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187話
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晴信を見送り、謙信は神五郎を奥の間に呼びつけた。
「神五郎」
「は!」
「晴信をどう見る」
「なかなかの曲者かと」
「やはりな、お前もそう見るか」
「それより殿、佐間の助がやられました」
「佐間の助が!」
佐間の助は、越後お抱え忍者集団軒猿の首領。もちろん謙信も見知っていた。
「はい、忍びのものによるとやはり、飛加藤であったと。しかも段蔵は過去の記憶の一切を失っているとのこと」
「記憶が……そうか。でも、段蔵さんやっぱり生きていたんだ」
安堵の色を仄めかす謙信に、神五郎が顔をしかめた。
「段蔵が武田についたとなれば、越後にとってこれほどの脅威はありませぬ」
「分かっておる。神五郎、何としてでも、段蔵を探し出すのじゃ」
「は!」
足早に神五郎が部屋を出て行った。
神五郎が出て行くのを待っていたかのように、姿なき声がした。
「親方様。先日の忍び、やはり透破衆でございました」
「やはり、喰えぬやつよのう晴信は。……軒猿を総動員して晴信を見張れ」
「御意」
ひゅるりと風が舞い、声と気配が消えた。
「神五郎」
「は!」
「晴信をどう見る」
「なかなかの曲者かと」
「やはりな、お前もそう見るか」
「それより殿、佐間の助がやられました」
「佐間の助が!」
佐間の助は、越後お抱え忍者集団軒猿の首領。もちろん謙信も見知っていた。
「はい、忍びのものによるとやはり、飛加藤であったと。しかも段蔵は過去の記憶の一切を失っているとのこと」
「記憶が……そうか。でも、段蔵さんやっぱり生きていたんだ」
安堵の色を仄めかす謙信に、神五郎が顔をしかめた。
「段蔵が武田についたとなれば、越後にとってこれほどの脅威はありませぬ」
「分かっておる。神五郎、何としてでも、段蔵を探し出すのじゃ」
「は!」
足早に神五郎が部屋を出て行った。
神五郎が出て行くのを待っていたかのように、姿なき声がした。
「親方様。先日の忍び、やはり透破衆でございました」
「やはり、喰えぬやつよのう晴信は。……軒猿を総動員して晴信を見張れ」
「御意」
ひゅるりと風が舞い、声と気配が消えた。
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