戦国姫 (せんごくき)

メマリー

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192話

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謙信は、意を決し修行僧の装束に身を包み、雷獣の雷電を連れて、独り焼山へ向かった。

峻嶮な頸城(くびき)山塊の峰々を渡り、ようやく焼山が謙信の目に入った。

焼山は、怒り狂ったように雲熱を立ち登らせていた。

焼山に近づくにつれ、雲熱が放つ高熱ガスが謙信の入山を拒んだ。ガスを避け、身をかがめて山頂を目指すが、火山弾がさらに謙信の行く手を阻む。

一尺ほどある岩の欠片が流星群のように頭上から轟音を上げて、投下された。

火山弾はドカドカと鈍い音を立てて大地に大穴を開けていった。

死に物狂いで草木一本生えぬ急な岩山を、這うようにして急斜面をよじ登る。

光育の顔を沈ませた意味が少しわかった気がした。

遠目に祠が見えた。近づいてみると、祠は石を積んだだけの粗末なものだった。

その祠の後ろには、虎御前が言っていた洞穴が、ぽかりと口を開けていた。

謙信は洞穴の奥を覗き込むと、そこには一切の光が無く、生臭さがむっと鼻をついた。

雷電は顔をしかめ、くしゃみを連発した。
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