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第103話
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景虎は胸元が大きく開いた南蛮渡来のドレスに身を包み、青の釉薬で片目を瞑る大黒様が描かれた、取手付き白磁器の取手を人差し指と親指で摘み、空いた手で受け皿を持って紅茶を嗜んでいた。
膝の上には雷獣が尻尾を振って座っている。
「ん~。いい匂い。日本茶とは違ってお花の香りが心地いいわ~」
景虎がロッキングチェアーで身を揺らしながら、薔薇の香りに酔いしれていると、慌ただしい足音が廊下に響いた。
「御免!」
野太い声と共に、障子が勢いよく開帳した。
甲冑の胴巻きに矢を突き刺した直江神五郎が、息を荒げたまま頭を垂れて景虎の前に現れた。
直江神五郎は、虎御前が幼い景虎に是非と晴景に頼み込んで付けて貰った重臣の一人だ。
神五郎は栃尾城代として春日山城の評定に出席していた。
「どうした、顔を上げよ」
景虎が只ならぬ神五郎の様子に語気を強めた。
神五郎は肩で息をしながら素早く顔を上げた。
膝の上には雷獣が尻尾を振って座っている。
「ん~。いい匂い。日本茶とは違ってお花の香りが心地いいわ~」
景虎がロッキングチェアーで身を揺らしながら、薔薇の香りに酔いしれていると、慌ただしい足音が廊下に響いた。
「御免!」
野太い声と共に、障子が勢いよく開帳した。
甲冑の胴巻きに矢を突き刺した直江神五郎が、息を荒げたまま頭を垂れて景虎の前に現れた。
直江神五郎は、虎御前が幼い景虎に是非と晴景に頼み込んで付けて貰った重臣の一人だ。
神五郎は栃尾城代として春日山城の評定に出席していた。
「どうした、顔を上げよ」
景虎が只ならぬ神五郎の様子に語気を強めた。
神五郎は肩で息をしながら素早く顔を上げた。
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