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18話 入学前に2
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何故か3章開始時に編入してくるはずの新ヒロインが既に学園に居る、という衝撃的な事実を聞かされた私は、とりあえず落ち着いて話を聞いてみる事にした。
「しょ、衝撃的ね、でもどうして新ヒロインだと分かったの?彼女確か公式ネーム無かったでしょ?」
「私も最初は分からなかったのよ、ただのティルステア聖国からの留学生だと思っていたから、見た目も黒髪に金の瞳で日本人っぽくなかったし」
なぜここで日本人なのかというと、ゲームの新ヒロインの設定は、魔王復活に備えてティルステア聖国が召喚した異世界の聖女というポジションなのだ、その為公式ネームは新ヒロインとしかなく、自由な名前が付けられるようになっていた。
ゲームの新ヒロインは召喚されてすぐは聖女の力が使えず、精霊の森に囲まれたサンステラ魔法学園に行けば才能が開花するのではという事情で編入してくる。
そこで新ヒロインは学園に居る攻略対象達と恋をし、愛の力で聖女の力が覚醒するというご都合主義展開が待っている、ちなみにライバルキャラは選んだ攻略対象と婚約内定中の初期ヒロイン、クリスティーナ様だ。
ただしクリスティーナ様に私のように追放、処刑エンド等はなく、攻略に成功すると「あなた達の愛は本物なのね」とかなんとか言って身を引いてしまうのだ、破滅しか待ってない私としては何ソレずるいといった感じである。
新ヒロイン登場の3章にはシークレットキャラも2人程いるけれど、あの人達はちょっと特殊だから今は無視しとこう、問題なのはそんな新ヒロインがなぜ今普通に入学しているかである。
「どうやって気付いたの?」
「そこは私が説明するよ、まず彼女の名前だけどエレナ・スメラギ・ティルステア、ティルステア聖国の第1聖女として留学してきた」
「第1聖女ですか、異世界の聖女ではなく」
「うん、これは私の勝手な想像だけど、恐らく物語の彼女は聖女の力が開花していなかった為、異世界の聖女という立場で編入したんじゃないかな、でも今の彼女は確認中だが聖女の力が使えるんだろう、正式に第1聖女として留学してきた」
「それでも気付いたって事は何かあったんですか?」
「そうだね、まず彼女が入学してから学園に居る影の数が倍になった」
「それは護衛としてですか?」
「いや、いくら他国の聖女でも護衛だけなら2人くらい就けておけば十分だよ、だから何かあると思ってウィルに探ってもらった」
「それで俺がロナルド様の宰相仕事見学ついでに調べたら、彼女が5年程前に異世界から召喚されたっていう書類を見つけた」
「陛下たちも異世界の聖女なんて情報持ってるなら教えてくれてもいいのにね、まぁそんな訳で彼女が新ヒロインではないかと考えた私達は、陛下たちとは別に監視をつけた」
「どなたをですか?」
「マリアンヌはセスと言えばわかるかな?」
「あぁ、セス様ですか」
セス様とは黄昏のメモリア2章からの攻略対象、セス・トレヴァーノ子爵令息の事だ、歳はカイン様と同じで学生として入学はしているものの、メインの仕事はカイン様の執事兼影だ、出自が少々複雑らしく、セス様を攻略した後、影の仕事をしている事は教えてくれても本当の両親は教えてくれない徹底ぶりだ。
しかもゲームでは描かれてなかったが、ウィルのお父様のバーナード様に弟子入りしているらしい。
「セスもウィルと一緒で実技免除されてるし、陛下側の影にバレないように監視するとなると、もうウィルかセスしかいなかったとも言えるんだけどね、それで監視してもらった結果なんだけど」とカイン様が言うと「新ヒロインのイベントが起きる場所の下見をしてたのよ!」とアリスが割り込んだ。
「特に学園裏にあるはずの精霊の泉への通路は念入りに探してたらしいわ」
「その人精霊の泉には行けなかったの?新ヒロインで聖女の力が覚醒してるなら行けるはずだけど」
「それなのよねぇ、時期のせいなのか条件が違うのか、そもそもこっちにはそんな場所がないのか、謎だわ」
「そうね、それ以外では特に何もないの?攻略対象に近寄ったりとかそういうのは?」
「今のところそういう行動は見られないらしいよ、ただキャサリン嬢と同じクラスでね、仲良くなり始めてるのは気になるかな」
「そうですか」
「あ!あとマリーに言っておきたい事がまだあるの」
そう言ったアリスから聞いた話は、まったく見覚えが無いのだけれど、明らかに攻略対象の気配がする教師が、今年から精霊学と歴史学を受け持っているらしい、え、何ソレ私も知らない。
ちなみに教師枠攻略対象のルーク・トヴィアス先生は言語学でちゃんといるらしいので別人だ。
その日はアリスに「色々シナリオと違う部分も出てきてるから心の準備はしておいてね」と言われて解散となった。
そうして予想外の情報を貰った私もとうとうサンステラ魔法学園に入学する日が近づいた。
「しょ、衝撃的ね、でもどうして新ヒロインだと分かったの?彼女確か公式ネーム無かったでしょ?」
「私も最初は分からなかったのよ、ただのティルステア聖国からの留学生だと思っていたから、見た目も黒髪に金の瞳で日本人っぽくなかったし」
なぜここで日本人なのかというと、ゲームの新ヒロインの設定は、魔王復活に備えてティルステア聖国が召喚した異世界の聖女というポジションなのだ、その為公式ネームは新ヒロインとしかなく、自由な名前が付けられるようになっていた。
ゲームの新ヒロインは召喚されてすぐは聖女の力が使えず、精霊の森に囲まれたサンステラ魔法学園に行けば才能が開花するのではという事情で編入してくる。
そこで新ヒロインは学園に居る攻略対象達と恋をし、愛の力で聖女の力が覚醒するというご都合主義展開が待っている、ちなみにライバルキャラは選んだ攻略対象と婚約内定中の初期ヒロイン、クリスティーナ様だ。
ただしクリスティーナ様に私のように追放、処刑エンド等はなく、攻略に成功すると「あなた達の愛は本物なのね」とかなんとか言って身を引いてしまうのだ、破滅しか待ってない私としては何ソレずるいといった感じである。
新ヒロイン登場の3章にはシークレットキャラも2人程いるけれど、あの人達はちょっと特殊だから今は無視しとこう、問題なのはそんな新ヒロインがなぜ今普通に入学しているかである。
「どうやって気付いたの?」
「そこは私が説明するよ、まず彼女の名前だけどエレナ・スメラギ・ティルステア、ティルステア聖国の第1聖女として留学してきた」
「第1聖女ですか、異世界の聖女ではなく」
「うん、これは私の勝手な想像だけど、恐らく物語の彼女は聖女の力が開花していなかった為、異世界の聖女という立場で編入したんじゃないかな、でも今の彼女は確認中だが聖女の力が使えるんだろう、正式に第1聖女として留学してきた」
「それでも気付いたって事は何かあったんですか?」
「そうだね、まず彼女が入学してから学園に居る影の数が倍になった」
「それは護衛としてですか?」
「いや、いくら他国の聖女でも護衛だけなら2人くらい就けておけば十分だよ、だから何かあると思ってウィルに探ってもらった」
「それで俺がロナルド様の宰相仕事見学ついでに調べたら、彼女が5年程前に異世界から召喚されたっていう書類を見つけた」
「陛下たちも異世界の聖女なんて情報持ってるなら教えてくれてもいいのにね、まぁそんな訳で彼女が新ヒロインではないかと考えた私達は、陛下たちとは別に監視をつけた」
「どなたをですか?」
「マリアンヌはセスと言えばわかるかな?」
「あぁ、セス様ですか」
セス様とは黄昏のメモリア2章からの攻略対象、セス・トレヴァーノ子爵令息の事だ、歳はカイン様と同じで学生として入学はしているものの、メインの仕事はカイン様の執事兼影だ、出自が少々複雑らしく、セス様を攻略した後、影の仕事をしている事は教えてくれても本当の両親は教えてくれない徹底ぶりだ。
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「セスもウィルと一緒で実技免除されてるし、陛下側の影にバレないように監視するとなると、もうウィルかセスしかいなかったとも言えるんだけどね、それで監視してもらった結果なんだけど」とカイン様が言うと「新ヒロインのイベントが起きる場所の下見をしてたのよ!」とアリスが割り込んだ。
「特に学園裏にあるはずの精霊の泉への通路は念入りに探してたらしいわ」
「その人精霊の泉には行けなかったの?新ヒロインで聖女の力が覚醒してるなら行けるはずだけど」
「それなのよねぇ、時期のせいなのか条件が違うのか、そもそもこっちにはそんな場所がないのか、謎だわ」
「そうね、それ以外では特に何もないの?攻略対象に近寄ったりとかそういうのは?」
「今のところそういう行動は見られないらしいよ、ただキャサリン嬢と同じクラスでね、仲良くなり始めてるのは気になるかな」
「そうですか」
「あ!あとマリーに言っておきたい事がまだあるの」
そう言ったアリスから聞いた話は、まったく見覚えが無いのだけれど、明らかに攻略対象の気配がする教師が、今年から精霊学と歴史学を受け持っているらしい、え、何ソレ私も知らない。
ちなみに教師枠攻略対象のルーク・トヴィアス先生は言語学でちゃんといるらしいので別人だ。
その日はアリスに「色々シナリオと違う部分も出てきてるから心の準備はしておいてね」と言われて解散となった。
そうして予想外の情報を貰った私もとうとうサンステラ魔法学園に入学する日が近づいた。
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