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過去と未来

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「ん……もう朝…?」

 部屋からは眩しいくらいの日差しが射し込んでいる。

「サキ、起きたか」
「ミスカさん…おはようございます…」
「おはよう」

 ソファに座っていた彼はこちらに来て布団で温まっている私の目元を指で撫でる。

「だいぶ眠っていたから腹が減っているだろうが、シャワーが先だな」
「今何時…?」
「十一時だ」

 ……え、もう昼!?

「あ、朝ごはん!寝坊しちゃった…」

 慌てて起き上がろうとするが、体が重すぎてまた倒れ込む。

「う…」
「無理するな。朝飯ならヴェルストリアが作った。夕飯も任せるから大丈夫だ」

 ミスカさんが起きるのを手伝って肩からブランケットをかけ包んでくれる。

「元は俺たちのせいだから、今日はゆっくり休んで良い」
「はい…」

 そうだ、昨日…めちゃくちゃにされたんだった…。
 でも…凄い満足感。やっぱり皆に触れたかったんだなぁ私。
 抱かれてシャワールームまで運ばれるけど、腰の痛みと足に力が入らないので上手く立てない。

「一人だと辛そうだな、手伝おう」
「え、でも…」

 見られるの恥ずかしい…でも昨日普通に見られてた…。

「しないから大丈夫だ。濡れると困るから服だけ脱がせてくれ」

 私を支えながらミスカさんは器用に服を脱ぐ。
 し、下着も…?

「替えを持ってこれば良かったな」

 そうですよね…。
 ふと下に違和感を感じて見ると、股の間から白い液体が脚を伝って流れていた。
 それが昨日のアレだと分かって真っ赤になる。ミスカさんもその様子を見て察し、少し考える。

「掻き出したほうが良いのか?」
「!?」
「垂れてきては困るだろう」
「そうですけど…」

 こういう時どうすれば良いのか分からないので何とも言えない。
 ミスカさんに背を向ける形でお腹に手を回され支えられている。シャワーヘッドを手に取った彼は私に声をかけお湯で体を濡らしていく。
 温かい…落ち着く…。
 背中に当たるミスカさんの温もりもあって、安心感が凄い。

「指入れるぞ」

 ボーッとしていたところで突然聞かれアソコに触れる手に気づく。

「えっ、あ」

 中指が一本中に入って掻き出すように優しく動く。

「んっ…」

 一度指を抜けばスっと下に垂れて水に流されていく。何度か繰り返される度に出てきて、こんなにいっぱい出されていたのかと驚きだった。

「あ、っはぁ…」
「このくらいで良いか」
「あ、ありがとうございます…」

 中を少し触られただけで反応してしまった。先程よりも体が熱い。
 次は彼の硬い手が泡越しに肌触れ、敏感になった体はビクッと跳ねる。

「痛くないか」
「大丈夫です…」

 勿論胸も触れる訳で、案の定私はそこにも反応する。

「っ…」

 こんな時に先端が硬くなってしまっている私のせいなのだけど、手が通り過ぎる度に擦れて感じてしまう。
 やだ…昨日いっぱいしたのに、またって思われちゃう…。
 必死に声を抑え、今度は反対を向いて背中を洗ってもらう。目の前にミスカさんの胸が来て心臓のドキドキが止まらない。
 ふとお腹に当たるものを感じる。もしかしてだけど…嬉しい。私を見て思ってくれているというのが。
 でもしないって言ってたから…何も言わない方が良いよね。
 彼は丁寧に脚まで洗ってくれて、泡を流したらとてもさっぱりした。

「ありがとうございます、ミスカさん」
「ああ」

 ……まだ勃ってる…。どうしよう、何だか申し訳ない…。

「気にしなくていい、そのうち治まる」

 チラ見したつもりだったのに…!

「す、すみません」

 極力見ないようにして、体を拭いてもらって服も着た。私をソファに運んだミスカさんは自分の準備をする為シャワールームへ戻って行った。
 それにしても体が重い…節々が痛い感じ。
 私運動不足…?体力無いから皆にもついていけてない?いや、皆騎士だし一緒にされては困る。
 でも体力付いたら疲れとか気にせずもっとイチャイチャ出来るのでは…!
 そんなことを考えているとミスカさんがこちらに来る。
 あ、治まったみたいで良かった。
 あまり移動しないほうが楽だろうと、ミスカさんがご飯を作って持ってきてくれることになった。

「簡単なもので悪いな」
「いえ!ありがとうございます!」

 ミスカさんの初手料理…!
 パンとサラダにスープ。いつかの如く彼の膝の間に座り食べさせて貰う。

「美味しいです!優しい味…」
「そうか、良かった」

 このスープ、どこかで覚えがあるな…。

「もしかして、ジンさんのレシピですか?」
「ああ、よく分かったな。俺はあの人から料理を教わったから」

 ミスカさんはリュークのお家で育ったんだもんね。

「リュークと初めて会ったのって…」
「俺が八歳で、リュークが三歳の時だな」

 私が聞くと、ゆっくりと昔を話してくれた。
 ミスカさんは子供の頃ほとんど放置で育てられ、家には夜だけ帰ってずっと外で過ごしていたそう。
 それなりにいいお家だったから家事は使用人がしていてそれで困ることは無かったけど、本来父親がするべき子供への教育が一切与えられなかったから何をするべきなのか、これからどうやって生きていくのかを理解出来ずにいた。

「リュークがジンさんのところから離れて走って転けそうになったところを支えたんだ。たったそれだけだったのに、ジンさんはお礼がしたいと俺を家に招いた。…俺が町を彷徨いているのを知っていたんだろう」

 きっかけは小さいことだけど、それはミスカさんが優しさを持っていたからだと思う。ジンさんもきっと分かっていたんだ。

「料理も掃除も買い物も、生きていくことを全部教えて貰ったんだ」

 そして十三歳からはシオンさんのところで住み込みで働き、その後リュークと共に黒騎士団に入った。

「やっぱり…素敵なご家族ですよね」
「本当にな。ギルさんも俺を受け入れてくれた。デカいと言って驚いてはいたが」
「ふふ…」

 話終えた時にはご飯も美味しく完食して、嬉しくなって彼にもたれかかる。

「ミスカさんは良いお父さんになりますね」
「俺が……不安はあるが、サキとの子供なら絶対に愛して守ると誓う」
「ミスカさんとの子供なんて絶対可愛いです。…瞳は水色ですかね?」
「髪は黒か」

 ミスカさんそっくりの赤ちゃんが真顔でスンとしているところを想像して思わず笑ってしまった。

「男の子も女の子も欲しいなぁ…」
「女の子は産まれにくいが…俺も欲しいな」
「そっか…?女の子…」

 この世界では女性の割合が少ないのだから女子が産まれてくる数が少ないってこと。
 それは…遺伝とか、体質によるものなのかな。

「ミスカさん…」
「どうした」
「この世界の女性が女の子を産みにくい体質だとしたら、私は違うってことになりますよね」
「!」
「勿論私がどうなのかは分からないですけど、別の世界から来た人なら、その血が流れている人なら女の子が産みやすくなるんじゃないかと思って」

 何となく、ここに来た理由として成り立っている気がする。女性の人口を増やす為…世界が勝手に?無作為に私をポイッと…。仮説がだいぶ適当になっちゃったけど。

「確かに、そう言えるな」
「ただの思いつきですけど、そうだったら納得出来るので」
「正解を見つけるのは難しいだろう。サキの中で落とし前がつけば良いと思うぞ」
「そうですね、とりあえずそう思っておこうかな」

 正直私一人がこの世界に来たところで一気に女性が増える訳でも無いから大層な話になってしまうが、まあ何となくで良いだろう。

「今の皆との生活も楽しいけど、子供が居たらきっともっと楽しいです」
「ああ」

 いつか来るその日を思い、彼と優しいキスをした。
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