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6話 母は強し1
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「本当にリーベル公爵ったら困った人ね」
ウィリアム様の話を聞き終えたお母様は、開口一番そう言った。
「姿を偽り騙すような真似をして本当に申し訳ありません」
「あら、謝らなくていいのよ~、そもそもうちのマリーは最初から殿下ではなく貴方だと分かっていたんですもの、何の問題もないわ、それより問題になるとしたらあなた達の婚約の件ね」
「お母様、それはお父様が反対するという事ですか?」
「あの人は問題ではないわ、ただ色々複雑なのよ」
そう言ってお母様が教えてくれたのは、私がウィリアム様と婚約すると、アルベール殿下の婚約者候補筆頭がリーベル公爵令嬢になる為、おそらく殿下が嫌がっても公爵にゴリ押しされてしまうだろうという事だった。
せっかくウィリアム様が入れ替りまでして頑張ったのに、ふりだしに戻る形になってしまう。
まさか乙女ゲームには描かれていない大人の権力事情の壁に阻まれるとは思ってなかった、面倒くさい。
でも、破滅回避の為にはそんな事言ってられないので、何とかならないかと悩んでいるとお母様がウィリアム様に話しかけた。
「ねぇウィリアム君、貴方この後陛下とうちの主人と貴方のお父様にお会いするのよね」
「はい、アルベール殿下と共に今回の件の報告をしに行く予定ですが、それが何か?」
「それ、私とマリーも参加させて頂きますから、殿下に伝えておいて下さる?」
「え、お母様?それはちょっと…」
「マリー、私言ったでしょう?任せなさいと、大人の事情は大人が解決するべきなのよ」
お母様が強い。
そしてお母様はウィリアム様に殿下の姿に戻るように言い、家令のサムを呼ぶと城に行くので先触れを出すよう伝えた。
登城の許可が出るまで、普通にお茶をして時間をつぶしていたら、ウィリアム様に愛称で呼んでいいか聞かれたので「もちろん構いませんわ」と返事をした。
「じゃあマリーにもウィルと呼んで欲しいんだけれど、どうかな」
「えっ、で、では、ウィル様と」
ウィル様には敬称は外して欲しいと言われたけれど、尊い推しに敬称なしとか流石にハードルが高すぎるので、詰め寄ってくるウィル様にこれ以上ないくらい赤面しながら何とか納得してもらった。
ちなみにお母様はそんな私たちのやり取りを微笑ましく眺めながら優雅にお茶を楽しんでいた。
そうこうしているうちに城から許可が下りたので、私たちは3人で馬車に乗り城へと向った。
お城に到着するとウィル様はアルベール殿下に話してくるからと別れ、私とお母様は応接室へと案内された、するとすぐにお父様が慌てた様子で入ってきた。
「アリー!殿下と一緒に城に来るだなんてどういう事だい、まさか殿下がマリーを婚約者に…」
「違うわよ」
「違うのかい!?なら何故城に?」
「あなたがこの後、陛下とバーナード様と一緒に殿下の婚約者の件の報告を受けると聞きましたので、混ざりに」
「混ざりに…」
「えぇ、もちろんよろしいでしょう?」
「…分かった」
ええええぇぇ!?お父様良いんですか!?あ、いや、良くはなさそうな顔色をされてる、ため息もつかれてるし、なんかごめんなさい。
「ちなみに理由は今話してくれるのかい?」
「もうそんなに時間はないのでしょう?皆様そろったらお話ししますわ」
「あぁうん…そうだね、じゃあ先に陛下の所に案内するよ」
そうして落ち込んでるお父様に案内されて陛下の執務室へとやってきた。
最初にお父様が入室し、陛下に許可をもらってからお母様と一緒に部屋へと入ると、アルベール殿下と同じプラチナブロンドに黄昏の様な瞳のこの国の国王アーノルド・レクス・トワイライト陛下が居た。
陛下は執務机から立ち上がるとこちらに近づいてきた。
「アリアンナ、久しぶりだな」
「ご無沙汰しております陛下」
「そちらの娘は君の子かい?」
「お初にお目にかかります陛下、ガルディアス公爵の娘マリアンヌと申します」
「なるほど、ロンが自慢するのも分かるな、立ち話もなんだからそこに座るといい」
そして私とお母様とお父様が長いローテーブルのそばの3人掛けのソファに座り、陛下が1人掛けのソファに座ったところで扉がノックされた。
陛下が入室を許可して入ってきたのは、ダークブラウンの髪にターコイズ色の瞳の30代くらいの男性と、初めて会う本物のアルベール殿下とウィル様だった。
入ってきた3人に陛下が座るように言い、私達家族と対面側の3人掛けソファに着席した。
「では皆そろった事だしアル、お前の話を聞こうか」
「陛下、お話の前にこの部屋に防音魔法を使用してもよろしいかしら?」
「防音魔法?必要か?」
「えぇ、必要ですわ」
「まぁ困るものでもないしな、許可しよう」
陛下の許可をとったお母様がローテーブルに触れると、一瞬暖かい風が通り過ぎたような感覚があった、後で知った話だが回復、結界系の魔法は聖人聖女の素質がある人と、精霊にかなり愛されてる人しか使えないらしく、割とレアな魔法だった。
「さぁ、これで心置きなく話せますわよ殿下」
「あぁ、ありがとう、ではまずマリアンヌ嬢、私がアルベール・クレメント・トワイライトだ、初めまして」
「あっ、こちらこそお初にお目にかかります殿下、マリアンヌ・ガルディアスと申します」
「ちょっと待った、殿下、ウィル、お前らまさかまたやったのか!」
この挨拶で1番最初に入れ替わりに気付いたのは、殿下の隣に居る私の知らない男性だったのだが、その人が殿下達を問いただしてる間に、お母様が「あれがウィリアム君のお父様のバーナード様よ」と教えて下さった。
なるほど、ウィル様の髪色はお父様譲りなのね、などと思考を飛ばしていると、バーナード様と殿下達のやりとりから事情を把握した陛下とお父様も混ざって、お説教大会になっていた。
お母様はというと扇子を広げて様子見といった感じである。
「ん?殿下と入れ替わっていたのがウィリアム君という事は⋯うちの娘を誑かしたのはお前か!」
「そこまでよ!!」
お母様がそう言ってバチンッ!と音を立てて扇子を閉じた為、部屋は静寂に包まれた。
「では皆さん事情を把握した事ですし、今度は私の話を聞いて下さるかしら?」
ウィリアム様の話を聞き終えたお母様は、開口一番そう言った。
「姿を偽り騙すような真似をして本当に申し訳ありません」
「あら、謝らなくていいのよ~、そもそもうちのマリーは最初から殿下ではなく貴方だと分かっていたんですもの、何の問題もないわ、それより問題になるとしたらあなた達の婚約の件ね」
「お母様、それはお父様が反対するという事ですか?」
「あの人は問題ではないわ、ただ色々複雑なのよ」
そう言ってお母様が教えてくれたのは、私がウィリアム様と婚約すると、アルベール殿下の婚約者候補筆頭がリーベル公爵令嬢になる為、おそらく殿下が嫌がっても公爵にゴリ押しされてしまうだろうという事だった。
せっかくウィリアム様が入れ替りまでして頑張ったのに、ふりだしに戻る形になってしまう。
まさか乙女ゲームには描かれていない大人の権力事情の壁に阻まれるとは思ってなかった、面倒くさい。
でも、破滅回避の為にはそんな事言ってられないので、何とかならないかと悩んでいるとお母様がウィリアム様に話しかけた。
「ねぇウィリアム君、貴方この後陛下とうちの主人と貴方のお父様にお会いするのよね」
「はい、アルベール殿下と共に今回の件の報告をしに行く予定ですが、それが何か?」
「それ、私とマリーも参加させて頂きますから、殿下に伝えておいて下さる?」
「え、お母様?それはちょっと…」
「マリー、私言ったでしょう?任せなさいと、大人の事情は大人が解決するべきなのよ」
お母様が強い。
そしてお母様はウィリアム様に殿下の姿に戻るように言い、家令のサムを呼ぶと城に行くので先触れを出すよう伝えた。
登城の許可が出るまで、普通にお茶をして時間をつぶしていたら、ウィリアム様に愛称で呼んでいいか聞かれたので「もちろん構いませんわ」と返事をした。
「じゃあマリーにもウィルと呼んで欲しいんだけれど、どうかな」
「えっ、で、では、ウィル様と」
ウィル様には敬称は外して欲しいと言われたけれど、尊い推しに敬称なしとか流石にハードルが高すぎるので、詰め寄ってくるウィル様にこれ以上ないくらい赤面しながら何とか納得してもらった。
ちなみにお母様はそんな私たちのやり取りを微笑ましく眺めながら優雅にお茶を楽しんでいた。
そうこうしているうちに城から許可が下りたので、私たちは3人で馬車に乗り城へと向った。
お城に到着するとウィル様はアルベール殿下に話してくるからと別れ、私とお母様は応接室へと案内された、するとすぐにお父様が慌てた様子で入ってきた。
「アリー!殿下と一緒に城に来るだなんてどういう事だい、まさか殿下がマリーを婚約者に…」
「違うわよ」
「違うのかい!?なら何故城に?」
「あなたがこの後、陛下とバーナード様と一緒に殿下の婚約者の件の報告を受けると聞きましたので、混ざりに」
「混ざりに…」
「えぇ、もちろんよろしいでしょう?」
「…分かった」
ええええぇぇ!?お父様良いんですか!?あ、いや、良くはなさそうな顔色をされてる、ため息もつかれてるし、なんかごめんなさい。
「ちなみに理由は今話してくれるのかい?」
「もうそんなに時間はないのでしょう?皆様そろったらお話ししますわ」
「あぁうん…そうだね、じゃあ先に陛下の所に案内するよ」
そうして落ち込んでるお父様に案内されて陛下の執務室へとやってきた。
最初にお父様が入室し、陛下に許可をもらってからお母様と一緒に部屋へと入ると、アルベール殿下と同じプラチナブロンドに黄昏の様な瞳のこの国の国王アーノルド・レクス・トワイライト陛下が居た。
陛下は執務机から立ち上がるとこちらに近づいてきた。
「アリアンナ、久しぶりだな」
「ご無沙汰しております陛下」
「そちらの娘は君の子かい?」
「お初にお目にかかります陛下、ガルディアス公爵の娘マリアンヌと申します」
「なるほど、ロンが自慢するのも分かるな、立ち話もなんだからそこに座るといい」
そして私とお母様とお父様が長いローテーブルのそばの3人掛けのソファに座り、陛下が1人掛けのソファに座ったところで扉がノックされた。
陛下が入室を許可して入ってきたのは、ダークブラウンの髪にターコイズ色の瞳の30代くらいの男性と、初めて会う本物のアルベール殿下とウィル様だった。
入ってきた3人に陛下が座るように言い、私達家族と対面側の3人掛けソファに着席した。
「では皆そろった事だしアル、お前の話を聞こうか」
「陛下、お話の前にこの部屋に防音魔法を使用してもよろしいかしら?」
「防音魔法?必要か?」
「えぇ、必要ですわ」
「まぁ困るものでもないしな、許可しよう」
陛下の許可をとったお母様がローテーブルに触れると、一瞬暖かい風が通り過ぎたような感覚があった、後で知った話だが回復、結界系の魔法は聖人聖女の素質がある人と、精霊にかなり愛されてる人しか使えないらしく、割とレアな魔法だった。
「さぁ、これで心置きなく話せますわよ殿下」
「あぁ、ありがとう、ではまずマリアンヌ嬢、私がアルベール・クレメント・トワイライトだ、初めまして」
「あっ、こちらこそお初にお目にかかります殿下、マリアンヌ・ガルディアスと申します」
「ちょっと待った、殿下、ウィル、お前らまさかまたやったのか!」
この挨拶で1番最初に入れ替わりに気付いたのは、殿下の隣に居る私の知らない男性だったのだが、その人が殿下達を問いただしてる間に、お母様が「あれがウィリアム君のお父様のバーナード様よ」と教えて下さった。
なるほど、ウィル様の髪色はお父様譲りなのね、などと思考を飛ばしていると、バーナード様と殿下達のやりとりから事情を把握した陛下とお父様も混ざって、お説教大会になっていた。
お母様はというと扇子を広げて様子見といった感じである。
「ん?殿下と入れ替わっていたのがウィリアム君という事は⋯うちの娘を誑かしたのはお前か!」
「そこまでよ!!」
お母様がそう言ってバチンッ!と音を立てて扇子を閉じた為、部屋は静寂に包まれた。
「では皆さん事情を把握した事ですし、今度は私の話を聞いて下さるかしら?」
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