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第132話
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「お前のためだ。腕の一本や二本無くなっても惜しくはない」
「だって、だって。段蔵さん忍びなのに」
「俺ぐらいの忍者になれば、これ位で他の忍者と釣り合いが取れるってもんだ。まだ、残党がいる。お前は早く城へ帰れ。俺は後始末してから、城に戻るから。フィッ!」
しょげ返る景虎を横目に、段蔵が指笛を鳴らして雷獣を呼んだ。
ヘッヘッと舌を出して雷獣が駆け寄ってきた。
「景虎を頼む」
雷獣は織り込み済みだというように、大きな口で景虎の襟首を咥えてポイと背中に乗せ、飛んで城へと向かった。
「段蔵さーーーーん」
後ろ髪を引かれながら、景虎は戦場を後にした。
段蔵は右手で体を押し上げて立ち上がり、燃え盛る秀忠に近づいた。
「ぐああああああ」
段蔵は炎で右腕を炙って止血し、その場に倒れ込んだ。
ポタポタと大粒の雨が段蔵の顔を濡らした。雨脚は徐々に強まり、天が号泣しているかのような暴風雨が、忌々しい戦場を洗い流した。
黒田秀忠の一族は慣例に従い自刃して果て、黒田家は滅亡した。
「だって、だって。段蔵さん忍びなのに」
「俺ぐらいの忍者になれば、これ位で他の忍者と釣り合いが取れるってもんだ。まだ、残党がいる。お前は早く城へ帰れ。俺は後始末してから、城に戻るから。フィッ!」
しょげ返る景虎を横目に、段蔵が指笛を鳴らして雷獣を呼んだ。
ヘッヘッと舌を出して雷獣が駆け寄ってきた。
「景虎を頼む」
雷獣は織り込み済みだというように、大きな口で景虎の襟首を咥えてポイと背中に乗せ、飛んで城へと向かった。
「段蔵さーーーーん」
後ろ髪を引かれながら、景虎は戦場を後にした。
段蔵は右手で体を押し上げて立ち上がり、燃え盛る秀忠に近づいた。
「ぐああああああ」
段蔵は炎で右腕を炙って止血し、その場に倒れ込んだ。
ポタポタと大粒の雨が段蔵の顔を濡らした。雨脚は徐々に強まり、天が号泣しているかのような暴風雨が、忌々しい戦場を洗い流した。
黒田秀忠の一族は慣例に従い自刃して果て、黒田家は滅亡した。
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