戦国姫 (せんごくき)

メマリー

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第102話

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「陽北衆のやつら、十四、五のガキ相手に何やってんだ!」

寝床で豪族連合の敗北を聞かされた黒田秀忠は枕木を蹴り上げて、怒りを露わにした。

栃尾城周囲の豪族である陽北衆や国人に反乱を嗾(けしか)けていた秀忠は、目論見が外れ苛立っていた。

秀忠は、越後守護代だった景虎の父、長尾為景の信頼厚い家臣の一人だった。

為景は秀忠の人柄にほれ込み、越後守護である上杉定実の家臣に推薦したほどだ。

為景の死後、後継ぎとなった長尾晴景の軟弱ぶりに秀忠は業を煮やし、独立しようと画策していた。

「晴景めでは守護代なんぞ務まるわけがない。景康、景房にしても然りじゃ!」 

秀忠は何かを含んだような笑みを浮かべて、床の上にどすんと腰を下ろし胡坐をかいた。

秀忠は傍らで怯えたように裸体を丸めていた側女の頭を乱暴に掴みあげ、己の股間に埋めた。

「儂以外に誰が守護代を務められるものか。為景四兄弟を亡きものとしてしまえば、定実様も文句を言えまいて」

秀忠は側女の髪を掴み、より深く股間に押し込んだ。女は喉に突き刺さった秀忠のものに嘔吐(えず)きながら、涙を流してもがいていた。

「失敗だったようですね。秀忠殿」

襖の向こうで、嗜めるような声がした。秀忠は股間のものを揉みしごいていた女を押しどけ、慌てて土下座した。
「次こそは、次こそは景虎めを亡き者に」

震える声で、秀忠は畳に頭を押し付けた。

「頼りにしてますよ、秀忠」

影は淫靡を含んだ声を残して消え去った。
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