戦国姫 (せんごくき)

メマリー

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185話

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「すまない。どうかしていた。晴信殿を斬りつけるなど、戦になっても致し方ない。この通りだ、許してほしい」

謙信は真顔で、晴信に頭を下げた。

「謝ることはない。私が望んだことだ」

「晴信殿……」

晴信は謙信の腕をとって、自分の胸に引き寄せた。

「共に天下を目指そうぞ」

謙信の耳元で囁くように晴信が言った。

背中に電流のような刺激が走り、謙信は静かに頷いた。

「そうか!!そうか!」

晴信は飛び跳ねて喜んだ。子供のように嬉々とする晴信に、女性本能をぐすぐす揺さぶられる謙信。

「で、晴信殿。願いの儀とは何だ?」

畳にひらりと落ちていた晴信の手紙を拾い上げて、謙信が訊いた。

「あーそのことか。まぁあたいしたことではないのだが」

「たいしたことではないのか?火急の用であると、勘助殿が」

晴信はぐじぐじといじけたように、足先で畳に円を書く。

意味不明の晴信の行動に、謙信が目を丸くする。

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