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番外編 枯れない花【過去出会い編〜抗争前まで】

枯れない花・5

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 二十歳になる頃には、お互い別々の部屋を借りて住むようになっていた。啓介が女に貢がせた部屋で宅飲みを始める。
 ——その内コイツ刺されるんじゃないのか?
 啓介は更に身長が伸びて、この頃は女も取っ替え引っ替え状態だった。
 でも深入りして詮索してこない女には優しくて、結構長続きもするという極端に分かれる付き合い方だ。
 己は相変わらずで、恋愛の〝れ〟の字もない生活を送っている。とは言え、溜まるものは溜まるのでその都度女を買うという図式だ。
 未だに恋愛が分からない。
 やっぱり啓介と一緒にいる方が楽しいし、啓介や不知火会メンバー以外と一緒にいる己が想像も出来なかった。
 ——もしかして俺ってゲイか? いや、女に勃つしな……ならバイ?
 己がおかしいのはとっくに気が付いているから、隣に座る啓介を見上げる。
 触れるだけの口付けが落ちてきたついでに口を開いた。
「なあ、啓介。お前さ、男も抱けるか?」
「唐突だな。どうかしたのか?」
「何で俺は誰も好きになれねえんだと思う? 女に勃つには勃つからゲイってわけじゃないと思うし。お前も拓馬も女いるのに俺だけ居ないのはムカつく」
「試してみるか?」
 酒に酔っていたのもある。
「これで勃たなかったら気まずいな」
「確かに」
 戯れ付くように床に押し倒され、シャツの中に啓介の手が這わせられた。
 手際の良すぎる行為に諍いもせずに大人しく身を任せる。
 着ていた衣服を全て剥ぎ取られる時には、お互い興奮しまくっていて陰茎が痛いくらい張り詰めていた。
「いらん心配だったようだな」
「お前もだろ」
 啓介の頭を軽くこづくと、抱え上げられて寝室まで連れて行かれた。
「入れる穴があれば男も女も同じだろ」
「最低だな」
 ——何でこんな奴がモテるんだ。猫被りすぎじゃねえの?
 ベッドの上に下ろされるとすぐに下半身にローションを垂らされ、冷たさに身じろぐ。
「お前……慣れ過ぎ」
「男を抱くのは羽琉が初めてだが?」
 ——はい、絶対嘘。
 心の中で悪態をついていると陰茎を扱かれる。イかされる手前で指が一本後孔に潜り込んできた。
 何とも言えない圧迫感と異物感に眉根を寄せる。その時だった。
「ん、あ!」
 意味が分からない程の快感で大きく体が震えた。
「ああ、ここか」
「待て、啓介やっぱり俺……ッ、んああ! やめ……っ、そこ嫌だ!」
 指は抜かれるどころか追加されて行き、グチュリグチュリと粘膜を擦る音が響く。
 漸く指を抜かれた時には全身弛緩していて、力さえも入らなくなっていた。
 服を脱いでいく啓介を眺めていると、急に気恥ずかしくなってきて視線を逸らす。
「誘ったのはお前だぞ、羽琉」
「そうなんだけどよ……っ」
 後孔に先端を押し当てられ、腰を押し進められる。息を詰めると啓介が笑った。
「はーる。息を吸って思いっきり吐け」
 言われた通りにすると、一気に中程まで突き入れられ、さすがにベッドを蹴って上に逃げた。
「やめ、やっぱり嫌だ啓介……っ、う、あ、ああああ゛あ゛!」
「悪いな。もう待っていてやる余裕がない」
 小刻みに腰を動かされて、前立腺ばかりを突かれると勢いよく腰が反り返った。
「ひっ、ァ、アア、あああ!! 啓介それ……っ、ダメだ……イっちまう!」
 吐精するかと思いきや、出てきたのは透明な液体だった。それが潮だと分かり、恥ずかしさがピークになって目を瞑る。
「お前、男相手の方が向いてるかもしれんぞ」
「うるせえよっ、奥ッやめ……もう入らない!!」
 もっと内部の奥へ進もうとしてくる啓介に向けて勢いよく首を振り、続け様に拒否しようとしていた言葉は口付けで口内に飲み込まれた。
「んっ、んんん、んう……っ、は、啓……ッ介、んんん゛ん゛ん゛ーーーー!!!」
 啓介の陰茎が直腸の奥らしき部分に到達した直後に吐精する。
 それでも止まらない抽挿に、頭がおかしくなるくらいの快感を与えられた。
「あっ、あ、あ゛、ああああ、アアーーー!」
「羽琉……っ」
 甘ったるく息を乱す啓介の声にも感じていて、髪を振り乱す。
「啓介……けい……すけ……っ、ふ、ぁ、ああ、アアア、ァ゛!!」
 また絶頂に上り詰め、吐精すると啓介も中でイったのか抽挿が緩やかになった。
「はっ、はっ、も……鼻血……出そう。つーか、お前もう……いい加減……ッ抜け!」
 荒い息を吐き出しながらも引き抜こうとすると、体をひっくり返され寝バックにされる。
「俺は一回イったくらいじゃ萎えん」
「は? お前……っ。はあ!?」
「後何回か付き合え」
 直後始まった律動に散々鳴かされるはめになってしまう。
 しかも何の因果か、啓介との体の相性はバツグンで、今までしてきたどのセックスよりも気持ち良かった。

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みんなの感想(2件)

結月てでぃ
2024.11.07 結月てでぃ

riyさん、こんばんは。
一旦区切りが良さそうな10話まで読んだので、感想を送らせていただきますね!

8話:組長とラーメンでイケメン効果が発揮されるカイルさんに笑っちゃいました。
長い間一緒にいて、好物知ってて攻略しやすい関係(できるわけではないのが可哀想なとこですが…)なのいいですね~!
豚骨塩味、作るの大変そうですが
なんだかんだで若に愛されてるのが可愛いです。
2人の関係と、軽口を叩き合うリズム感が好きだな~と思いました。

9話:組長効果がす ご い
組長さんの前では若も犬みたいになっちゃうんですね…!
(なんとなく若だとド―ベルマンやシェパードみたいなイメージです)
おお…カイルさん強い!一般人との違いなんでしょうが、失礼ながらかませ犬的な印象があったので驚きました。

10話:ラーメンが!という気持ちと、実験体来たな…という気持ちが一緒にきてしまいました。

11話:急にファンタジーなレベル差の人がきましたね…!?
若の体が物凄い再生能力を持っていて驚きました。
自分だけじゃない上に、無機物と有機物の違いなしなんですね!!??

ヒーロー?ですかね。サッパリした話口調で個人的に好みだなと思いました。
体と精神、両方知り合いなんでしょうか?
これからの展開がすごく楽しみです…!

riy
2024.11.08 riy

結月さん、感想ありがとうございます😊
羽琉の中でラーメンと組長の組み合わせは最強です。笑
カイルは普通にイケメンさんなんですが、犬属性なので残念な仕上がりに……器用貧乏タイプですね笑
龍人族に拉致られた辺りから主要メンバー揃って物語が動き出すって感じですね!
再生能力は自他拘らず、再生出来るものであれば本当に全てにおいて適応されるのでチート能力だったりします。
これから全部込み込みで関係性が絡んでくるのでまた楽しんで頂けると嬉しいです☺️
前世と今世と白雪姫(かじりのみ)のストーリーを同時に展開してたりして……()

解除
mo
2024.08.11 mo
ネタバレ含む
riy
2024.08.12 riy

moさん!
わあ!コメントありがとうございます😊
男前受け良いですよね。私も大好きです。
啓介とハルジオンを気に入っていただけて嬉しいです!!今後も見守ってくれると幸いです🙏✨

解除

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