戦国姫 (せんごくき)

メマリー

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165話

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「いえ、とんでもございません」

「あーでも言わないと、他の家臣に示しがつかんでしょ。俺としては、買ってるのよ。源ちゃんのこと」

「有り難きお言葉」

「で、どないだ、按配は」

 バレエのデベロッペをしながらフォームを気にする晴信。

「今宵、五百の兵をお借りいたしたく、参上に上がりました」

「ほう五百とな。村上、小笠原は、連合軍で来るだろうねえ。そしたら、五千はいるよ」

信濃葛尾城主、村上義清は、槍の名手でその名を轟かせ、信濃の東部から北部を支配下に収めた実力者。兵力差もさることながら、義清の武勇によって信濃北部政略は失敗続きだった。

「了解しております」

晴信の危惧を払拭するように源助はニヤリと笑って応えた。

「まあよい。お主の戯言に付き合ってくれるわ。五百の軍勢しかと預けた」

「一兵の雑兵も無駄にすること無く、北信濃を手に入れて見せまする」

「貴様の大風呂敷、楽しみにしておるぞ」

「は!」

雨がやみ青空が顔を出した。数日振りの陽光が、晴信を照らした。
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