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シックザール学園 第三章
お詫び申し上げます
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あの後、私はオリオン様、ベル、クラリーナ様にとんでもなく怒られた。
ニコラス様はカンカンに怒って帰ってしまい、大魔王ゴードンや世界滅亡の話は一切出来なかった。
私がニコラス様を怒らせたという最悪の事実だけが残ったのだ。
冷静になると私は真っ青になった。
リリーとリオンをブス呼ばわりしたことは許せないが、よりによって四大貴族に喧嘩を売るとは我ながら終わってる。
猛省した私は、現在ニコラス様の部屋の前に立っている。
「あの、ニコラス様?」
「帰れ!!」
「この前は大変失礼しました! あ、名も名乗らずに……」
「スピカ・アルドレード」
「え? 知って……」
「お前とは話したくない!!」
何度追い返されても私はニコラス様の部屋に通い続けた。
最近のニコラス様は、学園の授業まで休んでしまっている。
何でも私が教室まで会いに行き、見事に追い返されたけど……
その時に授業に出たら私が会いに来ると思ったらしく、部屋で勉強するという結論に至ってしまったらしい。
そこまで、会いたくないですか……
「おはようございます、ニコラス様!」
「帰れ!! しつこい!!」
「授業、お出になりませんか?」
「お前が会いに来ないならな!?」
「申し訳ありませんでした! けど、ニコラス様に大切なお話が……」
「さっさと立ち去れ!!」
今日で、四連敗ですね……
***
「また今日も行くのか?」
「当たり前です! 謝って許してくれるまで何度でも! そうじゃなきゃ、大魔王ゴードンのことも……」
「よく続きますわね?」
「何だかその感じ、懐かしいな」
「スピカは諦めないからね?」
「でも、今は落ち着いてますし、そんな焦らなくても……」
「いや、今の状況からいつ何が起きるか分からないし、早く動きたいとこだよ」
「そうだよね……」
そうは言ってもだ、こうも門前払いを食らってばかりで話をまともに聞いてもらえないのは辛すぎる。
けど、気になるんだよね?
ニコラス様は最初からオリオン様達に怒っていた気がする。
話をしたくない、顔も見たくないと。
おまけに、ニコラス様は親しい友人も全くいないようだ。
「ねえ、ニコラス様ってどうして社交界に出ないの?」
「どうした、急に?」
「うん、実はずっと気になってて……」
すると、オリオン様、ベル、クラリーナ様は目配せをする。
私達は場所をオリオン様の部屋へと移動した。
聞かれたらダメな話?
扉を閉めると、三人はそれは言いずらそうに私達に話し始めた。
「ニコラスは、王国を恨んでるんだ」
「……どういうこと?」
オリオン様達の話すニコラス様の話は決して楽しいものではなかった。
ニコラス様は、今でこそケンドリック公爵家の次期当主だが、元々ニコラス様にはお兄様が二人いた。
ニコラス様とお兄様達は、十も年が離れていたが、とても仲が良かった。
しかし、我が王国が軍事国家で戦争を次々としていた時代。
ニコラス様のお兄様は二人とも戦争で命を落としてしまった。
ニコラス様はまだ九歳だった。
「そんな経緯があり、ニコラスは兄達を殺した戦争を、王国を、父上や他の貴族まで恨んでいる」
「だから、ニコラスはほとんど社交界に出てこない」
「ニコラスの、あの貴族嫌いは一部では有名ですわ……」
「あー! だから、初めて会った時から敵意むき出しだったのか!」
「スピカへの態度も納得だね」
「こればかりは難しい問題ですね……」
(何だよそれ……)
「スピカ!? おい、待て!!」
私はオリオン様の制止を聞かずに部屋を飛び出した。
猛スピードで廊下を駆け抜ける私を他の生徒達は左右に避ける。
ニコラス様、そうだよね?
ニコラス様はカンカンに怒って帰ってしまい、大魔王ゴードンや世界滅亡の話は一切出来なかった。
私がニコラス様を怒らせたという最悪の事実だけが残ったのだ。
冷静になると私は真っ青になった。
リリーとリオンをブス呼ばわりしたことは許せないが、よりによって四大貴族に喧嘩を売るとは我ながら終わってる。
猛省した私は、現在ニコラス様の部屋の前に立っている。
「あの、ニコラス様?」
「帰れ!!」
「この前は大変失礼しました! あ、名も名乗らずに……」
「スピカ・アルドレード」
「え? 知って……」
「お前とは話したくない!!」
何度追い返されても私はニコラス様の部屋に通い続けた。
最近のニコラス様は、学園の授業まで休んでしまっている。
何でも私が教室まで会いに行き、見事に追い返されたけど……
その時に授業に出たら私が会いに来ると思ったらしく、部屋で勉強するという結論に至ってしまったらしい。
そこまで、会いたくないですか……
「おはようございます、ニコラス様!」
「帰れ!! しつこい!!」
「授業、お出になりませんか?」
「お前が会いに来ないならな!?」
「申し訳ありませんでした! けど、ニコラス様に大切なお話が……」
「さっさと立ち去れ!!」
今日で、四連敗ですね……
***
「また今日も行くのか?」
「当たり前です! 謝って許してくれるまで何度でも! そうじゃなきゃ、大魔王ゴードンのことも……」
「よく続きますわね?」
「何だかその感じ、懐かしいな」
「スピカは諦めないからね?」
「でも、今は落ち着いてますし、そんな焦らなくても……」
「いや、今の状況からいつ何が起きるか分からないし、早く動きたいとこだよ」
「そうだよね……」
そうは言ってもだ、こうも門前払いを食らってばかりで話をまともに聞いてもらえないのは辛すぎる。
けど、気になるんだよね?
ニコラス様は最初からオリオン様達に怒っていた気がする。
話をしたくない、顔も見たくないと。
おまけに、ニコラス様は親しい友人も全くいないようだ。
「ねえ、ニコラス様ってどうして社交界に出ないの?」
「どうした、急に?」
「うん、実はずっと気になってて……」
すると、オリオン様、ベル、クラリーナ様は目配せをする。
私達は場所をオリオン様の部屋へと移動した。
聞かれたらダメな話?
扉を閉めると、三人はそれは言いずらそうに私達に話し始めた。
「ニコラスは、王国を恨んでるんだ」
「……どういうこと?」
オリオン様達の話すニコラス様の話は決して楽しいものではなかった。
ニコラス様は、今でこそケンドリック公爵家の次期当主だが、元々ニコラス様にはお兄様が二人いた。
ニコラス様とお兄様達は、十も年が離れていたが、とても仲が良かった。
しかし、我が王国が軍事国家で戦争を次々としていた時代。
ニコラス様のお兄様は二人とも戦争で命を落としてしまった。
ニコラス様はまだ九歳だった。
「そんな経緯があり、ニコラスは兄達を殺した戦争を、王国を、父上や他の貴族まで恨んでいる」
「だから、ニコラスはほとんど社交界に出てこない」
「ニコラスの、あの貴族嫌いは一部では有名ですわ……」
「あー! だから、初めて会った時から敵意むき出しだったのか!」
「スピカへの態度も納得だね」
「こればかりは難しい問題ですね……」
(何だよそれ……)
「スピカ!? おい、待て!!」
私はオリオン様の制止を聞かずに部屋を飛び出した。
猛スピードで廊下を駆け抜ける私を他の生徒達は左右に避ける。
ニコラス様、そうだよね?
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