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第136話
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道中姿の段蔵は、くいと菅笠を深く被り表情を隠した。
「段蔵さんは僕にとって、唯一無二の存在なんだ。どこにも行っちゃヤダ」
「片目、片腕を無くし、忍びとしては、半人前の仕ことしかできませぬゆえ」
「それでも、他国の忍びたちを追い払ってくれているじゃないか。その腕だって、僕の為に無くしたんだから、負い目を感じることなんてないんだよ」
「この腕は、それがしが未熟ゆえ。……草は草として、土に帰るだけのことでございます」
微妙に変化した段蔵の表情を、景虎は見逃さなかった。
「……死ぬ気なんでしょ」
「……いや、そのようなことは」
言いよどむ段蔵の胸に景虎が飛び込んだ。
「段蔵さんは僕にとって、唯一無二の存在なんだ。どこにも行っちゃヤダ」
「片目、片腕を無くし、忍びとしては、半人前の仕ことしかできませぬゆえ」
「それでも、他国の忍びたちを追い払ってくれているじゃないか。その腕だって、僕の為に無くしたんだから、負い目を感じることなんてないんだよ」
「この腕は、それがしが未熟ゆえ。……草は草として、土に帰るだけのことでございます」
微妙に変化した段蔵の表情を、景虎は見逃さなかった。
「……死ぬ気なんでしょ」
「……いや、そのようなことは」
言いよどむ段蔵の胸に景虎が飛び込んだ。
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