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188話
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所かわって躑躅ヶ崎(つつじがさき)館(やかた)。晴信と勘助が二人っきりで対峙している。晴信は思慮深げにうつむき、額に人差し指を押し立てて、眉根を寄せている。
「んーーーん」
「どうかしたのですか?」
心配そうに晴信の顔をのぞき込む勘助。
「んーーーん」
「親方様」
晴信がぱっと顔を上げた。
「やっぱ。謙信ちゃんかわいいかったなぁ。なぁ勘助」
「はぁ」
妙なテンションの晴信に、当惑を隠せない勘助。
「なんかさぁこう強がってる曲に、なんか、かわいらしいとこ有るじゃない。有るじゃない。そう言うとこが、たまんないのよねえ」
「はぁ」
「一目惚れってやつかな?二回会ったから、二目惚れ。きゃー!何言わせんだ!!」
バシバシと勘助の肩を叩いて晴信が照れる。
「殿、謙信殿は、女の身なれど、最上、北条とのいくさに於いて確実に勝利し、領土を拡大せしめているのです。何か裏があるのやも」
「勘助ちゃん深読みしすぎよ。謙信ちゃん見たでしょ」
「は!」
「まさしく、菩薩って感じじゃない。「神のご加護を」って感じじゃない」
「しかし、それは、奴の戦略やも」
「勘助!!」
晴信は毛を逆立てて声を荒げ、がしりと勘助の肩を掴んだ。ゴクリと固唾を呑む勘助。
勘助を睨みつける晴信の目がふにゃりと溶け、晴信は勘助の顔を両手で挟み込んだ。
「目が曇ってるよ~。腐りきっちゃってるよ~。勘助。違うんだって。俺らとは、こう騙したり、騙されたり。騙されたりしてさ~。こう人の温もりとかさ~。慈愛みたいなものから、遠ざかってたからさぁ。メロメロッと来ちゃったんだよね~。おいら」
「殿は騙される方が多いんですから」
「今回は違うって。信用なさい!」
凛と胸を張る晴信。
「んーーーん」
「どうかしたのですか?」
心配そうに晴信の顔をのぞき込む勘助。
「んーーーん」
「親方様」
晴信がぱっと顔を上げた。
「やっぱ。謙信ちゃんかわいいかったなぁ。なぁ勘助」
「はぁ」
妙なテンションの晴信に、当惑を隠せない勘助。
「なんかさぁこう強がってる曲に、なんか、かわいらしいとこ有るじゃない。有るじゃない。そう言うとこが、たまんないのよねえ」
「はぁ」
「一目惚れってやつかな?二回会ったから、二目惚れ。きゃー!何言わせんだ!!」
バシバシと勘助の肩を叩いて晴信が照れる。
「殿、謙信殿は、女の身なれど、最上、北条とのいくさに於いて確実に勝利し、領土を拡大せしめているのです。何か裏があるのやも」
「勘助ちゃん深読みしすぎよ。謙信ちゃん見たでしょ」
「は!」
「まさしく、菩薩って感じじゃない。「神のご加護を」って感じじゃない」
「しかし、それは、奴の戦略やも」
「勘助!!」
晴信は毛を逆立てて声を荒げ、がしりと勘助の肩を掴んだ。ゴクリと固唾を呑む勘助。
勘助を睨みつける晴信の目がふにゃりと溶け、晴信は勘助の顔を両手で挟み込んだ。
「目が曇ってるよ~。腐りきっちゃってるよ~。勘助。違うんだって。俺らとは、こう騙したり、騙されたり。騙されたりしてさ~。こう人の温もりとかさ~。慈愛みたいなものから、遠ざかってたからさぁ。メロメロッと来ちゃったんだよね~。おいら」
「殿は騙される方が多いんですから」
「今回は違うって。信用なさい!」
凛と胸を張る晴信。
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