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しおりを挟む村には宿泊施設など無く、結局 野営である。
ぞろぞろと物々しい連中が村の近くで野営の準備をしているのを、村人達は遠巻きに見ていた。
ユーリ»「村の人達…人数が少ないけど、私達なんか煙たがられてるね…」
シルフ»「申し訳ありません、前の領主と違うと説明して参ります。」
ユーリ»「待って待って、行かなくてもいいよ、シルフが嫌な思いするだけでしょ?」
シルフ»「ですが…」
ユーリ»「せっかく領地に残ってくれてる人達なんだから、出来るだけ刺激しないようにしたいの。」
シルフ»「畏まりました。皆にも出発前に申し送りしてありますので、彼等が領民に何かする事は御座いません。」
ユーリ»「おぉ。シルフ可愛いねぇ♪」
シルフ»「……そこは普通に褒めて下さい……。」
などと一頻り騒いで就寝である。
馬車の中で寝ているので少し狭い。とかゴロゴロしていると、けっこう遅い時間 深夜あたり外が少し騒がしくなった。
ラナ»「ユーリ様はここに居てください、見て参ります。」
ラナが馬車の外を見に出ていった。
アルザとシルフは別の馬車で寝ている。
ラナ»「お待たせしました、数名の賊の襲撃のようです、警備をしていた者が捕えておりました。」
ユーリ»「賊って…ここそんなに治安悪いの?行ってもいい?」
ラナ»「はい、警備は継続中ですので問題ないかと。こちらです。」
案内された場所に男が10人。けっこう多いが、こちらは特殊訓練を受けた現役の兵達なので簡単に捕獲できたとか。強いな。
ユーリ»「あ…」
ラナ»「どうされました?」
ユーリ»「夕方に見た村の人じゃない…」
ラナ»「ホントですかッ!?」
ラナは見てなかったらしい。油断だな。
まぁ、たまたま覚えてただけだがなッ!!
ガイツ»「貴様達、領主様に剣を向けた罪が重いのは知っているな。」
領民»「俺達から有り金ぜんぶ盗るだけの奴なんかいらねぇよ。苦しくても他所に行く金もねぇ、ここしかねぇんだよ、自分だけ良けりゃいい貴族なんかに俺達の苦労なんか言っても分かんねぇよッ 」
ガイツ»「だとしても罪は消えない、最初から覚悟は出来ているんだろ?」
これヤバいんじゃない?まさかの即この場で斬首とかじゃないよね?
ユーリ»「ちょっと…ガイツ…ちょっと待ってよ。」
ガイツ»「イリエ様に害を齎す者は後々面倒ですので、早々に処分しませんと。」
ユーリ»「でもこの人達、武器なんて持ってないじゃない。」
ガイツ»「それが何か? 武器なぞ無くても何とでもなります。」
ガイツさんのお仕事モード、厳しいなぁ。
ユーリ»「この人達は私を狙ったの?」
ガイツ»「どうゆう意味でしょう?他に何が?」
ユーリ»「アルザを拐おうとしてたんじゃ?」
領民»「……………。」
村人達が目を反らした。え?マジで?彼等の罪を誤魔化そうと適当に言ったのにアタリ?
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