戦国姫 (せんごくき)

メマリー

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第113話

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元々秀忠は為景の腹心であり、長尾家の為に長年尽くした重臣の一人だった。

「どうして?」

秀忠は鼻を鳴らし

「笑止!」

と、吐き捨てた。

「どうしてあなたが?私には分からない」

景虎はゆるりとかぶりを振って、哀しい目を秀忠に向けた。

ゴボと秀忠が喉を鳴らすと、どす黒い血が口角から流れた。

「晴景では、いかんのだ!!」

朝日連峰に秀忠の声が轟いた。秀忠は鮮血を霧吹いて、片膝を地に付けた。

「晴景では……」

「どうして、兄上では駄目なのだ。それに、景康、景房両兄は関係ないではないか!」

「だから、お前は子供なんだよ」

秀忠は馬鹿にしたように目を細めた。

「何!?」

景虎は怒りを露わにして柄を握りしめた。

「武田と!!」

秀忠は大声を張り上げて、ゆっくりと重い口を開き始めた。
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