戦国姫 (せんごくき)

メマリー

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154話

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神五郎は謙信に背を見せて少し距離をとり、咳払いを一つして、謙信に向きを直した。

「殿は我らが上杉軍団の棟梁なのですよ棟梁。しっかりしてください」

「僕はしっかりさんだよ」

謙信が頬を膨らませて、そっぽを向く。

去年、定実のはからいにより、兄晴景とのお家騒動に終止符を打ち、謙信は長尾家当主となった。長尾家が安泰になったのを見届けるかのように、越後守護上杉定実が逝去。守護代であった謙信が越後守護の座に着いた。守護着任を機に、謙信は栃尾城から居城を春日山に移した。

定実逝去から半年後、関東管領上杉憲政が、北条氏に国を追われ、謙信を頼って越後に身を寄せた。謙信は憲政と養子縁組し関東管領の役職を譲り受け、上杉謙信と名を改めた。憲政は隠居し、今は春日山城下で安穏と暮らしている。

段蔵が死んで丸々一年。景虎は山寺にこもり、人前に姿を現さなかった。

山から下りてくるなり、目まぐるしい政治の世界に引き込まれ、あれよと言う間に関東管領まで上り詰めていた。

謙信の役職が上がるにつれ、謙信のことをよく思わない元晴景派、定実家臣たちの反乱相次ぎ、戦に追われる毎日だった。
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