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師「霊視鑑定人X氏」の禁話
邪の道 2
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数日後の事だ。
依頼者一家のお宅を訪ねた時の事を、X氏はこう語る。
「なんかね、玄関潜った先からもう空気が温いのよ。
纏わりついて来るような。
更年期とかで首元が異様に熱くなったりするけど、あれに近い感じかな。
それがさ、首だけじゃなくて
頬から首から太ももから・・・とにかく全身で分かるんだよ。
モワっと何かが迫ってくるような感じ?」
この時点で、X氏の脳裏から「亡くなった人の念」という線は消えたそうだ。
「亡くなったという事は、そのまま代謝が停止している状態だ。
代謝が停止しているという事は、熱を作り出す事は無い。
だから亡くなった人は冷たくなるのは当たり前の事だろう?」
X氏によれば、この肌感覚の違いで「どちらの念か」分かるのだそうだ。
生きた人間による怨恨か、亡くなった者の渇望か・・・。
「それだけじゃなくてね。
引っ越しをしたばかりだって聞いてたのに、自宅の中では所々『カビ』が生えててさ。
可笑しいなぁ。と思ったんだよ。新築のはずなのにさ。」
X氏が感じたという「温さ」はそのまま「湿度を帯びた空気」だったようだ。
「新築」にしては合ってはならない現象だ。
当然、それについても依頼者の夫に聞いた所
複数の業者に確認を求めた結果「建築に問題はなかった」そうだ。
しかし、その「温さ」の理由をX氏は直ぐに知る事となった。
「あの、これは?」
「・・・妻の趣味で。」
X氏が廊下で見つけた絵画。
絵画を見て、即答しなかった夫。
娘に確認を取った所、夫とは別の回答が返って来た。
「それ、前に話したお母さんが親しくしてた近所の人が『置いて行った』って。」
「そうなんだ。・・・これだな。」
「え?」
夫は驚くように振り返る。
「いやぁ、此処に書かれてる画なんですけどね。
まぁ、専門的な事になってしまうので何とも説明しにくいんですけど
玄関や廊下には相応しくないんですよ。」
だが、X氏には一つの疑念があった。
たった一枚の絵画だけで、依頼者の妻があそこまで病的な落ち込みを見せるだろうか?
それは考えにくい。・・・その程度の物(絵画)だったとX氏は言う。
しかし、それを聞いた娘によって新たな証言が舞い込む。
「お母さん、他にも色々押し付けられてたよ。」
「何だって?」
「お父さんは、仕事で殆ど話聞いてくれないからって。
何時も私、愚痴聞かされてたもん。」
「それ、何処にあるんだ。すぐ先生(X氏)に見てもらおう。」
結果、その殆どが「何処か間違った知識の詰まったオカルト品」ばかりだった。
だが、その数が半端ではなかった。
家中をかき集めた結果、その「近所の人」から押し付けられた品は
凡そ30以上にも及んだそうだ。
X氏は、これを見て絶句したという・・・。
依頼者一家のお宅を訪ねた時の事を、X氏はこう語る。
「なんかね、玄関潜った先からもう空気が温いのよ。
纏わりついて来るような。
更年期とかで首元が異様に熱くなったりするけど、あれに近い感じかな。
それがさ、首だけじゃなくて
頬から首から太ももから・・・とにかく全身で分かるんだよ。
モワっと何かが迫ってくるような感じ?」
この時点で、X氏の脳裏から「亡くなった人の念」という線は消えたそうだ。
「亡くなったという事は、そのまま代謝が停止している状態だ。
代謝が停止しているという事は、熱を作り出す事は無い。
だから亡くなった人は冷たくなるのは当たり前の事だろう?」
X氏によれば、この肌感覚の違いで「どちらの念か」分かるのだそうだ。
生きた人間による怨恨か、亡くなった者の渇望か・・・。
「それだけじゃなくてね。
引っ越しをしたばかりだって聞いてたのに、自宅の中では所々『カビ』が生えててさ。
可笑しいなぁ。と思ったんだよ。新築のはずなのにさ。」
X氏が感じたという「温さ」はそのまま「湿度を帯びた空気」だったようだ。
「新築」にしては合ってはならない現象だ。
当然、それについても依頼者の夫に聞いた所
複数の業者に確認を求めた結果「建築に問題はなかった」そうだ。
しかし、その「温さ」の理由をX氏は直ぐに知る事となった。
「あの、これは?」
「・・・妻の趣味で。」
X氏が廊下で見つけた絵画。
絵画を見て、即答しなかった夫。
娘に確認を取った所、夫とは別の回答が返って来た。
「それ、前に話したお母さんが親しくしてた近所の人が『置いて行った』って。」
「そうなんだ。・・・これだな。」
「え?」
夫は驚くように振り返る。
「いやぁ、此処に書かれてる画なんですけどね。
まぁ、専門的な事になってしまうので何とも説明しにくいんですけど
玄関や廊下には相応しくないんですよ。」
だが、X氏には一つの疑念があった。
たった一枚の絵画だけで、依頼者の妻があそこまで病的な落ち込みを見せるだろうか?
それは考えにくい。・・・その程度の物(絵画)だったとX氏は言う。
しかし、それを聞いた娘によって新たな証言が舞い込む。
「お母さん、他にも色々押し付けられてたよ。」
「何だって?」
「お父さんは、仕事で殆ど話聞いてくれないからって。
何時も私、愚痴聞かされてたもん。」
「それ、何処にあるんだ。すぐ先生(X氏)に見てもらおう。」
結果、その殆どが「何処か間違った知識の詰まったオカルト品」ばかりだった。
だが、その数が半端ではなかった。
家中をかき集めた結果、その「近所の人」から押し付けられた品は
凡そ30以上にも及んだそうだ。
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