8 / 106
7話 母は強し2
しおりを挟む
部屋にいる全員が自分に注目している事を確認して、お母様は口を開いた。
「まず陛下、リーベル公爵の要望を簡単に聞くのをおやめなさい、どうせ陛下の事ですから、断った後に前公爵のあの古狸に色々言われるのが面倒でたいした抵抗もしていないのでしょう?」
「いやしかし、第1王妃であるヘレナの実家でもあるのだから聞かぬわけにもいかんだろう」
「私何も蔑ろにしろとは申してませんわ、きちんと精査し古狸に粘られても断る事をなさいませ、その場で簡単に返事をするから幼い殿下達が何とかしようとしてこんな事になるのです、よろしいですね」
「…わかった」
「次にあなた、マリーは誑かされてませんし、ウィリアム君は私の審査の結果、合格ですので婚約させます、よろしいですね」
「良くないよ」
「あなたったら、何がいけませんの?」
「ウィリアム君は確か三男だろう?バーナード、ウィリアム君が辺境伯位を継ぐ予定は?」
「無いかな」
「なら彼は「だから貰ってくれて構わないぞ」…は?」
お父様が何か言おうとしたのを、バーナード様が貰ってくれ発言で遮った為、お父様が固まった。
「あら、それは良いわね、ウィリアム君はうちに婿養子でも大丈夫?」
「あ、はい、俺はマリーと結婚させて頂けるなら何でも」
「それならうちの後継者問題も解決しますし、マリーもずっと家に居ますわよあなた」
「…はぁ、分かった認めよう」
お父様が折れて私とウィル様の婚約がほぼ内定した、嬉しくてウィル様を見ると彼も私を見て微笑んでくれた、推しの笑顔、プライスレス。
そしてお母様が「では最後に」と言ったところでバーナード様が手で制した。
「ちょっと待ってくれ、カイン殿下がこっちに来てる」
「カインが?今日は会う予定など無かったはずだが」
「カイン殿下が先触れなしに来られるなんて、珍しいですね」
なぜバーナード様は部屋に近づいてくる人が誰か分かるのだろうと疑問に思ったけれど、陛下もお父様も当たり前のようにされてるし、私以外誰も驚いていないので、とりあえずそういう人なのだろうと納得したら扉がノックされる音がした。
陛下が入室許可を出し、入ってきた人物は本当に第1王子のカイン殿下だった。
王妃様譲りの黒髪に黄昏の様な瞳のこの方ももちろん攻略対象である、ゲームでの登場は2章からだから、私の知ってる姿はもっと成長しているけれど面影はしっかりある、まさかこんなに早く会うとは思わなかった。
「陛下、皆さんも、お話中にお邪魔してしまいすいません」
「構わん、お前の事だ何か理由があるのだろう、何用だ?」
「えぇ、アルの婚約者の件でお話されてると聞いたので、私も参加しに」
「誰から聞いた」
「まぁ、色々ですよ」
そうして陛下に見詰められても、始終王子スマイルを崩さないカイン殿下に陛下が追及を諦めて、陛下と対面になる1人掛けソファに座るように言った。
座ろうとしたカイン殿下が私に気付いたので、お互い挨拶をして席に着いた。
「それで陛下、アルの婚約者は決まりそうですか?」
「おそらくリーベル公爵の娘になるだろうな」
陛下の出した答えはお母様が予想していた通りだったのだが、これに反対したのがアルベール殿下である。
「父上、俺は絶対婚約なんてしないからな!」
「あれ、そうなの?アルはリーベル公爵令嬢の何が不満なのかな?」
「え?」
「ん?」
まさかのカイン殿下に反対されて困惑するアルベール殿下、見かねたウィル様がカイン殿下の為に入れ替わりをしていた話をするのだが、それを聞いたカイン殿下が困った顔をした。
「あー、それじゃあアルはまだリーベル公爵令嬢に会ってないんだね」
「そうです」
「そうかぁ、そうなんだ…」
「カイン殿下、何かご希望があるのでしたら、ここにおります大人が何とか致しますので仰って下さいませ」
「ガルディアス公爵夫人…」
「ですよね、陛下」
「うっ、まぁ、そうだな、話してみろ」
陛下はお母様の聖女の微笑みの圧で押し切られた感があったが、カイン殿下は話し出した。
「実は、婚約したいご令嬢がおりまして」
「そうなのか、それで相手はどこの令嬢だ?」
「レイグラーフ公爵令嬢のアリスです」
「ふむ、レイグラーフか」
私はまだ大人の権力事情に詳しくないので、こっそり隣のお母様に伺うと、レイグラーフ公爵は中立の中でもかなり力のある家らしく、そこのご令嬢がカイン殿下と婚約すれば、いい感じにリーベル公爵への牽制になるらしい。
ただ、それで黙ってるリーベル公爵ではないので、アルベール殿下が、リーベル公爵令嬢と婚約してくれれば上手くバランスがとれるらしい。
「私としてはアルとリーベル公爵令嬢はそんなに相性が悪くないんじゃないかと思っていたので、顔合わせの後ならこの話をしても大丈夫かと思ったのですが、まさか会っていなかっただなんて」
「ごめん、兄様」
「いや、いいよ、私を想っての事だったのだろう?」
「でしたら明後日にでも皆で会えばよろしいんじゃなくて?」
「ア、アリー、ちなみに皆っていうのは誰だい?」
お父様が青い顔をしてお母様に聞くと、お母様は笑顔でアルベール殿下とリーベル公爵令嬢、ついでに2人をくっつけたいカイン殿下とレイグラーフ公爵令嬢のアリス様、そして何故かウィル様と私まで参加する事になっていた。
普通王城で王子とのお茶会となると、予定の調整から警備の問題等色々準備が必要な為、最低でも1週間かかる所を明後日にしろという無茶振り、しかしそこにカイン殿下が乗っかった。
「明後日なら私はアリスと会う予定を入れてるから構わないよ」
「ほらあなた、あと陛下も、大人なんですからこのくらい何とかして下さいませ」
「別に呼び出すのは構わんが、期待させといて駄目だった時のリーベル公爵はどうするつもりだ?」
「あら陛下、それこそ大人の事情なんですから、私達で何とかしますのよ」
そうして子供6人でのお茶会は決定した。
「まず陛下、リーベル公爵の要望を簡単に聞くのをおやめなさい、どうせ陛下の事ですから、断った後に前公爵のあの古狸に色々言われるのが面倒でたいした抵抗もしていないのでしょう?」
「いやしかし、第1王妃であるヘレナの実家でもあるのだから聞かぬわけにもいかんだろう」
「私何も蔑ろにしろとは申してませんわ、きちんと精査し古狸に粘られても断る事をなさいませ、その場で簡単に返事をするから幼い殿下達が何とかしようとしてこんな事になるのです、よろしいですね」
「…わかった」
「次にあなた、マリーは誑かされてませんし、ウィリアム君は私の審査の結果、合格ですので婚約させます、よろしいですね」
「良くないよ」
「あなたったら、何がいけませんの?」
「ウィリアム君は確か三男だろう?バーナード、ウィリアム君が辺境伯位を継ぐ予定は?」
「無いかな」
「なら彼は「だから貰ってくれて構わないぞ」…は?」
お父様が何か言おうとしたのを、バーナード様が貰ってくれ発言で遮った為、お父様が固まった。
「あら、それは良いわね、ウィリアム君はうちに婿養子でも大丈夫?」
「あ、はい、俺はマリーと結婚させて頂けるなら何でも」
「それならうちの後継者問題も解決しますし、マリーもずっと家に居ますわよあなた」
「…はぁ、分かった認めよう」
お父様が折れて私とウィル様の婚約がほぼ内定した、嬉しくてウィル様を見ると彼も私を見て微笑んでくれた、推しの笑顔、プライスレス。
そしてお母様が「では最後に」と言ったところでバーナード様が手で制した。
「ちょっと待ってくれ、カイン殿下がこっちに来てる」
「カインが?今日は会う予定など無かったはずだが」
「カイン殿下が先触れなしに来られるなんて、珍しいですね」
なぜバーナード様は部屋に近づいてくる人が誰か分かるのだろうと疑問に思ったけれど、陛下もお父様も当たり前のようにされてるし、私以外誰も驚いていないので、とりあえずそういう人なのだろうと納得したら扉がノックされる音がした。
陛下が入室許可を出し、入ってきた人物は本当に第1王子のカイン殿下だった。
王妃様譲りの黒髪に黄昏の様な瞳のこの方ももちろん攻略対象である、ゲームでの登場は2章からだから、私の知ってる姿はもっと成長しているけれど面影はしっかりある、まさかこんなに早く会うとは思わなかった。
「陛下、皆さんも、お話中にお邪魔してしまいすいません」
「構わん、お前の事だ何か理由があるのだろう、何用だ?」
「えぇ、アルの婚約者の件でお話されてると聞いたので、私も参加しに」
「誰から聞いた」
「まぁ、色々ですよ」
そうして陛下に見詰められても、始終王子スマイルを崩さないカイン殿下に陛下が追及を諦めて、陛下と対面になる1人掛けソファに座るように言った。
座ろうとしたカイン殿下が私に気付いたので、お互い挨拶をして席に着いた。
「それで陛下、アルの婚約者は決まりそうですか?」
「おそらくリーベル公爵の娘になるだろうな」
陛下の出した答えはお母様が予想していた通りだったのだが、これに反対したのがアルベール殿下である。
「父上、俺は絶対婚約なんてしないからな!」
「あれ、そうなの?アルはリーベル公爵令嬢の何が不満なのかな?」
「え?」
「ん?」
まさかのカイン殿下に反対されて困惑するアルベール殿下、見かねたウィル様がカイン殿下の為に入れ替わりをしていた話をするのだが、それを聞いたカイン殿下が困った顔をした。
「あー、それじゃあアルはまだリーベル公爵令嬢に会ってないんだね」
「そうです」
「そうかぁ、そうなんだ…」
「カイン殿下、何かご希望があるのでしたら、ここにおります大人が何とか致しますので仰って下さいませ」
「ガルディアス公爵夫人…」
「ですよね、陛下」
「うっ、まぁ、そうだな、話してみろ」
陛下はお母様の聖女の微笑みの圧で押し切られた感があったが、カイン殿下は話し出した。
「実は、婚約したいご令嬢がおりまして」
「そうなのか、それで相手はどこの令嬢だ?」
「レイグラーフ公爵令嬢のアリスです」
「ふむ、レイグラーフか」
私はまだ大人の権力事情に詳しくないので、こっそり隣のお母様に伺うと、レイグラーフ公爵は中立の中でもかなり力のある家らしく、そこのご令嬢がカイン殿下と婚約すれば、いい感じにリーベル公爵への牽制になるらしい。
ただ、それで黙ってるリーベル公爵ではないので、アルベール殿下が、リーベル公爵令嬢と婚約してくれれば上手くバランスがとれるらしい。
「私としてはアルとリーベル公爵令嬢はそんなに相性が悪くないんじゃないかと思っていたので、顔合わせの後ならこの話をしても大丈夫かと思ったのですが、まさか会っていなかっただなんて」
「ごめん、兄様」
「いや、いいよ、私を想っての事だったのだろう?」
「でしたら明後日にでも皆で会えばよろしいんじゃなくて?」
「ア、アリー、ちなみに皆っていうのは誰だい?」
お父様が青い顔をしてお母様に聞くと、お母様は笑顔でアルベール殿下とリーベル公爵令嬢、ついでに2人をくっつけたいカイン殿下とレイグラーフ公爵令嬢のアリス様、そして何故かウィル様と私まで参加する事になっていた。
普通王城で王子とのお茶会となると、予定の調整から警備の問題等色々準備が必要な為、最低でも1週間かかる所を明後日にしろという無茶振り、しかしそこにカイン殿下が乗っかった。
「明後日なら私はアリスと会う予定を入れてるから構わないよ」
「ほらあなた、あと陛下も、大人なんですからこのくらい何とかして下さいませ」
「別に呼び出すのは構わんが、期待させといて駄目だった時のリーベル公爵はどうするつもりだ?」
「あら陛下、それこそ大人の事情なんですから、私達で何とかしますのよ」
そうして子供6人でのお茶会は決定した。
0
お気に入りに追加
185
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます
葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。
しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。
お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。
二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。
「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」
アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。
「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」
「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」
「どんな約束でも守るわ」
「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」
これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。
※タイトル通りのご都合主義なお話です。
※他サイトにも投稿しています。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
転生悪役令嬢の前途多難な没落計画
一花八華
恋愛
斬首、幽閉、没落endの悪役令嬢に転生しましたわ。
私、ヴィクトリア・アクヤック。金髪ドリルの碧眼美少女ですの。
攻略対象とヒロインには、関わりませんわ。恋愛でも逆ハーでもお好きになさって?
私は、執事攻略に勤しみますわ!!
っといいつつもなんだかんだでガッツリ攻略対象とヒロインに囲まれ、持ち前の暴走と妄想と、斜め上を行き過ぎるネジ曲がった思考回路で突き進む猪突猛進型ドリル系主人公の(読者様からの)突っ込み待ち(ラブ)コメディです。
※全話に挿絵が入る予定です。作者絵が苦手な方は、ご注意ください。ファンアートいただけると、泣いて喜びます。掲載させて下さい。お願いします。
おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
サロン勤めで拘束時間は長く、休みもなかなか取れずに働きに働いた結果。
貯金残高はビックリするほど貯まってたけど、使う時間もないまま転生してた。
そして通勤の電車の中で暇つぶしに、ちょろーっとだけ遊んでいた乙女ゲームの世界に転生したっぽい?
あんまり内容覚えてないけど…
悪役令嬢がムチムチしてたのだけは許せなかった!
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドを堪能してくださいませ?
********************
初投稿です。
転生侍女シリーズ第一弾。
短編全4話で、投稿予約済みです。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。
ヤンデレ王子とだけは結婚したくない
小倉みち
恋愛
公爵令嬢ハリエットは、5歳のある日、未来の婚約者だと紹介された少年を見てすべてを思い出し、気づいてしまった。
前世で好きだった乙女ゲームのキャラクター、しかも悪役令嬢ハリエットに転生してしまったことに。
そのゲームの隠し攻略対象である第一王子の婚約者として選ばれた彼女は、社交界の華と呼ばれる自分よりもぽっと出の庶民である主人公がちやほやされるのが気に食わず、徹底的に虐めるという凄まじい性格をした少女であるが。
彼女は、第一王子の歪んだ性格の形成者でもあった。
幼いころから高飛車で苛烈な性格だったハリエットは、大人しい少年であった第一王子に繰り返し虐めを行う。
そのせいで自分の殻に閉じこもってしまった彼は、自分を唯一愛してくれると信じてやまない主人公に対し、恐ろしいほどのヤンデレ属性を発揮する。
彼ルートに入れば、第一王子は自分を狂わせた女、悪役令嬢ハリエットを自らの手で始末するのだったが――。
それは嫌だ。
死にたくない。
ということで、ストーリーに反して彼に優しくし始めるハリエット。
王子とはうまいこと良い関係を結びつつ、将来のために結婚しない方向性で――。
そんなことを考えていた彼女は、第一王子のヤンデレ属性が自分の方を向き始めていることに、全く気づいていなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる