続・骸行進(裏怪談)

メカ

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筆者(メカ)に届く体験談のあれこれ。

トモダチの儀式

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これは、数年前。
当時、70代の男性から送られてきたメールによる
「体験談」だ。

男性の名は「前川(仮名)さん」。

子供の頃、とある地方の集落に住んでいたそうだ。
(調べた所、当時既にその集落は無くなっていた事が分かった。)

前川さん、小学生時代・・・。

彼は、学校に通った事がないそうだ。
というのも、当時から既にその集落は「限界集落」と認定され
年々、住民の数は減っていた。
その影響から、且つて使われていた校舎は閉鎖。
残った数少ない子供たちは、集会所を教室代わりに使っていたそうだ。

そんな彼等少年たちの間で、一時期流行った遊びがある。
それが「トモダチの儀式」。

他所から引っ越してきた同年代の子供や新年度、顔を合わせた仲間同士
絆を深めていこう。と考案された遊びだったそうだ。

だが・・・彼等が高校生くらいの年頃になる前に
集落は、終わりを迎えた・・・。

土地開発の為、やむを得ず住民達は故郷から巣立ったのだ。

当時、仲の良かった者達といつの日か再会を約束し・・・。
彼等は大人に成った。

前川さん、40代の頃。

仕事も軌道に乗った年頃、仕事柄の関係で「故郷の仲間」と彼は再会する。
彼の名は「庄司(仮名)君」。一番の親友だった。
話は一気に弾み、彼等は仕事終わりに食事を。とその場を後にした。

そして、飲みの席。
庄司君の気遣いで、連絡の付く仲間たちと後日、会う段取りまで組んだ。

連休を使った小旅行。
懐かしい顔が数名も集まれば、当然「子供の頃の話」になる。

「なぁ、お前ら。『トモダチの儀式』覚えてるか!?」

仲間の一人が言う。

すると一気に場は盛り上がる。

「馬鹿野郎、忘れる訳ねぇだろ!俺達の友情の証だぜ?」

しかし・・・。

彼等はしばらく会話をして「気付いた」のだ。

誰一人「儀式の内容」までは覚えていない事を。

無理もない。2~30年ほど前の事だ。「そういう遊びがあった」事は覚えていても
内容までハッキリ覚えて等居なかった。

すると、仲間内の一人が言う。

「再現して思い出せねぇかな?」

互いに覚えている事を出し合って、当時を思い出そうとした・・・。

しかし、結局完全な再現には至らなかった。

そして・・・。

その日の帰り道。
庄司君から電話が鳴る。

「あ、前川君!?俺、庄司だけど!」

「どうしたの?」

「○○(友人の一人)が、バイクにはねられたって!」

「・・・え。」

「即死だったって・・・。」

その後、ピッタリ一年周期で当時の仲間たちが次々に亡くなった。
そして、数年後。
とうとう、仲間の死を知らせる電話も鳴らなくなった・・・。

全てが終わってしまった後で、前川さんは思い出した。

「この儀式の約束破ったり、間違えたら絶交な!」と
皆、一様に口にしていた事を・・・。

彼等が行っていたのは「友達を作る為の」儀式ではなく
「友を断つ為の」呪いである・・・。
それが「トモダチの儀式」だ・・・。

そして、私にメールを送って来た当時の前川さんも

「あの時、皆と一緒に間違って居れば・・・。」と非常に悔やんでいた・・・。
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