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第2章

レクリエーションの代償

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「それで、ハーンスがルビちんの盾になってネ。拳で岩を破壊して守ったんだョ」


 いつの間にか話に加わっていたルーファさんが、フヨフヨと漂いながら事のあらましを説明して下さいましたわ。


「あの時のハーンスは、本当にかっこよかったナー。俺が女の子なら落ちてるネ!イエス!フォーリンラブ!」

っと頷いてますわ。あら、貴方も私の恋敵ライバルになりますの!?流石ハンス!イベント事で新規攻略だなんて、抜け目ないわね!この、歩くフラグ一級建築士!そんな資格ばかり取って!貴方一体何を目指してますの?!ハンス!

 ベッドに横たわるハンスを思わずジト目で見てしまいますわ。いけないいけない。女の嫉妬ほど、醜いものはありませんわ。


「貴方・・・・本当にぼろぼろね。大丈夫なの?」

 レジーナ先生は、他の生徒の救護にまわっている為、此処にいませんわ。粗方の怪我を治癒され、「あとは寝て治しなさい。貴方、治癒力高いから死にはしないわ」っと放って置かれましたの。

 私が治癒魔法をかけようとしたら、「ユニコーンに使用されたのでしょう?無理をしてまた倒れたらどうするんです。私は大丈夫ですから、お嬢様はご自身の身を第一にお考え下さい」っと制されてしまいましたわ・・・・貴方の為に折角取得したのに。

「ごめんなさい。私を庇って、ハンスさんはボロボロなの」

 私の言葉に、ルビアナが謝ってきますわ。俯き震えるルビアナ。

「ルビアナは、何も悪くないじゃないですの」

 そうよ。ルビアナは、謝る事なんて何もありませんわ。

「でも・・・・」
「ルビアナ嬢は、何も悪くない。俺が勝手に動いただけだから。気にするな」

 落ち込むルビアナの頭を、優しくぽんぽんするハンス。ハンスの声と優しさに、ルビアナも少し落ち着いていきますわ。ルビアナの事は、ハンスに任せればいいですわね。


 怪我をしている二人を救護テントに残し、私達は外へと出ますわ。





「・・・・話し合いが必要ですわね。」

 パタンと手元の扇子を畳み呟きますわ。


 ハンスをこんな目に合わせ、ルビアナや周りに多大な迷惑をかけた元凶。ええ。このクラスの副班長として、看過できませんわ。そうよね?

「ルーファさん」
「なんだい?ヴィクっち?」
「あの二人を直ちに拘束して下さるかしら?」

「それは、鎖でって事かな?」

 目を細めるルーファさんに、私は笑顔を返しますわ。

いいえ?そこまでは求めていませんわ?素直に非を認め、反省しているなら進んで来て下さる筈ですもの。

「それじゃレオニー。オレと一緒にお使いにいこっか?」
「ん?レオニーって俺の事か?」


 ルーファさんとレオニダスの背を見送りますわ。さぁ、あの二人は素直にごめんなさいができるかしら?

「ヴィーちゃん?何をする気なの?」

 ワクワクした顔で、フィロスが私を見つめますわ。
ーふふふ。ただのお話し合いですわ。ええ。それで済めばのお話しですけれど。




◇◇◇



「何故僕がこんな目に!」
「そうだ!なんで俺が鎖に繋がれてるんだ!」

 野営テント裏。悲痛な声で叫ぶ前髪の長い男と図体も態度も大きな男。その前に立つのは金髪ドリルの髪を靡かせ、扇子で口元を隠し、ほほほと微笑む悪役女首領・・・・じゃなくて私。


 お二人は、素直に出頭しなかったようで・・・・ルーファさんの鎖でぐるぐるの巻き巻きで私の前に座っていますわ。私の呼び出しに、物凄く不服そうな顔を浮かべていますわね。

「麗しきヴィクトリア嬢。何故僕を拘束しているのかな?ああ、あれかい?愛の告白の為かな?このような鎖で縛らなくとも、僕の心は何時でも君の愛に繋がれているというのに」

 話には、聞いていましたけれど・・・・酷いですわね。このナルシストっぷり。

「早く鎖を解け!なんのつもりだ!おい!レオニダス!ルーファ!こんな女の手先になりやがって、男として恥ずかしくないのか!」

 こちらも煩いですわ。態度だけじゃなく声も大きいのですわね。

「貴方達。何故呼び出されたか理解してらっしゃって?」

「愛の告白だよね?」
「違いますわ。」

ーナルキッススさん。阿呆ですの?私が愛を告げるのは、ハンスだけですわ。

「あん?決闘か!?やろーってのか?」
「貴方こそ、やる気ですの?」

ーこのドリルの餌食になりたいというのでしたら・・私・・手加減しなくってよ?オルラカさん。

「貴方達のレクリエーション中の行動・・・・目に余るものがありますの」

「あん?」

「貴方達、このレクリエーションの意義をわかってらして?協力と仲を深める事でしてよ?この三時間で、貴方達は何をしましたの?お互いにいがみ合って、ご自身の主張ばかり通して、周りを(特にハンスを)巻き込んで」


 私、怒っていますのよ!お二人の行動に!

「なんだい。結局大きな事故にはなっていないのだからいいじゃないか。そんな事で僕らをこんな風に扱って・・・・君達の方こそこの行動に問題があるんじゃないのかい?」
「そうだぞ!誰も大きな怪我してねーんだからいぃだろーが!多少のトラブルや怪我は、つきもんだろぉがよ!」

 多少のトラブルや
 怪我

 ですって?




「この・・・・愚者おろかものどもぉおおおお!!!!!」

ーパシパシーン!!!ビリビリビリビリ!!!

「あべべべベベべし!」
「ヒデブブブブブブ!」

「貴方達は、阿呆ですの!?あれは、ハンスがルビアナを庇ったから大きな事故や怪我にならなかったのですわ!!ハンスがフォローしてまわらなければ、取り返しのつかない事ばかりですのよ!事故にならなかったから大丈夫??違いますわ!そうなる可能性があった行動が大問題ですのよーーー!!!」

 あまりの怒りに、扇子で頭をはたいてしまいましたわ。

「ヴィーちゃん・・雷属付与エンチャントしたんだ扇子ソレ
「オレが付けてあげたんだョ。お仕置きするかもって聞いたし?二人には色々やらかされたからネー。サービスサービスぅ♪」

 飛び散る電撃に、フィロスが驚いていますわ。ふふふ。ハイドさん提供で、この半径5m内に防音魔法も施していますのよ?


「・・・・鬼に金棒・・・・お嬢に扇子・・・・やっぱ最強武器だろソレ。ハンスの奴・・・・なんてモノをプレゼントしてんだよ・・・・」



 あら?背後でレオニダスの怯える声が聴こえてきますわ。鬼?それって誰の事?幻聴かしら。



ーさぁ。
お し お き の始まりですわ♡


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ぽんさん。ご意見採用させていただきました。
ありがとうございます。
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