで、屋根裏って狭くないの?初めてリーゼと会った部屋は使ってないから自由に使ってくれていいよ?」

ルーネス»「ありがとうございます。ですが前に居たと思われる密偵の痕跡がありまして、屋根裏を改造して居住空間や通路を作っていたようです、今は皆で有難く使わせて頂いております。」

ユーリ»「え、そんな事までするの?」

セリス»「この屋敷の屋根裏ほぼ全体が改造されており、稀に主に反意を持つ者が勝手に作ったりする事も御座います、普通は主に許可無く致しませんが、ここは大きいすぎるので、その類いかと思われます。」

ユーリ»「え、反意で屋根裏改造って、ちょっと可愛いな。」

ハンナ»「そんな可愛い者ではありませんよ?外部の者を引き入れる事も可能な作りになっておりましたので、全て調べて我等が使う通用口以外は塞いでおきました。」

ユーリ»「げッ  そうか、そんな事も出来るのか、ありがとう、助かりました。ホントに現状維持っぽいね…。」 

ルーネス»「お気遣いありがとうございます。」

ユーリ»「じゃ寝るよリーゼ、おいで。」

リーゼ»「ぅぅ…承知しました…。」


哀れな者を見るような3人の目が面白かった。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉

Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」  華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。  彼女の名はサブリーナ。  エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。  そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。  然もである。  公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。    一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。  趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。  そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。 「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。  ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。  拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。    

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

解放の砦

さいはて旅行社
ファンタジー
その世界は人知れず、緩慢に滅びの道を進んでいた。 そこは剣と魔法のファンタジー世界。 転生して、リアムがものごころがついて喜んだのも、つかの間。 残念ながら、派手な攻撃魔法を使えるわけではなかった。 その上、待っていたのは貧しい男爵家の三男として生まれ、しかも魔物討伐に、事務作業、家事に、弟の世話と、忙しく地味に辛い日々。 けれど、この世界にはリアムに愛情を注いでくれる母親がいた。 それだけでリアムは幸せだった。 前世では家族にも仕事にも恵まれなかったから。 リアムは冒険者である最愛の母親を支えるために手伝いを頑張っていた。 だが、リアムが八歳のある日、母親が魔物に殺されてしまう。 母が亡くなってからも、クズ親父と二人のクソ兄貴たちとは冷えた家族関係のまま、リアムの冒険者生活は続いていく。 いつか和解をすることになるのか、はたまた。 B級冒険者の母親がやっていた砦の管理者を継いで、書類作成確認等の事務処理作業に精を出す。砦の守護獣である気分屋のクロとツンツンなシロ様にかまわれながら、A級、B級冒険者のスーパーアスリート超の身体能力を持っている脳筋たちに囲まれる。 平穏無事を祈りながらも、砦ではなぜか事件が起こり、騒がしい日々が続く。 前世で死んだ後に、 「キミは世界から排除されて可哀想だったから、次の人生ではオマケをあげよう」 そんな神様の言葉を、ほんの少しは楽しみにしていたのに。。。 オマケって何だったんだーーーっ、と神に問いたくなる境遇がリアムにはさらに待っていた。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

英雄王アルフリードの誕生、前。~「なるべく早めに産んでくれ」~

荒瀬ヤヒロ
ファンタジー
その日、すべての国民が同じ夢を見た。今から三年後に魔王が復活し、国に絶望の時代が訪れるという夢を。そして、長い戦いの中で生まれ、魔王を倒し英雄となった少年は夢を見る人々に訴えた。「自分がもっと早く生まれていれば、犠牲は少なくて済んだはず。だからーーーもっと早く産んでくれ」と。 しかし、英雄の父母となる運命の二人は、幼い頃から顔をあわせるたびに「勝負」を繰り返してきた犬猿の仲だった!

処理中です...