戦国姫 (せんごくき)

メマリー

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第93話

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虎御前は気を失って、その場に倒れ込んだ。

その夜、

「そなたの、肉体を貸して頂けないだろうか?」

吉祥天から理由を聞かされた虎御前は、元来の信心深さからか、静かに頷いて了承した。

それは、奇しくも、為景から求婚を迫られていた時だった。吉祥天は虎御前の枕元に立ち、意識に語りかけた。

御前は、しばしば前世の自分に体を貸与した。

貸与している間の記憶は、虎御前には無かった。ほどなくして、景虎が生まれた。

景虎は父であろう男神の優しく力強い腕に抱かれ、健やかに眠っていた。

吉祥天は傍らで、優しく微笑んでいる。

そこで、映像は途切れた。

険しく吊り上った景虎の目が、救われたように和らぎを取り戻していく。
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