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193話
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用意していた松明と鬼斬り丸をぎゅっと握りしめて、真っ暗な闇に体を沈ませていく。
祠の中は人一人入ると、行き来が出来ないほどに狭小だった。
鬼斬り丸があった飛騨の祠とは比較にならないぐらい、どんよりとした重い空気が謙信の肩にのしかかる。
物音一つない洞穴の中は、異様な静けさに包まれていた。
ジャリ、ジャリ、と謙信と雷電が踏む小石の音だけが大仰に聴こえる。
押し潰されそうなほど重くのしかかる、目に映らぬ気が謙信の行く手を阻む。
どれほど歩いたのか、見当もつかない。
嫌な汗が全身を濡らした。
息苦しく、酸素が無いように感じられた。
それでも謙信は懸命に足を出した。
雷電は匂いに慣れたのか、涼しい顔をして、てくてくと歩いていた。
しばらくすると、雷電が、急に立ち止まり、う~。と闇に唸り声を上げた。
奥の方から、獣の咆哮のような声が微かに聞こえる。
顔に玉のような汗を浮かばせる謙信の口元が、ぎゅっと絞られる。
足を出すたびに咆哮は大きさを増し、狭かった洞窟が急に道幅を広げ、天井が高くなり、目前に大きな空洞が現れた。
鼓膜を破らんばかりの咆哮が、耳に突き刺さる。
祠の中は人一人入ると、行き来が出来ないほどに狭小だった。
鬼斬り丸があった飛騨の祠とは比較にならないぐらい、どんよりとした重い空気が謙信の肩にのしかかる。
物音一つない洞穴の中は、異様な静けさに包まれていた。
ジャリ、ジャリ、と謙信と雷電が踏む小石の音だけが大仰に聴こえる。
押し潰されそうなほど重くのしかかる、目に映らぬ気が謙信の行く手を阻む。
どれほど歩いたのか、見当もつかない。
嫌な汗が全身を濡らした。
息苦しく、酸素が無いように感じられた。
それでも謙信は懸命に足を出した。
雷電は匂いに慣れたのか、涼しい顔をして、てくてくと歩いていた。
しばらくすると、雷電が、急に立ち止まり、う~。と闇に唸り声を上げた。
奥の方から、獣の咆哮のような声が微かに聞こえる。
顔に玉のような汗を浮かばせる謙信の口元が、ぎゅっと絞られる。
足を出すたびに咆哮は大きさを増し、狭かった洞窟が急に道幅を広げ、天井が高くなり、目前に大きな空洞が現れた。
鼓膜を破らんばかりの咆哮が、耳に突き刺さる。
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