続・骸行進（裏怪談）

オカルト好きの友人「沢木（仮名）」の話

「相棒が消えた」 終

X氏は、以下の見立てを推した。

「そもそもね、その『異世界エレベーター』について調べていく過程で
君達は、彼（津田）がそのビルに足を運んだって言う見立てだったけど
僕は、彼（津田）が最初からそのビルを目指したんだと思ってるのね。」

「最初から？」

「だってさ、調査するにしたって『何の変哲もない場所』を選んで調べるのと
『何かあった場所』・・・どっちが魅力的よ？」

「・・・。」

「だから、僕は彼が『最初から』そのビルで調査する事が目的だったと思う。」

「そんな。」

「それとね、手遅れだと判断してたのも『僕は別の理由』があって言ってるのかと思ってた。」

「というと？」

「うん。これは非常に言いにくい事だけど・・・『彼、もう死んでる』と思う。」

「・・・。」

「勿論、今（当時）世間様が騒いでないって事は、そのビルで亡くなった訳じゃないだろうし
そもそも、まだ見つかってないから。って事なんだろうけどさ・・・。」

実の所、X氏の見立てはその後・・・見事的中してしまう。

津田は「とある沼」で沈んでいるのが後日、発見されたのだ。

酷く腐敗が進んでいた為、身元の特定も難航した。
同じ沼から津田の持ち物がサルベージされた事で、その遺体が「津田であろう」という判断が下る。
そして、DNA鑑定から「津田である」という確定がされた・・・。

検視の結果
「凡そ1年前」に沈んでいた事が分かった。

当時は、事故・事件の双方で調べが進んでいたが
これといった物的証拠も挙がらず、捜査は打ち切られた・・・。

また、警察の入念な捜査の成果もあり
当時、津田が「ジュエリーショップ」を何度か訪れていた事も分かった。
・・・津田は、彼女との約束を果たす気でいたのだ。

後日、彼女から届いた知らせで
津田が、指輪について熱心に店員に話をしていた事が分かったそうだ。

しかし、ソレと同時に
奇妙な矛盾点が生まれてしまった・・・。

津田が失踪を遂げたのは、遺体発見から「凡そ半年前」である。
だが、検視結果で出た死亡時刻は「凡そ1年前」である。

・・・では
この半年間の間、彼女は一体「誰」と住んでいたのだろうか・・・。

そして「誰」に「80万」もの大金を手渡したのだろうか。

更に、指輪について話をしたという店員は
一体「誰」と会話していたのだろうか・・・。

それらの謎については、一切明らかになっていない・・・。

ただ一言、X氏は最後に

「彼女と、どうしても結婚したかったんだろうな。」

とだけ言い残した・・・。