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〈番外編〉皇太子殿下の苦悩
29.続編
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― 数週間後 ―
時間に余裕ができたジェラルドはアメリアを連れて王都にあるパンケーキのカフェを訪れていた。
忙しい日々を過ごしていたジェラルドだったが残党の排除も無事に済み、皇弟やサモエド侯爵が去った後の人事についてもようやく目処がたったのだ。
アメリアはいかにも甘そうなパンケーキにさらにクリームをつけて幸せそうに食べている。甘いものを食べることが少ないジェラルドは普段少食なアメリアがパクパクと頬張るのを胸焼けしそうな気持ちで見ていた。
「じゃあ、湖のほとりの別荘で決まりだな。」
食べるのに夢中なアメリアからやっと新婚旅行先の希望を聞き出せてジェラルドはホッとしてコーヒーを飲んだ。
やっと、落ち着くことができたのでアメリアを少しからかっているとアメリアがフォークに刺したパンケーキをジェラルドの口元に差し出してきた。
(これは……)
アメリアが食べさせようとしている物を食べないと勿体ない気持ちと食べたら大切な矜持が傷つきそうだという思いを葛藤させた結果、ジェラルドは言い訳しながらもアメリアの差し出したパンケーキを食べた。
「やっぱり、俺には甘すぎる。」
ジェラルドが食べるとアメリアは本当に嬉しそうに笑った。それを見てジェラルドは食べてよかったと自分の選択を褒めた。
ジェラルドは幸せそうにパンケーキを食べているアメリアを見ているとホッとする。平和な日常が戻ってきた。そう実感することができるからだろうか。
ジェラルドは恵まれた環境を当たり前のように享受してしまっていた。今までの日々を思い出すと反省することばかりだ。
「ジェラルド、こんなふうにずっと仲良く暮らしていこうね。」
アメリアがくりくりとした大きな瞳を輝かせて笑っている。
「なんか、プロポーズみたいだな。」
ジェラルドは幸せを噛み締めながらアメリアに微笑みかけた。
「ジェラルド、『皇太子殿下の恋人』の2巻が発売されたの知ってる? 駆け落ち先がバレて恋人と別れさせられた皇太子殿下は仕方なく元婚約者と結婚するんだけどね、新婚旅行先の湖で恋人と運命の再会をするの。」
ニコニコと嬉しそうに話すアメリアをジェラルドは呆然として見つめる。
小説の内容を使ったのはジェラルド自身だが2人を引っ掻き回した小説の続編を読むだけでもジェラルドには理解出来なかった。
(しかも、よりにもよって新婚旅行先の湖で浮気相手と再会って……不吉だろ!)
アメリアは純粋に楽しんでいるようで紫色の瞳がキラキラしている。
(アメリアが可愛い……ってそうじゃない。)
アメリアは昔からしっかりしているようで、ものすごく抜けている所がある。だから、ジェラルドは何も知らせずに守る方法をとってしまったのだ。
(そういうところだぞ! アメリア! 反省しろ!)
心の中で叫ぶジェラルドだが楽しそうな瞳を見ていると言えるわけもなく……
「再会のときの皇太子殿下のセリフがね……ってジェラルド聞いてる?」
何も言わないジェラルドを不思議そうに見るアメリアに、ジェラルドはただ愛想笑いを返すことしか出来なかった。
時間に余裕ができたジェラルドはアメリアを連れて王都にあるパンケーキのカフェを訪れていた。
忙しい日々を過ごしていたジェラルドだったが残党の排除も無事に済み、皇弟やサモエド侯爵が去った後の人事についてもようやく目処がたったのだ。
アメリアはいかにも甘そうなパンケーキにさらにクリームをつけて幸せそうに食べている。甘いものを食べることが少ないジェラルドは普段少食なアメリアがパクパクと頬張るのを胸焼けしそうな気持ちで見ていた。
「じゃあ、湖のほとりの別荘で決まりだな。」
食べるのに夢中なアメリアからやっと新婚旅行先の希望を聞き出せてジェラルドはホッとしてコーヒーを飲んだ。
やっと、落ち着くことができたのでアメリアを少しからかっているとアメリアがフォークに刺したパンケーキをジェラルドの口元に差し出してきた。
(これは……)
アメリアが食べさせようとしている物を食べないと勿体ない気持ちと食べたら大切な矜持が傷つきそうだという思いを葛藤させた結果、ジェラルドは言い訳しながらもアメリアの差し出したパンケーキを食べた。
「やっぱり、俺には甘すぎる。」
ジェラルドが食べるとアメリアは本当に嬉しそうに笑った。それを見てジェラルドは食べてよかったと自分の選択を褒めた。
ジェラルドは幸せそうにパンケーキを食べているアメリアを見ているとホッとする。平和な日常が戻ってきた。そう実感することができるからだろうか。
ジェラルドは恵まれた環境を当たり前のように享受してしまっていた。今までの日々を思い出すと反省することばかりだ。
「ジェラルド、こんなふうにずっと仲良く暮らしていこうね。」
アメリアがくりくりとした大きな瞳を輝かせて笑っている。
「なんか、プロポーズみたいだな。」
ジェラルドは幸せを噛み締めながらアメリアに微笑みかけた。
「ジェラルド、『皇太子殿下の恋人』の2巻が発売されたの知ってる? 駆け落ち先がバレて恋人と別れさせられた皇太子殿下は仕方なく元婚約者と結婚するんだけどね、新婚旅行先の湖で恋人と運命の再会をするの。」
ニコニコと嬉しそうに話すアメリアをジェラルドは呆然として見つめる。
小説の内容を使ったのはジェラルド自身だが2人を引っ掻き回した小説の続編を読むだけでもジェラルドには理解出来なかった。
(しかも、よりにもよって新婚旅行先の湖で浮気相手と再会って……不吉だろ!)
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(アメリアが可愛い……ってそうじゃない。)
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(そういうところだぞ! アメリア! 反省しろ!)
心の中で叫ぶジェラルドだが楽しそうな瞳を見ていると言えるわけもなく……
「再会のときの皇太子殿下のセリフがね……ってジェラルド聞いてる?」
何も言わないジェラルドを不思議そうに見るアメリアに、ジェラルドはただ愛想笑いを返すことしか出来なかった。
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